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週刊こぐま通信
「子どもはどこでつまずくか」(33)

数の増減は、複合問題になりやすいので、暗算で答えが出せるように

2009年7月17日 回答
受験生の皆さまの学習相談に、こぐま会室長がお応えします。

【質問33】
 数の増減については、一応理解しているようです。5前後の数であれば問題なくできますが、10前後の数になると、ペーパーに丸を書いたり、消したりして一応答えは出せるようです。しかし、数の増減が複合問題化され、一度答えを出してから別の数の操作をしなくてはならないような問題になると、時間が足りなくてできません。どのような練習をすればよいでしょうか。

 数の増減は将来のたし算ひき算につながるため、入試でもよく出されます。典型的な問題は次のようなものです。

(1) お客さんが7人来ています。少したつと3人帰りましたが、また5人来ました。今お客さんは何人になりましたか。

これが基本ですが、最近の入試問題はこんなに易しくありません。次のように発展します。

(2) お客さんが7人来ています。少したつと5人帰りましたが、また3人来ました。今いるお客さんに1人3個ずつイチゴをあげるには、イチゴは何個用意すればよいですか。

この問題がもっと発展すると次のようになります。

(3) お客さんが7人来ています。少したつと5人帰りましたが、また2人来ました。今いるお客さんに1人3個ずつイチゴをあげたいと思いますが、冷蔵庫の中を見ると9個しか入っていません。あと何個買ってくれば良いですか。

このように、数の増減は他の数の操作と絡んで複合問題化していきます。(2)は数の増減・一対多対応、(3)は数の増減・一対多対応・数の多少というように、他の数の操作が必要になってきます。こうした問題を解く際、最初の数の増減の段階で、丸を書いたり、指を使っていたのでは時間が足りなくなってアウトです。少なくとも、数の増減の段階は暗算で答えを出し、その出した答えに基づいて、(2)であれば、1人分・・・2人分と丸を3個ずつ書き、5人分のところで丸を書くのをやめればよいわけです。3×5を暗算するのは大変ですから、1人分ずつ丸を書いていけばよいのです。

特に最近は、話の内容理解の中でこうした日常的に起こる数の操作をさせることが増えてきましたので、解答欄しかない状況では、ペーパー上で丸を書いたり消したりできません。そうした意味でも、暗算能力は高めておくことが大事です。暗算能力を高める第一歩は、絶対に指を使わせないことにつきます。わからなければおはじきを使って考えさせればよいわけで、その繰り返しの練習が数を内面化していくきっかけになります。

「あなた方は小学生でないのだから、指でも何でも使ってやりなさい」・・・こんな指導がまかり通っている受験指導の現場を見ると、幼児教育の意義、将来の学習の基礎づくりという自覚が何もない、まったくの素人が、高い月謝を取って受験指導に携わっている現状がありありと見えてきます。暗算ができないのなら何でもありではなく、暗算ができるようになる手だてを考え、指導してあげるのが基礎教育に携わる者の務めのはずです。どんな方法でもかまわない、何でもありの受験教育が、結果として子どもたちの伸びる芽を摘み取っていくというのはこういうことを指して言うのです。そんなことにならないよう、暗算能力を高める努力をしてください。そのことがどんなに意味のあることか、小学生になったらきっとわかります。

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