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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

第2回 合格のための室長特別セミナーでお伝えしたこと

第635号 2018年7月27日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 7月22日(日)10時より、来年秋に受験する年中児の保護者の皆さまを対象に、「聖心に合格するために」と題したセミナーを行いました。当日は、子どものスタートチェックテストも同時に開催しました。聖心女子学院初等科の問題を分析し、学校側が何を求めているか、また、合格するためにどんな学習を積み上げていけばよいのかを1時間半かけてお伝えしました。

合格のための室長特別セミナー 第2回「聖心に合格するために」
(1) 入試改革に取り組む学校の現状
  • アフタースクール「ジョアニークラブ」
  • お弁当の注文
  • 面談日程の変更
  • 願書受付方法の変更
(2) 昨年度入試から何を読み取るか
  • 2018年度入試問題
(3) 副校長先生のお話から私たちが学ぶこと
  • 聴く力・考える力・作業する力
(4) 過去10年間の問題分析を通してこの学校の傾向を知る
  • 10年間の問題分析
  • 典型的な過去問の紹介
  • 10年間の行動観察
(5) 合格を目指す正しい学習法
  • 聞く力・・・話の内容理解の中で、いろいろな領域の問題を解く(2010年度から2016年度まで)
  • 考える力・・・事物教育・答えの根拠を自ら説明できるようにする
  • 作業する力・・・ものごとに働きかけ、試行錯誤させ、自らの力で解決する学習
(6) こぐま会の聖心対策

受験のあり方について改革を進めていこうとする学校の現状をお伝えし、その改革と入試問題や合否判定がどのように繋がっているのか、私なりの見解を述べました。1972年以来今日まで、聖心を受験する子どもたちの指導に46年間も携わってきた経験から、今何が問題になっているのかを私なりに分析し、お伝えしました。4・4・4制への移行を含む学校改革で一体何を目指しているのか、そして、ジョアニークラブというお預かりのシステムを作った狙いは何なのか。また、10月に行われる面談も、運動会等が重なった場合に変更が可能な措置をとられたのはなぜなのかなど、入試改革に取り組む現状をお伝えしました。5月に行われた女子校合格フェアに校長先生と副校長先生をお招きし、聖心の目指す教育についてお話をしていただいた中から、これから聖心を目指す皆さまにどうしてもお伝えしておかなければならない、「受験に向けて大事な3つの視点」についてお話ししました。それは、「聴く力」「考える力」の重視、そして方法として「作業能力」の重視・・・この3つの視点が、昨年の入試問題の中にどのように表現されているのかを分析しました。学校側が重視したい3つの視点が、昨年度の入試問題の中に明確に打ち出されていることをお伝えしました。この中で、特に大事だと思われる「作業能力」は、学び方に関する大変重要なアドバイスだと思います。また、ペーパーを使うだけの教育では身につかない「考える力」は、事物教育や対話教育による学習によって可能です。物事に働きかけ、試行錯誤しならが自らの力で獲得していかなければなりません。

10年間の問題を指導領域にまとめた一覧表を見ると、この学校の入試の特徴が見えてきます。それを5つの柱にまとめ、そこに力を入れた学習が大事であることをお伝えしました。その上で、過去10年間に出された典型的な問題を具体的に紹介し、問題の意図と、どこで子どもは躓くのかを分析し、どのような学習が必要かを具体的に示しました。参加者の皆さまは、相当難しい問題だとお感じになったと思います。1年後の入試でわが子がこんな難しい問題に挑戦できるのか、不安に思われた方も多かったと思います。その上でさてどうするか・・・ペーパーを毎日50枚やるという方法では、駄目だということを実感されたと思います。1枚1枚のペーパーを大事にし、そこで求められているものの見方を着実に身につけていくことが、工夫された問題を解く力になっていくのです。

こぐま会で発行しているひとりでとっくんシリーズは、100冊で合計3,000枚のペーパーで構成されており、いまや教科書のない小学校入試の教科書的役割を果たしています。しかし、3,000枚のペーパーをこなしても、「知能検査の問題」と違って同じ問題は出題されません。同じ趣旨の問題が形を変えて出題されています。ですから、3,000枚のペーパーを自分の力で解ける基礎となる考え方は、事物を使った学習で身につけ、そのうえでペーパーで確認をしていく方法がベストです。過去問を含めたペーパー問題を手当たり次第にこなしていくのではなく、そこで求められている「考え方」を事物を使って身につけていくことが大事です。「事物教育がなぜ必要か」は、問題の意図の分析と、子どもがなぜ間違えるのかの分析でお分かりいただけたと思います。

学力と同じくらい重視されている「行動観察」に関しては、時間の関係で十分お話しできませんでしたが、現在の傾向を分析し、そのために「型」を教え込む対策には何も意味がないことをお伝えしました。行動観察の分析に関しては、第5回のセミナーのテーマにもなっていますので、その場で詳しくお伝えしたいと思います。入学後に学力が伸びない間違った受験対策で、貴重な時間を無駄にしないよう、また、受験対策が将来の学習の基礎をつくり上げていくような学習を行っていただきたいという想いで、一般の方にも公開しています。特に、「ひとりでとっくん365日」で家庭学習をされる方にご参加いただきたいと思います。次回は8月30日、「雙葉に合格するために」というテーマで行う予定です。

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