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週刊こぐま通信
「学習相談Q&A」

【質問26】

2007年5月11日 回答
受験生の皆さまの学習相談に、こぐま会室長がお応えします。

 絵本は好きな子ですが、模擬テストなどで出題される「話の内容理解」で、あまり良い点が取れません。家でテープなどを使って練習しているのですが、苦手意識があるのか、自分はできないと言って拒絶することもあります。どのように学習したら良いのでしょうか。

 話の内容理解は、将来の国語科につながる「聞く力」を問う問題として、どの学校でも毎年1題は出題されると考えておく必要があります。聖心では、ペーパーテストがなくなったときでも、この「話の内容理解」は出され、答えは具体物を取らせる形で問題が作成されていました。ペーパーテストのない学校でも、口頭で答えたり、カードを取ったりと答え方を工夫して出題されています。

 長い話もあれば、短い話もあり、中には内容理解よりも記憶といったほうが良い問題もあります。また、最近では絵本を一冊読んで、質問する学校もあります。また、登場人物が太郎さんや花子さんのように、子供の生活に身近な「生活文」である場合もあるし、くまやうさぎが登場する「物語文」もあります。

 昔から入試で問われていた典型的な質問事項は、(1)登場人物 (2)順序 (3)数 (4)登場人物の行為の4つでした。ですから、ある程度練習し、何を覚えておけば良いのかが子どもなりにわかったのですが、最近の質問はこの4つをはるかに超え、どんな質問が出されてもおかしくない時代になりました。どんな質問がだされても・・・と言いましたが、それは、言語領域以外で受験対策として学習してきているすべての質問が可能ということです。たとえば「地図上の移動」であったり、「私は誰でしょう」であったり、また、「三者関係の推理」や複雑な数の操作であったりします。話の内容理解の形をとっていながら実は質問内容は数の操作に関するものであったりと・・・最近の話の内容理解の質問には、その多様化に驚くばかりです。

 学校側は、単に国語力につながるものとしてだけでなく、人の話をしっかり聞いたり、指示を聞き取ってすばやく行動したり、また、内容を深く理解することを求めてきています。これには、人の話を聞けない子が多く、学級崩壊につながる「小一プロブレム」といった問題を起こしたくないという学校側の意図も働いているはずです。

 こうした最近の傾向を踏まえて考えてみると、話の内容理解のトレーニングをテープとペーパーを使って練習するだけでは不十分です。指示をしっかり聞き取るという「聞き取り練習」を含め、学習のありとあらゆる場がトレーニングの場であるということをまず知っておくべきです。地図上の移動にしても、言葉による三者関係の推理にしても・・・それぞれの重要な学習課題をきちんと練習しておくことが大事です。数の学習においても、いつもペーパーを見ながら問題を解くのではなく、時には、話を聞かせるだけで数の操作をさせるようなことも必要です。

 昔からある典型的な4つの質問事項については、繰り返し練習することによって何を聞き取れば良いのかは身についていくと思いますが、どうしてもそれが身につかないとすれば、聞き取る観点を先に伝え、それに沿って聞き取らせる練習にも意味があると思います。しかし多様化した問題に対処するためには、まず話の中身を理解するということを優先した練習が必要です。苦手意識を植え付けないためにも、最初は録音した話を聞かせるよりは、お母さんやお父さんが読んであげて問題に答えさせるほうが大事です。そして、話の聞き取りの原点は、やはり毎日の読み聞かせですから、毎日お休みになる前に必ず1冊本を読んであげる習慣をつけてください。

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