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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

ステップ4関連入試問題 (2)

第618号 2018年3月31日(土)
こぐま会代表  久野 泰可

 前回のコラムでは、「ステップ4」の重要課題として
  1. シーソーによる関係推理
  2. つみ木を使った四方観察
  3. 一対多対応の応用としての交換問題
  4. 三角パズル
  5. 昔話
  6. 並び方の法則性
を挙げ、1~3までご紹介しました。今回は4~6について解説していきます。

図形領域の重要課題は「4.三角パズル」です。三角パズルに関する問題はいろいろ工夫されていますが、今回紹介する問題は大きさの違う三角を使うため、少し難しくなります。

図形構成
  • 上のお部屋のような、大きい三角パズル2枚と小さい三角パズル2枚を使って形を作ります。できる形に、できない形に×をつけてください。

三角パズルの基本は同じ大きさの三角を使いますが、この問題では大小の三角を使ってできる形を探します。小さい三角を2つくっつけると大きい三角になるということを踏まえて分割しますが、原則は大きい三角をどこに使うかをまず探すことです。同じ大きさならばすぐにできる問題でも、大小2つの三角になるとかなり難しくなります。図形分割は図形構成と裏表の関係ですから、関連付けて行うのがよいと思います。

言語領域の「5.昔話」は、常識問題として括られる場合もあります。話の中身を問う「話の内容理解」だけでなく、登場人物に焦点を当て、同じ物語に出てくる登場人物を探したり、逆に4つ並んだ人物のうち、同じ物語に出てこない「仲間はずれ」を探したりする問題が多く出されています。
今回の問題は、同じ物語に出てくるものを関係づける問題です。知識がないとできない問題ですから、その点が常識問題のひとつに考えられるゆえんです。

常識(昔話)
  • 上の絵と下の絵で、同じ昔話のものどうしを線結びしてください。

お話を思い出しながら、なぜ関連があるのか説明できるぐらい、話の内容を理解しておくことが大事です。

生活 他領域では、ステップ4で「法則性の理解」を学習しました。その中でもよく入試に出されるのが、「6.並び方の法則性」の問題です。図形がよく使われるため「図形系列」と呼んでいますが、図形以外のものが使われる場合も少なくありません。自分で描き表す問題や、選択肢から選ぶ問題などがあります。次の問題は昨年出されたものです。

図形系列
  • サルからキリンまで、お約束のとおりに形が並んでいます。あいているお部屋に入る形を考えて、赤いクーピーペンでかいてください。

空欄を埋める典型的な問題ですが、この問題の難易度が高い理由は2つあります。
  1. 基本パターンが出てくる最初の部分がすでに隠れていること
  2. や、×・・・というように、同じ形が2回繰り返される法則性になると、空欄を埋める場合に間違いやすくなる
この他にも、昨年の入試ではいろいろな種類の図形系列の問題が出ています。

以上ステップ4に関する入試問題を見てきましたが、大事な入試問題がいかに多いかがお分かりいただけたと思います。基礎段階の学習とはいえ、この「ステップ4」とその前の「ステップ3」の関連問題が、入試問題の8割程を占めている現状を見ると、基礎学力がどれだけしっかり身についているかが求められていることがよく分かります。そのためにペーパーだけの学習ではなく、具体物を使ったり、カードを使ったりして、考え方を自分で説明できるまで深く理解させなければなりません。「毎日50枚ペーパーをこなさなければ合格できない」と、パターン化されたペーパートレーニングを煽っている塾もあるようですが、そんな学習法では自ら考える力は身につきません。パターン化された問題が出されていたのは今から40年ほど前の知能テストを中心とした入試です。今は、自ら考え自ら作業して、自分で答えを見つけ出す力を身につけるために、1枚のペーパーを大切にし、いろいろな角度から深く学習することが求められています。間違った方法での受験対策は、子どもの「考える力」の成長を奪ってしまうことにもなりかねません。将来の学習のためにも、正しい受験対策を心がけてください。

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