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週刊こぐま通信
「何をどう学習したらよいのか」

【質問21】

2008年04月11日 回答)
受験生の皆さまの学習相談に、こぐま会室長がお応えします。

「四方からの観察」は左右関係が問われているため、まだ十分理解していないようです。特に、反対からの見え方を間違う場合が多いようです。どのような学習を心掛けたら良いのでしょうか。

 四方からの観察は、位置表象の中でも難しい課題の一つです。自分からの見え方を離れて、その場に行かないで、物の見え方を推理しなくてはならない点が難しいのでしょう。前後左右が問題になりますが、やはり、左右関係の理解がポイントになります。その意味で、この課題の前に基礎として身につけておかなくてはならないのは、

(1) 自分の右手左手の理解
(2) 自分以外の右手左手の理解
(3) ひとつの物を、4つの違う方向から描き、見え方の違いを説明する

教室での授業では,よく「やかん」を4方向から写生させ、その違いをしっかり受け止めさせた後、どの場所から描いたものかを当てるゲームをします。そうしたことによって、同じものでも場所が違うと違って見えるということを把握させ、特に左右関係がどのようになるのかを観察させます。ご家庭でも初歩的な学習として、左右関係がはっきりしたものを4方向から写生させると良いと思います。

2つ以上のものになると、左右関係だけでなく、前後関係もはっきりしてきますので、1つの物よりも、その違いがより意識化できるかもしれません。箱とボール・花瓶とカップのような組み合わせで、その見え方の練習をしてください。入試問題を見ると、設問の仕方はさまざまです。その中の典型は、「指示された場所から見た絵を選ぶ」場合と、「反対側から見た絵をその場に行かないで描く」場合の2つです。たとえば次のような問題です。

  • 4種類のつみ木が並べられているものを前にして質問される(学習院)
     ・ 自分から見てどのように見えるか、4つの絵から選んで指さす
     ・ 右から見たらどのように見えるか、4つの絵から選んで指さす
     ・ 左から見たらどのように見えるか、4つの絵から選んで指さす
  • 先生との間に置かれた人形・つみ木・カップを反対から見た絵を鉛筆で描く(青山)

正しいものを選ぶ場合と、自分で描く場合とでは、やはり難易度は違います。自分で描く問題は、これまで青山学院で頻繁に出されていましたが、いまやほかの学校にも波及し始めていますので、反対側からの見え方を自分で書き表すことも、四方からの観察の基礎として、練習しておいたほうが良いと思います。最近は人形やカップなどの具体物だけでなく、つみ木などの半具体物も描かせますので、どちらが出されても戸惑わないように練習してください。ペーパー問題でつまずく場合には、実際に4つの方向から見えた通りに描く練習を積み上げてください。そして、本人が描いた絵を使っていろいろ質問してあげると、わかりやすいと思います。

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