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週刊こぐま通信
「学習相談Q&A」

【質問11】

2007年2月23日 回答
受験生の皆さまの学習相談に、こぐま会室長がお応えします。

 先週指定校クラスで学習した、1場面のお話づくりが苦手なようです。どのように学習したら良いのか教えてください。

 お話づくりは、テストの形式上、「個別テスト」を実施している学校以外は、直接出題されることはありませんが、今後「話す力」を見るテストが増えていく可能性が高いので、どの学校を受験するにも「お話づくり」の練習はしておいたほうが良いと思います。

 お話づくりの出題方法は、昔からいろいろ工夫されてきていますが、典型的な出題方法は、絵カードを使って行う方法です。中でも、4枚の絵カードを使って時間的順序に並べ、それに沿ってお話を作る方法が従来から一番多かったようです。「起承転結」とは言いませんが、4枚くらいあると結構まとまったお話ができるものです。しかし、最近では、必ずしも4枚の絵カードではなく、3枚になり、2枚になり、1枚になり・・・というように、使う絵カードの枚数が減ってきています。枚数が減れば当然子どもたちにとっては、お話が作りづらくなり、特に1枚の絵を使ったお話づくりになると、絵の説明になってしまい、まとまったお話になりません。そこに、苦手意識ができてしまうのです。

 もともとこの「お話づくり」は、4場面か1場面かという問題以前に、得意不得意の出やすい課題です。発表力の観点からすれば、本人の性格も反映するため、入試直前まで引きずる課題です。しかし、「お話づくり」が直接試験にでなくても、これからの入試においては、「会話力」が相当求められてきますので、何とか自信をつけて、解決しておかなくてはなりません。

 さて、ご質問についての学習法ですが、1場面の絵を使ったお話づくりが難しいのは、話す要素が限定されているからです。ですから、提示された絵を見て、まとまったお話を作るためには、「その絵に描かれた場面の前はどうだったのだろうか。そして、この場面の続きはどうなるのだろう・・・」と想像することが大切です。ですから私たちの授業では、一枚の大きな絵を黒板に張り、その前後に大きな丸を描き、「この絵の前はどうだったのか、そしてこの絵のあとどうなったのか、考えてごらん」と助言します。そうすると、大勢の子どもたちが手を上げて発表してくれるのです。つまり、1枚の絵をみて、その前後関係をイメージできるかどうかが問題なのです。原因と結果の関係などを読み取る力が求められます。そうしたことを通して、時系列を論理的に捉える力が育成されていくのでしょう。

 1枚の絵を使ったお話づくりの前に、4枚や3枚の絵を使ったお話づくりを繰り返し練習してください。絵カードでもだめなら、人形等の具体物を使ってみてください。自分の生活に身近なものであればあるほど、自分の経験を思い出しやすいという利点があります。お話づくりのコツは、いかにして自分の経験を話の中に活かすか・・ということですから、たとえば登場人物に自分のお友だちの名前をつけるというような工夫もできるとよいと思います。

 最近の問題の中には、表情の変化だけを読み取ってお話を作らせたり、3枚ある絵のうち真ん中の一枚だけを隠し、そこで起こった出来事を想像させながら、お話を作るという問題も出始めています。いずれにしても、時系列を考えさせたり、ちょっとした場面の変化を読み取らせたり・・・一口にお話づくりといっても、出題する学校側は、いろいろと問題を工夫しています。

 次期学習指導要領の柱に「国語の力」を掲げている以上、話す力の代表としての「お話づくり」は、今後ますます形を変えて、入試に登場してくると思われますので、基本となる「絵カードを使ったお話づくり」は、繰り返し練習してください。

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