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週刊こぐま通信
「学習相談Q&A」

【質問5】

2007年1月30日 回答
受験生の皆さまの学習相談に、こぐま会室長がお応えします。

 聖心を希望しています。先日のセミナーで聖心を受験する場合、数における暗算能力を相当高めておかなくてはならないという話がありましたが、娘はまだ指を使って答えを出している状況です。どのような方法で暗算能力を高めていったらいいのか教えてください。

 暗算能力がすべての子どもたちにおいて完成するのは、年長の8月ごろです。ですから、現時点(年中2月頃)では、指を使ったほうが、答えが早く正確に出るはずです。しかし、指に頼った計算では、みんなが苦労して身につけていく4月以降も指に頼ってしまい、その時点では結果的に答えが出るスピードも遅くなり、また、数の範囲が広がるため間違いも出やすくなります。ですから、扱う数が小さい今のうちから指に頼らず、暗算で答えが出せるようにしておくことが大切です。もし、暗算できなければ具体物やおはじきを使わせてください。物に触れて答えを導き出す行為が、頭の中に内面化されていけば、それが暗算する際のイメージの基礎になっていくからです。

 暗算が必要な理由はまだあります。それは、最近の入試問題を見れば一目瞭然ですが,話の内容理解の中に、数についての質問が必ずといっていいほど出てきます。それは昔からあることですが、昔と今とは設問の仕方が大きく異なっています。昔は、話に出てきた数をそのまま記憶しておけば答えられました。登場人物の数や、買った物の数、また食べたものの数などです。しかし、最近の問題の多くは、単純な記憶ではなく、話の流れを理解したうえで数の操作をさせるのです。比べたり、あわせたり、分けたり、全体の数を考えさせたり・・・つまり小学校で学ぶ四則演算をお話の理解を通して課してくるのです。そしてなおかつ、ペーパーには解答欄しか与えられない場合が多いのです。ペーパーによる数の問題を見ていけばお分かりのように、ペーパーと一口に言っても、さまざまな出題の仕方があり、話の内容理解の一環として出される問題以外は、たいてい設問に沿って、イメージしやすい場面が必ず絵になっています。ですから、子どもたちは設問の意味をその絵を見ながら考え、答えを出すまでに線を引いたり消したり、付け加えたり・・・とその場面を使って作業をして答えを導き出します。しかし、解答欄しか与えられない場合は、話を聞いてその場面を頭の中に描き、暗算して答えを出し、その答えを解答欄に書くしかないのです。こうしたことを考えても、暗算能力は相当高めておくことが必要です。ではどのようにしたらいいのか。一般的には、数の構成などの問題を通して、頭の中で考える練習が良いと思いますが、それだけでは入試に対応できません。なぜなら、数だけを取り出した問題はほとんど出題されず、お話を聞き取って、数の操作をしなくてはならないからです。数の多少・数の増減・数の分配・等分・一対多対応・包含除・・すべてお話です。そのことを考えると、次のような練習法が有効です。

  1. まず、10までの数の構成を暗算できる練習をする
  2. 次に、四則演算に絡む問題については、話をしっかり理解させた上で、まず最初は具体物を使って考えさせる
  3. 同じ問題を今度は、ペーパーの場面を見せながら考えさせる
  4. 最後に同じ主旨の問題を、話だけ聞かせて、暗算させる

 同じ主旨の問題を、具体物・ペーパー・話・というように、だんだん難しくしていきながら、つまずいたらまた元に戻して・・・その繰り返しで、暗算能力は完成していきます。暗算練習だからといって最初から頭の中で・・・では無理が生じます。具体物操作でイメージの基礎を作り、場面のあるペーパーでそれを確認し、そして最後の仕上げに話を聞いて頭で考える・・・この繰り返しが大事です。私はこの方法で、数に強い子を大勢育ててきました。ぜひ実行してみてください。

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