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週刊こぐま通信
「学習相談Q&A」

【質問23】

2007年4月27日 回答
受験生の皆さまの学習相談に、こぐま会室長がお応えします。

 先週学習した「一対多対応」は、入試でよく出る課題のようですが、学習 のポイントを教えてください。

 一対多対応は、小学校2年生で学習する「掛け算」の考え方につながる大事な課題です。小学校入試でも良く出る課題であり、また、数の複合問題に必ず絡んでくる考え方です。これまでは主に足し算や引き算の基礎となる学習をしてきましたが、この一対多対応の学習によって、掛け算と割り算の基礎を学習することになり、これで、四則演算すべてを学習し終えることになります。ですから、実際に出された問題の多くが解けるようになり、一挙に学習範囲が広まります。

 小学校2年で学習する掛け算は、昔から九九を暗算することに最大の目標を置き、1段ずつ暗唱することに力を注いできましたが、最近では、九九を暗唱する前に、掛け算の考え方が、足し算や引き算とどう違うかを、立式練習を通して指導されています。つまり、掛け算は「一あたり量×いくつ分」であらわすことができ、3×4と4×3は計算上の答えは同じでもその意味する内容が全く違うということを理解しなくてはなりません。ですから、お話を聞いて式を立てたり、また「4×8」のお話を作ってごらんという方法で掛け算の考え方の基礎を固めていくのです。「一あたり量」というのは、一台あたり車はタイヤが4つであるとか、一人あたりに配るイチゴの数が5個であるとかいうように、一台あたりとか、一人あたりとか、一軒あたり、一箱あたり・・・というように必ず単位がつきますが、それらを総合して「一あたり」と呼んでいます。

 入試でよく出される「一対多対応」の基本は、お客さんが何人かみえたという場面設定で、それぞれに配る物の数を変えて、全体でいくつかを考える問題です。また、タイヤに関する問題、つまり自転車は一台あたり2個、三輪車は3個、自動車は4個ということで、台数とダイヤの数の関係を考えさせる問題が良く出されています。また、掛け算は裏返せば割り算の考え方につながり、「包含除」といわれる、まとまりを作って対応させる問題も多く出されます。花に止まる蝶の数、一台の車に乗る人数、1箱に入れる鉛筆の数・・・複数あるものを指定の数で一まとまりにし、全体でいくつのまとまりができるか、またその際あまりはいくつかなどを考えさせる問題が多く出されます。

 この「一対多対応」の学習のポイントは、最初から暗算して全体の数を求め、その上でおはじきを取ったり、丸を描いたりする必要はないということです。全体の数を求める問題ですが、全体の数が暗算できることが目標ではなく、全体の数を求めるためにどのような手続きをとったら良いのかを発見することが大事なのです。具体的にお伝えしましょう。

 自動車が3台止まっていました。そこにまた3台入ってきましたが、1台出て行きました。今止まっている自動車のタイヤの数はいくつでしょうか。その数だけ青い丸を書きなさい。

 この問題は数の増減と一対多対応の複合問題ですが、最後に残った車の数が5台とわかった後、暗算して20を導き出すのでは、これはもう2年生の掛け算です。そうではなく、一台あたりタイヤは4ですから、1台分と言いながら丸を4個描き、2台分と言いながらまた4個描き、3台分・4台分・5台分とそれを繰り返し、その結果20ということがわかればいいのです。最初から20がわかっていて丸を20描く必要はないのです。どのような手続きで答えが導き出せるかを理解することのほうが大切です。1台分・・・2台分・・・と繰り返すことによって、掛け算の「一あたり量」の意味がつかめてくるのです。この点を理解しないで、答えを暗算で出させようとすると、とても難しい問題になってしまいます。一あたり量を何回繰り返すかということに子どもの関心が向くような学習を心がけてください。

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