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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

合格のための学習法(6)論理を育てる

第64号 2006/07/07(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 夏休みの課題のひとつである「過去問」を含めた難しい問題を解くためには、どうしても「論理の力」が必要です。最近の新しい傾向の問題に限らず、これまで出されていた問題の中にも、論理的思考力が求められている問題がたくさんありました。たとえば次のような課題がそれにあたります。

量の保存・観点を変えた分類・四方からの観察・数のやり取り・逆思考・魔法の箱・関係推理・つりあい・交換

 こうした難しい課題の場合、大人の発想で解き方の教え込みをしがちですが、それでは、形の変わった問題に対処することはできません。子ども自らが、答えを導き出せる「論理性」を身につけなくては、本当の解決にならないからです。ではどのようなものの見方を育てればいいのでしょうか。

 こぐま会では、設立当初から幼児期の教育目標として「論理的思考力の育成」を掲げ、その具体的な教育内容を定めるために、ピアジェの唱える「可逆的なものの見方」をどう育てるかを目標に試行錯誤してきました。可逆的思考には、2つの柱があります。そのひとつは、別な観点に立って物事を考えることができるようにすること。もうひとつは、時間的経過を元に戻して物事を発想できるかどうかということです。特に、ひとつの観点だけでなく、違った観点に立って物事を発想できるかどうかは、いたるところで求められています。例えば入試問題の典型である次のような「数のやりとり」がなぜ難しいのかを考えると、別な観点に立つことの難しさと、重要さがよくわかります。

  • あき子さんと太郎君が5個ずつおはじきを持っている。じゃんけんをして勝つと、負けたほうから1個もらうことができる。
  • あき子さんが1回勝ちました。太郎君よりおはじきはいくつ多くなりますか。(95年雙葉)

 この場合、多くの子どもたちは「1個」と答えるのです。なぜでしょう。勝ったあき子さんが1個増えた点だけに着目しているからです。しかし、相手の太郎君は1個減っているのです。比べる相手が1個減っているという事実をしっかり捉えれば、1個ではなく2個とわかるはずですが、そこが難しいのです。つまり、増えた花子さんだけでなく、減った太郎君の視点にも立てれば、正確に「2個」と理解できるはずです。

 この「数のやりとり」に象徴されるように、別な観点に立ったり、同時に2つの観点に立って物事を考えることができる力が「論理性」を支える基礎なのです。こぐま会では、夏休みの特別講座として「論理的思考力育成講座」を開く予定です。

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