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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

「第5回 KUNOメソッド交流会」

第702号 2019年12月20日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 12月15日の夕方、第5回目となる「KUNOメソッド交流会」を行いました。毎年12月にKUNOメソッドを使ってさまざまな領域で事業をされている方々が一同に会し、幼児教育をめぐる情報交換をしたり、新しい取り組みによる横のつながりを強固なものにしていこうという試みです。今年は、26の企業の方々にお集まりいただきました。最初に現在の教育状況をからめた「KUNOメソッド」の意味について、3名の方にお話ししていただきました。まず、今回始めて参加された上海の広西師範大学出版社の社長より、「中国における幼児教育とKUNOメソッド」と題したお話をしていただきました。次に、来年から幼稚園でアフタースクールを実施する森村学園の理事長より「森村学園における教育改革とKUNOメソッド」と題し、教育改革に関する森村学園の取り組みについてお話ししていただきました。最後に、SAPIX YOZEMI GROUP 共同代表の髙宮氏より「大学入試改革の現状とKUNOメソッド」と題し、幼児期からの「考える力教育」がどうしても必要だというお話をしていただきました。特に印象的だったのは、中国における行き過ぎた詰め込み主義教育に対する危惧の念を表明され、だからこそKUNOメソッドの普及に意味があり、「他のメソッドは、子どもたちの生活や遊びと切り離したところで成立している学習法であるが、KUNOメソッドは幼児の生活や遊びに立脚し、学ぶ内容や方法が考えられている点が画期的である」とのお言葉でした。なにも特別な方法を取らず、子どもの発達にとって何が必要かを考えて積み上げてきた「KUNOメソッド」ですが、中国に輸入される多くのメソッドが、心理学や脳科学の成果を取り入れた方法であるとしても、そこで行われる教育が日常の遊びや生活と離れていたのでは何の力にもならないという考え方です。開発者の私が気づかないKUNOメソッドの良さを他の方に指摘されると、改めてこの方法を広めていかなければならないという使命感を抱きます。


その後の懇親会では、異なる業種の方々と名刺交換等をする中で話がはずみましたが、私自身はメソッドの開発者として、新しい企業間の組み合わせによる付加価値の創造に期待をしています。KUNOメソッドを活用した事業は、現在大きく3つに分けられます。

1. 教室事業
国内のみならず、東アジア・東南アジアを中心に、7カ国(中国・韓国・ベトナム・タイ・インドネシア・シンガポール・台湾)において、現地人および駐在する日本人対象の幼児教室の運営、幼稚園への教材販売、アフタースクールの実施
2. 教材開発事業
KUNOメソッドを提供し、幼児向け教材・教具を開発
  1. 100てんキッズシリーズ(株式会社幻冬舎)
  2. ハローキティ・ゼミ/のりものゼミ THE RUNABOUTS(株式会社KCC)
  3. はじめてのおけいこボックス(株式会社ポプラ社)
  4. 思維訓練365天(広西師範大学出版社(上海)有限公司)
3. 出版その他
KUNOメソッドの理論書や保護者向け教育書の発行
講談社・幻冬舎・集英社などからの出版物の刊行

現在のところは教室事業、教材開発・販売事業、出版事業の3つですが、今後の展開としては「こぐまオリジナル教材」を使った通信教育事業、高齢者認知症対策事業などを考えています。本格的には2020年度からの取り組みになります。

ところで交流会当日の午後、こぐまクラブにおいて、教室事業を展開している国内・海外の教室責任者による「分科会」を開きました。海外からもご参加いただきましたので、自己紹介を兼ねて、それぞれの国の現状を伝えていただいたり、授業や教室運営において困っている点などを出していただき、参加者で教室運営のあり方を議論しました。地道な活動ですが、こうした活動を通してKUNOメソッドの輪を広げ、幼児教育に新しい風を吹き込む努力を率先して行っていく覚悟です。


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