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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

小学校受験のための教科書づくりをめざして

第62号 2006/06/23(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 昨年11月から発行してきました「ひとりでとっくん365日」も 08号まで完成し、これで基礎段階の学習が終わることになります。発行以来大勢の方々に使っていただき、発行部数も私たちの予想をはるかに超え、すでに01号は第二版を発行せざるを得ない状況になっています。

 このシリーズの特徴は、単に学習の順序性を踏まえて毎日一枚のペーパーを編集しただけでなく、母親のための指導書を作成したり、関連する入試問題を紹介したり・・・とこれまでの問題集とは、まったく違う発想で作られている点です。それは、幼児期の教育を、基礎から応用まで、論理的に、また実践的にもしっかり見通せないとできない作業です。

 ところで、04年3月に発行された「授業の復権」(新潮新書)と題した本の中で、筆者である森口朗氏は、こぐま会のテキストに関連し、次のように述べています。
「通常、お受験塾のテキストは『過去問』をそのまま載せていたり、如何にも小手先の変化を加えて適当に分類したものである。ところが『こぐま会』のテキストは、それらのテキスト類とは明確に異なっていた。素人的に言うなら『簡単すぎる』のだ。・・・・・中略・・・・・小学校受験には教科書がない。しかし、入試問題はある(公表していない学校がほとんどだが、どの学校の問題もほぼ把握されている。お受験した子どもたちが入試問題を再現するのだ)。そこで、親やお受験塾は入試問題を解けるように幼児に強要する。教える本人が基礎が何かを分かっていないから、とにかく入試問題を解けるようにしようとする。これが、お受験界をいびつなものにするのだ。これに対し『こぐま会』のテキスト(特に年中児用のもの)はきわめて簡単・シンプルだ。これは塾側が、お受験界における『基礎』とは何かということを把握していなければ、できない。」(P52~53)

 私たちの作るテキストが、どのように評価され、受験者にとってどのような意味を持つものなのかは、こうした第三者の意見ではじめて分かることですが、この森口氏の意見の中で、私があらためて確認したのは「小学校受験には教科書がない」という点でした。中学入試には小学校の教科書があり、高校入試には中学校の教科書があり・・・・と考えていくと確かに小学校入試にはないのです。個人塾の多くが、こぐま会のテキストをコピーして、隠れて使っているという話を、その塾に通う者から聞くと、さてこれを喜んだらいいのか怒ったらいいのか・・・また最近「ひとりでとっくんシリーズ」の中から引用したのではないかと思える入試問題が、実際に出されたりするのを見ると、もしかしたら、私たちの作るテキストが『小学校受験のための教科書』の役割を担っているのではないか。もしそうであるなら、作り手の責任は大変重いと考えざるを得ないのです。系統性を重んじ、発達段階を踏まえた「小学校受験のための教科書作り」を目指して、さらに良い教材を開発していかなくてならないと考えています。

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