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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

ホーチミンでの講演会

第668号 2019年4月5日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 春休みを使って、3月28日から4月1日まで久しぶりにホーチミンを訪問し、講演会や発達診断テストを行ってきました。30日(土)には現地の人を対象とした講演会、31日(日)には現地在住の日本人を対象とした講演会を行いました。30日は、新しくオープンした高島屋の入るサイゴンセンターで17時から20時まで行い、31日は、14時から17時までこぐま会ベトナム教室で行いました。ベトナムでの教室運営は2014年から始まり、最初は現地の人向け・日本人向けの両方を行ってきましたが、日本人向けの教室は後任教師の確保に目処が立たなかったため一旦休止し、2016年からはベトナム人向けの教室のみを行ってきました。2019年3月末現在、ホーチミンとハノイをあわせて200名の生徒が「KUNOメソッド」で学んでいます。このたび日本人教師の確保ができたため、5月から日本人向けの教室も再開することになりました。そのため今回の訪問では、KUNOメソッドの内容と方法をお伝えするセミナーを開きました。2回とも演題は「大切な幼児期に何をどう学ぶか」です。

講演会「大切な幼児期に何をどう学ぶか」
  1. 教育理念
  2. 6領域構成図
  3. 6領域の学習内容
    未測量・位置表象・数・図形・言語・生活 他
  4. 幼児期に大切な10の思考法
    1. ものごとの特徴をつかむ
    2. いくつかのものごとを比較する
    3. ある観点に沿って、ものごとを順序づける
    4. 全体と部分の関係を把握する
    5. 観点を変えてものごとを捉える
    6. ものごとを相対化してとらえる
    7. 逆に考える
    8. あるものごとを、ひとまとまりにして捉える
    9. 規則性を発見する
    10. A とB, B とC の関係から、A とC の関係を推理する

ベトナム人向けのセミナーでは通訳が入るため、1時間半といえども実質45分でしたが、日本人向けのセミナーにおいては、小学校受験を希望される方も数名参加されていたために受験についてもお話しすることになり、約1時間半話し続けました。
講演会と並行して、新年中児対象の『「考える力」発達診断テスト」も行いました。一人ひとりの子どもたちを対象とした個別テストと、集団で行うペーペーテストの両方を行いましたが、特にベトナムの方にとっては幼児の発達診断テストは珍しいようで、子どもたちの様子をガラス越しに見学されたり、講演会終了後、テストを行ったスタッフが一人ひとりにテスト結果を説明する際には、ご両親で熱心に聞かれていました。もともとベトナムでは日本の教育に関心を持つ方が多く、信頼も寄せていただいています。また、ベトナムにおいても少子化の傾向があるようで、一人の子どもに対する期待が大きく、教育に対する投資も増えているようです。これから教育の力で国を発展させていかなければならないベトナムで、「KUNOメソッド」が根付いていくことを願っています。
いま、ベトナムにおける日本企業の進出は目覚ましいものとなっています。それにともない、駐在する子育て世代の教育に対する不安と期待が大きく、現地での日本人向け教育に対するニーズも高まっています。帰国後に日本の学校へ通うための準備に相当神経を使われているようで、幼児教育にも高い関心を持っている方が多いようです。また、帰国後の小学校入試に対する関心も高く、「こぐま会」をご存知の方が半分以上いらっしゃると聞いて驚きました。そのため、基礎教育と受験教育を矛盾なく進めることが要請されてきます。こぐま会にはそのメソッドがそろっています。

両国の若い子育て世代の皆さまに最後にお伝えしたことは、
  1. 教え込みの教育はしない
  2. ペーパーだけの学習では認識能力は身につかない
  3. 事物に触れ、働きかけ、試行錯誤する時間を大切にしてほしい
  4. 考えのプロセスを常に言語化させる
  5. 生活や遊びの中に学びのチャンスがたくさんあるのでそれを生かしてほしい

日本の援助で地下鉄の建設が進み、行くたびごとに新しいビルが建設されていて、国が発展する勢いを感じます。道を埋めつくす、川のように流れていくオートバイの車列におどろきながら、人々の明るい表情を見るたびに、この国の「未来」を実感します。この国の幼児教育に「KUNOメソッド」が少しでも役立つことができたら・・・そんな想いを抱きながら、帰途につきました。

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