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週刊こぐま通信
「子どもはどこでつまずくか」(37)

数のやりとりは、2つの視点を同時に考える発想ができるかどうかがポイントです

2009年8月20日 回答
受験生の皆さまの学習相談に、こぐま会室長がお応えします。

【質問37】
 難問講座で学習した「ジャンケンゲームによる数のやりとり」において、ルールを変えたジャンケンゲームでの2人の数の差が、できたりできなかったりしました。どのような練習を積めば良いのでしょうか。

 数のやりとりの問題は大きく2つに分けられます。
 1. 違った数を同じ数にするには、だれがいくつあげればよいか
 2. 同じ数ずつ持っていて、相手に何個かあげると違いはいくつになるか

この2つの課題を、
 (1)具体物を使って  (2)ペーパーで  (3)お話を聞いて
の3つの方法で解かなくてはなりません。視覚的にわかりやすい具体物やペーパーを使った問題だけでなく、話の内容理解の中に出てくる問題もできなくてはなりません。特に間違えやすいのは、同じ数ずつ持っていて、やりとりした時にできる差を求める問題です。ジャンケンゲームを絡ませると、次のような問題がその基本になります。

太郎くんと花子さんは5個ずつおはじきを持って、ジャンケンゲームをしました。
ジャンケンで勝つと負けた人から1個もらうことにします。最初は花子さんが勝ちました。2人の持っているおはじきはいくつ違いますか。

この問題をはじめて解く子の多くは「1個」と答えてしまいます。「なぜ?」と聞くと「だって花子さんが1個もらったから・・・」と答えます。その時太郎くんが1個減っているという事実に気づいていないのです。学習していくうちに、だんだん差が2個になるということに気づいていきますが、その段階でルールをいろいろ変えてみます。本当に考え方がわかっていればできるはずだからです。例えば、次のようにルールを変えてみます。

 1. 勝ったら負けた人から2個もらう
 2. 勝ったら負けた人から1個もらい、箱の中に入っているおはじきからも1個もらう

最初の問題で、1個あげたら違いが2個になるという結果だけを教え込まれると、その問題はできても、上にある2問のような問題になると正確に答えが出てきません。

数のやりとりの問題が難しいのは、2つの視点を同時に考えなくてはならないからです。つまり、勝った花子さんだけでなく、負けた太郎くんのことも考えなくてはならないからです。ですからどんな場合でも、勝った人はいくつになったか、だけでなく、負けた人はいくつになったのかもしっかり捉えることです。その上でそれぞれの数を比較すれば、2人の差はどんなルールになっても出てくるはずです。1個もらったのだから差は1個、2個もらったのだから差は2個という一面的な見方を壊すためには、それぞれの数がどうなったのかという2つの視点を持たせることが大事です。それには、「1個やりとりしたら差は2個だよ」「2個やりとりしたら差は4個だよ」という機械的な教え込みをしないことです。勝った者の数、負けた者の数を自分で考えさせることが、どんな問題にも対応できる力を身につけることになるからです。

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