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週刊こぐま通信
「子どもはどこでつまずくか」(7)

シーソーが難しいのは、関係推理の能力が問われるからです

2008年12月19日 回答
受験生の皆さまの学習相談に、こぐま会室長がお応えします。

【質問7】
 シーソーの三者関係は解けるのですが、四者関係になると間違いが目立ちます。また、「一番重い」や「一番軽い」はわかっても、2番目や3番目を聞かれると間違いが多くなります。どのような学習が必要でしょうか。

 シーソーによる重さ比べは、2つの場面から3つのものの重さの関係を理解したり、3つの場面から4つのものの重さの関係を理解したりするものです。ですから、重さ比べという課題でありながら、関係推理の問題でもあるわけで、単純な課題ではありません。一番初歩的な間違いとしては、AとBを比べてBが重く、BとCを比べてCが重かったとき、「一番重いものはどれですか」と尋ねると、BとCの2つを答えるのです。つまり最初の場面で重かったBと、次の場面で重かったCの両方を答えてしまうのです。最初の場面と次の場面がつながっておらず、2つを一番重いと答えてしまうのです。2つ目の場面で重かったCの相手がBであることに気づくと、Cが一番重いと答えることができるようになります。2つの場面をつなぐものは、この場合Bの存在です。それに気づけば、Bより重いCと、Bより軽いAということで重さの系列ができるのです。

ところが、三者関係が理解できるようになっても四者関係になるとまたわからなくなるケースが多いのです。四者関係になると、一番重い・一番軽いだけでなく、3番目に重い・3番目に軽いなどが問われることがあります。それも難しくしている原因ですが、場面の数が増えたことによる問題の難問化もひとつの理由でしょう。
では、四者関係の場合どうするか。どんな質問がなされるにせよ、まず重さを系列化しなくてはなりません。そのためには、まず一番重いものを探します。その次に残った中で一番重いものを探します。それを繰り返すことによって重い順はわかります。五者関係になっても全く同じ方法でできるはずです。この方法がなぜ有効かというと、子どもたちは無意識にこの方法で、シーソーを使った実際の場面で重さの系列化を解決しているからです。例えば、5つの箱を手に持って重い順に並べる課題を見てみると、まず5つのものの中から一番重いものを探します。それを取り出し、残った中でまた一番重いものを探します。・・・・このように、「残った中で一番重いものを探す」という方法を無意識で使っているのです。それを意識化させることによって、実物を使わないペーパーでの課題でもできるはずです。

シーソーは目に見えない重さを視覚的な方法に置き換えるひとつの方法ですが、単純にシーソーの原理(つまり重いほうが下がるという原理)の理解だけでは解決つかないところに難しさがあるのです。その考え方の中心が、あるものを仲立ちにして考えるということです。AとB・BとCの関係からAとCの関係を考える「関係推理」の見方が身につかないと、シーソー問題は解決しないところにシーソーの難しさがあるのです。そうした考え方は「交換」などにも求められる大事な発想法です。

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