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週刊こぐま通信
「学習相談Q&A」

【質問24】

2007年4月27日 回答
受験生の皆さまの学習相談に、こぐま会室長がお応えします。

 図形模写が苦手で、練習しても上手に描けません。特に立体物の模写が苦手です。どのように指導したら良いのでしょうか。

 図形模写は、小学校入試において以前ほど多くの出題はありませんが、図形領域の大事な課題のひとつです。線の模写をはじめ、基本図形の模写・立体物の模写などいろいろあります。点図形もいろいろな要素が絡みますが、図形模写のひとつと考えることができます。

 もともとこの課題が入試問題として取り上げられるようになった背景は、運筆練習の側面と同時に、ひし形をどれだけ正確に描くことができるかどうかが、個人用の知能検査の問題としてあるためです。ですから、だいぶ以前は、ひし形がどれだけ正確に描けるかどうかを中心とした図形模写が多く出されていました。しかし、年長の秋にはほとんどの子どもたちが、正確にひし形を描いてしまうので、最近は立体物の模写が入試問題の主流になりつつあります。

 立方体の模写が一番良く出されていますが、立方体だけでなく、三角柱や円柱など基本立体はどれも出される可能性があります。ところで立方体の模写はどこがむずかしいのでしょうか。同じ立体を模写する場合でも、置き方によって難易度は違ってきますが、真正面が正方形で、上の面と横の面を平行四辺形で描き表す場合、上面と側面の斜めの線の模写が難しいのです。

 最初の段階では、真正面の真四角とそれにくっつく2つの長四角で描き表す子が多く見られます。そうした子に、お手本を示して「何に見える」と聞くと「四角」と言うのです。確かに正面の形は四角ですが、それでは立体にはなりません。逆に、斜めの線も描け、大体お手本と同じように描ける子に「何に見える」と聞くと、「積み木」とか「箱」というのです。このようにお手本をどう見たかということが、模写能力に影響していることがわかります。ですから、難しい斜めの線をしっかり描けるようになるためには、平面的な四角と見るのではなく、立体をイメージする何かに見立てるほうが良いということになります。

 点図形においても、同じように斜めの線のたくさん入っているお手本は難しいといえます。また、難しいお手本を模写する場合、それが何に見えるかの「見立て」をすると上手に描けるということも知っておいてください。
 最近、ある学校で、秘密袋に入った立体物を、目で見ないで、触っただけで模写するという課題が出されました。見て描くのも難しい立体物を、触っただけで描くということがどれだけ難しいかは容易に想像できますが、入試問題はそこまで難しくなってきています。

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