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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

残り半年間の学び方

第672号 2019年5月3日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 新しい時代「令和」を迎えました。子どもたちが健やかに成長し、平和な時代が続くことを願っています。

さて、秋の受験まで、残り半年足らずとなりました。4月に幼稚園・保育園で最年長になり、子どもたちの意識も変化しているはずです。昨年11月から始まった「ばらクラス」の授業も、4月で基礎段階のステップ4まで終了し、応用段階の学習に入りました。夏休み前までにすべての単元が終了するようにカリキュラムが組まれています。そして夏季講習で力を蓄え、夏季集中授業から9月半ばまで続く過去問トレーニングで、入試レベルの問題を解く力を総点検します。9月半ばから入試直前には、「ステップ7」の最後の総まとめを行い、受験本番を迎えるようにしています。基礎段階の4つのステップの中でも「ステップ4」の授業が、入試に関係する内容が一番多く見られます。そのため、「未測量」から「生活 他」の内容まで、6回にわたり1単元ずつ細かく解説したものをコラムに掲載しましたのでぜひお読みください。


こぐま会では、子どもたちの理解の道筋を踏まえ、「学びの系統性」を重視しています。教科書のない入試ですから、どうしても最初から「過去問」をトレーニングする学習になりがちですが、それでは子どもたちに本当の考える力は身につきません。1年先にできればよいものを1年前倒しでやろうとしたらどうなるか・・・だれにでも分かることです。子どもは理解できず、はもらえません。がもらえなければ解き方を教え込むしかありません。子どもたちはパターンで覚えるのは得意ですから、教え込めばそのときはできるようになるでしょう。しかし自ら獲得した認識でないため、すぐに忘れてします。こんな学習をしている子どもたちが多いのではないかと思います。間違った受験対策の典型的なパターンは、「学びの系統性」もなく、ただ入試に出たから・・・という理由だけで、何の脈絡もなくその問題を解かせることに集中する点です。こんなやり方を続けても、今の新傾向の入試問題に対して有効な対策が取れるわけではありません。基礎が何で応用が何であるのかをしっかり踏まえ、また、具体から抽象への学びの原則を踏まえてしっかりと積み上げなくてはなりません。「学びの系統性」を重視しない指導法では、カリキュラムはなく、ペーパー問題だけで授業が進行するという異常な事態が起こっています。カリキュラムがなくて、何のための授業か・・・ということですが、それが「受験勉強だ」と思われているから問題は深刻なのです。受験勉強だからこそ、基礎をしっかり身につけ、自分の力で問題を解いていけるようにならなくてはなりません。

系統性を無視した学びが行き着く先は、ペーパーのみの学習でやり方を教え込むという方法しかないのです。だからこそ、家では分かっていたはずなのに、模擬試験になると点が取れないという事態に直面するのです。これは、本当には分かっていなかったと考えるべきでしょう。もうすでに多くの過去問を学習し、「これから何を学習したらよいですか?」といった趣旨の質問を受けることが多くなりました。しかし、ちょっと待ってください。本当に分かっているのかどうか、一度疑ってみてください。

「ひとりでとっくん365日」を使って受験対策をされている皆さま。現在の教室での進度と対応づけると、01~08までの8冊の学習内容が4月までに終了したことになります。残り4冊は応用段階の課題ですから、そこに進む前に、もう一度01~08までの内容を総点検してください。その際にぜひ実行していただきたいことがあります。
  1. 正解でも不正解でも、なぜその答えになったのか理由を説明させてください。その上で、間違いの原因をしっかり把握しておいてください。不正解の時にこそ学ぶチャンスがあるからです
  2. 間違いの原因は、きわめて基本的なところにあります。それをきちんと身につけるように、繰り返しトレーニングしてください
  3. 1枚のペーパーを繰り返し多面的に行うために、質問の内容を工夫してください。その際のポイントは「逆からの質問は必ずある」ということです。シーソーで「重い順」を聞かれたら必ず「軽い順」からも聞かれます。四方からの観察で、こちらからの見え方を聞かれたら、必ず向こうからの見え方が問われます。方眼上の移動で、到達点がどこかを聞かれたら必ず出発点がどこかが聞かれます。このように、視点を変えた質問が必ず出されます。学校側が、柔軟な思考を求めている証拠です
  4. 聞く力を高め、質問の意味をしっかり理解し、自ら作業して答えを導き出さなければならない問題がこれからたくさん登場するはずです。そこで求められる「考える力」を伸ばしておくことが、残り半年となった今こそ大事です。そのためには、試行錯誤できる素材が必要です。具体物教材・カード教材を使った学習で、楽しく学び、自ら判断できる自信をつけてあげてください。その上で、ペーパー教材の難易度を高め、難しい問題に挑戦させていくことが大事です。

「ひとりでとっくん365日シリーズ」
- 学習の順序性をふまえた幼児期の基礎学習のための教科書 -



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