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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

残り2カ月間の学習法 主体的学びを

第640号 2018年9月7日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 朝から夕方まで、子どもたちの声が途切れることなく続いた夏季講習会も終わり、今週からまた日常授業が始まりました。都内の入試まで2カ月足らずとなりました。長いと思っていた夏休みも意外と短く、やり残した課題の多さに焦りを感じる方も多いと思いますが、夏のがんばりは必ず実を結び、できなかった課題が解決するようになりますので、それを信じて本番の入試までがんばり続けてください。これから保護者さまは、願書を書いたり、面接の練習をしたり・・・これまで以上に忙しくなりますが、これまでの生活パターンを変えずお子さまと向き合う時間はしっかりと確保してください。生活の変化が子どもの気持ちに与える影響は大きいものがありますので、特に勉強のスタイルは変えないほうがよいと思います。また、ご両親で学校の話をしているのを耳にすると、子どもたちは必要以上に緊張しますので避けたほうがよいと思います。漠然とした中途半端な理解が一番不安を与えるからです。

講習会が終了するたびに、これからの家庭学習をどう進めるかといった質問が多かったため、夏の最後の集中授業で、保護者の皆さまに入試までの2カ月足らずの期間で効果をもたらす学習法をお伝えしました。

  1. 聞く力が最後の決め手になるので、話の内容理解の問題は毎日最低3枚は行う
  2. 暗算トレーニングは毎日5分でもよいので続ける
  3. 時間を意識させた「スピードトレーニング」は毎日行う
  4. ペーパーの枚数は実際の入試にあわせ、6~8枚をセットにテスト形式で行う。時間は30分もあればできるはず。何セットできるかは、それぞれの生活パターンで決めればよい。1時間もペーパーをやり続けるのは現実的でない。30分どう集中できるかが勝負
  5. 指示を聞き、手を動かし作業して答えを導き出す問題をたくさんこなす。作業能力が求められる典型的な問題は以下のとおり
    1. じゃんけんを使った関係推理
    2. 飛び石移動
    3. 回転推理
    4. 一対多対応/包含除
    5. 交換
    6. 法則性の理解/魔法の箱
  6. テスト形式で行ったペーパーの答え合わせは、十分に時間をとって行う。朝できなければ夕方やればよい。その際必ず答えの根拠を説明させる。正解でも間違っていても必ず行う。言語化によって理解が深まることは、教室の授業で証明済み
  7. 行動観察の対策として、場面を設定して対応する型を教え込むことはしない。自分で考え判断する、自立した行動ができるよう経験値を高めておく。そのためには、子ども同士が関わるチャンスを逃さぬように集団活動を生かす
  8. 口頭試問の練習は、答え方を教え込むことはしない。答えた内容に対し、畳み掛けて別の質問をしてくるのが今の傾向。答え方を教え込む方法では続かない。自分で考え判断し、答える経験を積むことが大事
  9. 入試1週間前には、「基本学習ボード」で繰り返し基本を確認する。すべての領域で繰り返し、偏った練習はしない
  10. 常識問題は最後までやり続ける。ここで点を落とすと全体に与える影響が大きい

これから入試までの時間は、これまでの数カ月に匹敵するほど意味があります。ほとんどの領域の学習は終え、ひとつの課題を解決する時間は相当短縮できています。その上、最近の複合問題はいくつかの領域にまたがって問題が作成されています。個々のばらばらな理解がひとつの問題で問われてくるわけですから、何が理解できていないか即座に分かります。その意味でも、最後は複合問題での練習が大事です。指示の聞き取りが最後の決め手になるのは、全く新しい、これまで一度もやったことのない問題が工夫されて出てくるからです。自分で問題を解く経験を持たせないといけないと言ってきたのは、こうした最近の問題傾向があるからです。今からでも遅くありません。教え込みのパターン学習はやめ、試行錯誤して自ら解く経験を豊富に持たせてください。主体的学びが小学校入試でも求められてきているからです。

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