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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

「考える力を求める入試問題(7) 未測量に関する問題」

第716号 2020年4月3日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 こぐま会の教科前基礎教育においては、6領域で1年間の学習を構成しています。受験問題もその領域ごとに易しいものから難しいものへと系統性を踏まえて構成し、ステップごとの学習内容に合わせて指導しています。その内容は次の通りです。

step1「大きさ・多さくらべ」
・多さの相対化
・大きさの相対化
step2「重さくらべ」
・手をつかった重さの比較
・器具をつかった重さの比較
・シーソーによる三者関係
step3「長さくらべ 」
・長さの比較
・長さの相対化・系列化
・大きさと長さの順対応
・長さの個別単位
step4「シーソー」
・じゃんけん・競争による三者関係
・シーソーによる三・四・五者関係
・言葉による関係推理
step5「逆対応」
・ろうそく・飲んだ水の逆対応
・移しかえと元のコップの対応
・砂糖水の濃さ
step6「重さのつりあい」
・シーソーによる三・四・五者関係
・均衡のくずれ
・重さの一対多対応
・置き換えをつかったつりあい

入試問題を分析すると「未測量」領域からの出題は、数・図形にくらべるとあまり多くありませんが、出されるとかなり難しい課題になります。最近の入試では、「重さくらべ」に関する「シーソー」や「つりあい」の問題がよく出されます。また、「広さくらべ」に象徴される「個別単位」の考え方もよく出されます。2020年度入試で出された問題をみてみると、やはり重さくらべの問題がほとんどでした。

1. 重さくらべ(シーソーの四者・五者関係、バネばかり)
  • シーソーとバネばかりを使っていろいろな重さをくらべました。お部屋の中で1番重いものにをつけてください。

上の2問はシーソーの四者関係と五者関係の問題で、下の2問はばねばかりの問題です。シーソーの関係推理は三者関係が基本ですが、入試ではこのように四者・五者関係の問題が出されます。特に多いのは四者関係ですから、三者関係が理解できたら四者関係に挑戦してください。ただ、今回のように「一番重いもの」を探すのは、それほど難しくありません。2番目や3番目が問われると難しくなりますので、その練習をしっかり行ってください。

2. シーソーのつりあい
  • それぞれ上のお部屋のシーソーはつりあっています。下の3つのシーソーの中で傾きが正しいものはどれですか。をつけてください。1枚目が終わったら2枚目も同じようにやってください。



1枚目、上はりんご1個とみかん2個がつりあう場合、どれが正しいかを判断する問題です。下はりんご2個とみかん4個がつりあう時、どのつりあいが正しいかを判断する問題です。2枚目、上は大きなきのこ1個とどんぐり2個がつりあい、どんぐり1個は小さいきのこ1個とつりあうという約束を理解したうえで、どれが正しいかを考える問題です。これは、どんぐりと小さなきのこ1個を置き換えるだけで数は同じ1個ずつですから、特に問題はないと思います。下は、約束そのものの理解ができるかどうかが問題です。星2個と2個+星1個がつりあうという約束は、左右から星を1個ずつ下ろせば、星1個は2個とつりあうことになり、それが理解できるかどうかが問われます。この問題のように応用問題がかなり出始めていて、そこに考える力が問われています。

3. シーソーのつりあい
上のお部屋を見てください。野菜をシーソーにのせて重さをくらべました。タマネギ1個はナス2個とつりあいます。ナス1個はトマト3個とつりあいます。
  • 真ん中のお部屋を見てください。タマネギ1個とつりあうにはトマトを何個のせたらいいですか。その数だけ右のお部屋に青いをかいてください。
  • 下のお部屋を見てください。それぞれシーソーはどちらが重くなりますか。重くなるほうに赤いをつけてください。

この問題こそが、シーソーにおけるつりあいの典型的な問題で、これができるようになることが大事です。この問題の場合、たまねぎとナスとミニトマトの重さの関係を踏まえ、「たまねぎ1個とミニトマト何個がつりあうか」という問題が理解できるかどうかがポイントです。たまねぎとミニトマトの関係を、ナスを仲立ちとして考える思考法ができるかどうかが課題です。下の問題では、左右から同じものを下ろし、その上で提示された約束に基づいて関係を考えていく発想が求められています。

4. シーソーのつりあい
上のシーソーを見てください。
キャベツ1個はタマネギ3個とつりあっています。
タマネギ2個はナス4個とつりあっています。
  • キャベツ2個はタマネギ何個とつりあいますか。その数だけリンゴのお部屋にをかいてください。
  • タマネギ4個はナス何個とつりあいますか。その数だけバナナのお部屋にをかいてください。
  • キャベツ1個はナス何個とつりあいますか。その数だけブドウのお部屋にをかいてください。

この問題もつりあいの典型的な問題ですが、約束事に少し工夫があります。キャベツ1個はたまねぎ3個とつりあい、たまねぎ2個はナス4個とつりあう約束ですので、たまねぎ1個がナス2個とつりあうという置き換えをしなければなりません。その置き換えをすれば、最後の「キャベツ1個はナス何個とつりあうか」が解けるはずです。前に紹介した3の問題よりも難しく、考える力が問われます。

未測量の領域からは、こうした重さに関する問題以外にも出題されていますが、あまり多くはありません。

5. ひもの長さ
  • それぞれひもをほどいて伸ばしたとき、1番長くなるものに、1番短くなるものに×をつけてください。

6. 理科的常識・水量の変化
  • コップの中に水と氷が入っています。氷がとけたとき、水の量はどうなりますか。右から選んでをつけてください。
  • 冷たい水をコップの中に入れました。時間が経つとコップはどうなりますか。右から選んでをつけてください。
  • 水の中にひもで吊るした石が入っています。この石をコップから取ると、水の量はどうなりますか。右から選んでをつけてください。

生活の中での経験が生きてきますので、実際にやってみてください。

次回の更新は4月24日(金)です

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