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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

中国全土へのライブ配信

第688号 2019年8月30日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 8月23日の夜、現地時間夜の7時半から8時半までの1時間、中国版「ひとりでとっくん」の販売促進とKUNOメソッドの考え方を伝えるライブ配信を行いました。日本でも同じような手法で商品販売をしているようですが、私にとってははじめての経験ですし、日本から中国に向けてそのようなことができる仕組みも理解できないまま、代官山のKUNOメソッドライブラリーから発信しました。カメラに向かって1時間、とはいえ通訳も入りますから私の話は正味30分程度だったと思いますが、無事配信できたようです。今回は2種類の動画配信プラットフォームから行いました。ひとつは中国最大ECサイト「淘宝(タオバオ)」(アリババ傘下企業)が運営するライブ配信アプリの「淘宝主播」であり、もう一つは、中国最大書籍通販サイト「当当網」の配信アプリ「当当直播」です。中国においては極端に安い通信料でインターネットを使えるため、動画が今一番の情報発信の形になっているようです。その中で、個人の発信源としてもライブ配信の形が使われており、もちろんECサイトなども広く使われているようです。直接商品を見せたり、その場で受けた質問に答えたり、使い方を説明したり、消費者に安心感を与え、購買につなげます。実際すぐにその場で注文もできるような仕組みになっているようです。日本のテレビショッピングのようなものをライブ配信として行うという感じでしょうか。

今回は、「ひとりでとっくん365日」の中国版を今年3月に出版していただいた広西師範大学出版社の要請で行ったものですが、担当編集者の方から昨日連絡があり、視聴数は「当当直播」が 7,138件、「淘宝主播」の方はなんと 15,492件だったようです。また、その日の「ひとりでとっくん365日」の売り上げは、いつもより50%アップしたそうで、やはり効果のある宣伝方法だと思います。今回の主たる目的は「ひとりでとっくん」の販売促進ですが、もう一つ、「KUNOメソッドの教育方法」を中国の保護者の皆さまにお伝えするという目的を持って行いました。ですからライブ配信のタイトルは「大事な幼児期に考える力をどう伸ばすか」としました。そのために内容を大きく3つに分けて行いました。

1. KUNOメソッドについて
3つの教育理念と6領域の学習内容について説明する
2. 問題解説
「ひとりでとっくん365日」の内容から4つの問題を選び、それを一つ一つ解説する
3. 質疑応答
視聴者の皆さまの質問に答える
こんな質問がありました。
  1. 365日を全部購入しましたが、どのように使えばいいですか。毎日どのくらいの量をやれば適切ですか
  2. 思惟(考える力)は何だと思いますか。何歳から鍛えたほうがいいですか
  3. うちの子は右と左をよく間違えます。どう指導したらいいですか
  4. ペーパーになると子どもの集中力が切れてしまいます。子どもを集中させる方法はありますか

時間の関係でたくさんの質問には答えられませんでしたが、いただいた質問はテキストにまとめて視聴者の皆さまに公開する予定です。

商品説明だけでなく、商品を産み出した教育に対する考え方をできるだけ具体的に伝えました。今後中国で教室展開をしていくことを考えた時、やはり物を売るだけでなく、教育の考え方を広めていかなければなりません。一人っ子政策が終了し、いま中国では幼児教育がブームになっており、世界各国のメソッドが入り込んでいます。しかし多くの場合、結果をすぐに求める「つめ込み型の早期教育」がほとんどです。今それがブームになったとしても必ず保護者から見放されてしまうでしょう。本物の幼児教育でなければ根付かないはずです。それは、日本発の「式メソッド」が海外でどのように根付いていったかを見れば明らかです。シンガポールの現状を見れば、あえて説明する必要もありません。

日本では受験が絡むため、「こぐま会」のKUNOメソッドが歪んで捉えられている面があります。しかし私は、受験のためだけでなく「幼児期の基礎教育」として46年間実践を積み重ねてきました。その中で20年間かけて作り上げた「ひとりでとっくん」100冊シリーズのテキストが、いろいろなところで活用されています。偽物ではなく本物の教育だからこそ支持されているのだと思います。基礎教育の内容として作った「ひとりでとっくん」が、いまや小学校受験の教科書代わりになっています。その現実を見ただけでも、受験が特別な教育を必要としているのではなく、極めてまともな基礎教育の考え方で問題作りが行われていることが分かります。問題作りをする学校の先生方にも支持され、私が作った問題が小学校受験でも出題されるようになってきています。これは日本だけでなく難しい試験を課す上海のインターナショナルスクールの先生も「この問題集をやってきなさい」と推薦しています。本物は、言語の壁を越え、海を越えて伝わっていくのです。今の教育の現状を考えると、幼児教育の世界で日本を追い抜いていくのは、中国とシンガポールだと思っています。そこを拠点にKUNOメソッドが広まれば、きっと日本に逆輸入されるでしょう。
ある出版社の編集の方が次のようにおっしゃっていました。

「KUNOメソッドはこれから必ず世界で(特に日本以外で)急激に広がっていくと思います。日本は・・・久野先生の試みから45年経ってもその価値に気づいていないんだと、逆に驚きましたから・・・。」

9月3日から1週間、シンガポールに出張です。駐在する日本人向け教室だけでなく、現地の方向け教室(現在3教室)にも出向いて職員の皆さんの指導にあたってくる予定です。


次回の更新は9月13日(金)です

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