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週刊こぐま通信
「何をどう学習したらよいのか」

【質問30】

2008年06月27日 回答
受験生の皆さまの学習相談に、こぐま会室長がお応えします。

学校別雙葉クラスで学習した、「つりあい」の問題が苦手なようですが、どのような手順で学習したらよいのでしょうか。

 これまでも、「つりあいの問題をどう指導したらよいか」という質問は大変多くありました。
シーソーの三者関係の推理を学習し終えると、すぐに同じシーソーを使った課題として、「つりあい」を学習するようです。その結果、「三者関係の推理は分かっても、つりあいはどうしても難しい」という相談が増えるのです。同じシーソーだから一緒に学習してしまおう・・・と言う理由からでしょうが、認識の問題として考えると、この2つは全く違う思考が求められています。つまり、三者関係の理解は、いくつかの場面を総合して全体の順列を考える問題ですが、つりあいの問題は、一対多対応の考え方と置き換えの考え方ができなければ解けない問題です。ですから、関係推理の問題が解けても、つりあいがそのまま解けるようにはならないのです。求められる思考法が違うのですから当然です。

では、つりあいの問題をどのように練習すればよいのでしょうか。まず、A1個に対しBが2個がつりあっている状況をどう理解できるかということが大事です。それは、次のような問題を当てはめてみればよく分かります。つまり、「A1個とB1個ではどちらが重いですか」という質問です。その上で、「A2個はB何個とつりあうか」を理解しなくてはなりません。その考え方が一対多対応の考え方で、かけ算の考え方につながるものです。数における、この「一対多対応」の学習をした後に、つりあいの学習をすべきだと主張しているのはそうした理由によるものです。ただ、つりあいはこれだけで終わらないから難しいのです。それは、次のような問題があるからです。

A1個とB2個がつりあい、B1個はC3個とつりあっています
  (1) C9個はB何個とつりあうか
  (2) A1個はC何個とつりあうか
という問題です。

 (1)の問題は、包含除と呼んでおり、かけ算をひっくり返したわり算の考え方です。9の集まりの中に3の集まりがいくつあるかという問題です。BからCを考えるだけでなくCからB、を考える問題です。逆は必ず問われると考え、どちらから聞かれても答えられる柔軟な思考が求められます。しかし、この問いかけは少し練習すれば問題なく身につきます。子どもたちにとって一番難しいのは、(2)の問題です。AとB、BとCの関係からAとCの関係を求める問題です。AからC、を聞く場合とCからAを聞く場合とが考えれます。子どもたちにとって初歩的な壁は、AとCの関係はどこにも約束がないからできないと考えることです。しかし、次第に、AをBに置き換えればよいということが理解でき、Bを仲立ちとして、AとCの関係を考えることができるようになります。しかし、AからCの関係が理解できてもCからAの関係を考えられるようになるには、もう少し時間がかかります。

 このように、つりあいは、一対多対応の理解と、置き換えの理解が前提となって解決していきます。ですから、シーソーの関係推理が理解できたからすぐに解決できると考えず、数における一対多対応の理解を深め、また一方で、あるものに置き換える学習を十分したうえで、「つりあい」の課題に挑戦してください。すぐに理解できるようになるはずです。

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