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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

ステップ4関連入試問題 (1)

第617号 2018年3月23日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 先週でばらクラス(年長)の3月の授業が終了し、今週から春季講習会が始まりました。4日間連続のお弁当持ち講座をはじめ、学校別の講座にも大勢の子どもたちが参加しています。春休み前に「ステップ4」の図形領域まで進み、4月に行う言語領域と推理の授業が終われば基礎段階の学習が終わることになります。「ステップ4」の学習は次のように構成されています。

未測量「シーソー」
  • じゃんけん・競争による三者関係
  • シーソーによる関係推理(三者~五者関係)
  • 言葉による関係推理
位置表象「四方からの観察」
  • 四方からの具体物の写生
  • カードを使った場所さがし
  • いろいろなものを四方から観察する
数「一対多対応」
  • 具体物を使った一対多対応
  • おはじきを使った一対二・三・四対応
  • 包含除の考え方
図形「図形分割」
  • 折り紙を使った図形分割
  • 三角形の構成と分割
言語「話の内容理解・昔話」
  • 短文復唱
  • 話の内容理解(善悪判断)
  • 昔話
生活 他「法則性の理解」
  • 立方体の回転
  • 並び方の法則性
  • 変化の法則性の理解

この「ステップ4」の中には、現在の入試においてよく出される問題がたくさん含まれています。それもかなり難しいレベルの問題として出されています。その意味で、基礎段階の学習とはいえ、「ステップ4」の内容はとても重要なものばかりです。中でも、以下の課題は特に重要です。
  1. シーソーによる関係推理
  2. つみ木を使った四方観察
  3. 一対多対応の応用としての交換問題
  4. 三角パズル
  5. 昔話
  6. 並び方の法則性
では具体的にどんな形でそうした大事な考え方が求められているのか、見てみましょう。

シーソーの四者関係
上にある3つのシーソーの重さの関係をよく見てください。
  • 下のたくさんのシーソーの中で、上のシーソーの関係と合っていて正しいものに赤いをつけてください。

「1.シーソーによる関係推理」は、三者関係の推理が基本ですが、実際は四者関係・五者関係の推理として出題されています。ここに掲げた問題は、4つの形の重さの関係をつかみ、その上で、下に示されたシーソーの中から正しい関係のものを探すという問題です。1問ずつ上の関係から導き出すのでは時間がかかるため、まず上の3つのシーソーを見て、4つの形の重さの関係を把握しておかなければなりません。四者関係の理解の応用問題ですが、そもそも四者関係をつかむことができるかどうかが問題です。四者関係の解き方には次の2つの方法があります。

  1. 一番重いものを探し、次に残ったものの中で一番重いものを探し・・・という繰り返しで解く方法
  2. まず一番重いものを探し、次に一番軽いものを探し、最後に残った2つのものが載っているシーソーを探して、2番・3番を決めるという方法

a.の方法でやれば五者関係も同じようにできます。「残ったものの中から一番重いものを探す」ことが難しければ、まずb.のように分かりやすい一番重い・一番軽いものを探してから残りを考えるという方法も有効です。

「2. つみ木を使った四方からの観察」は、位置表象の学習です。視点を変えてものを見ることができるかどうかが問われる問題です。最近良く出されている問題を見てみましょう。

四方からの観察
  • 真ん中にあるつみ木をまわりにいる動物から見るとどう見えますか。下のお部屋から選んでをつけてください。

本来は、具体物を自分以外の場所から見たときどのように見えるかを問う問題で、時には実際に絵を描かせる問題として出されたこともあります。1つのものの見え方だけでなく、2つ3つのものの見え方について問われることもあります。3つになると、左右関係だけでなく前後関係も同時に求められます。昔からある典型的な問題ですが、最近の傾向として具体物ではなくつみ木の見え方を問うものが多く、上記の問題はその典型です。つみ木の問題で難しいのは、選択肢の絵が立体的でなく、平面的に描かれているところです。特につみ木が前後に重なっている場合の表現が理解できるかどうか・・・難しいところです。また、前後左右だけでなく上から見たらどう見えるか、そして透明な硝子板に載せてみんなで持ち上げ、下から見るとどう見えるかもつみ木の場合は質問として可能になります。つまり6つの方向からの問いかけがあるということです。このつみ木を使った四方からの観察の出題は、当分続くと思います。

次は、数領域の「3.一対多対応の応用としての交換問題」です。一対多対応はかけ算の考え方の基礎になるものですが、入試でよく出される課題は、お客さん1人にあげる数を示し、全体でいくつ必要になるか・・・という問題と、自転車・三輪車・自動車のタイヤに注目し、たとえば、「駐車場に車が4台止まっていましたが、すぐに1台やってきました。少し経つと2台出て行きました。今止まっている車のタイヤの数は全部でいくつですか?」というように、車の台数と全部のタイヤの数を問う問題です。自転車は1台あたりタイヤが2、三輪車は3、自動車は4・・・というように、タイヤに着目して1あたり2~4まで問うことができますので、一対多対応の練習には大変都合のいい問題です。こうした課題を通して考え方を学びますが、最近は「交換」と言われる応用問題が頻繁に出されています。次の問題はその典型です。

交換
上のお部屋を見てください。
白いカップ1個と、グレーのカップ2個の水は同じ量です。
グレーのカップ1個と、黒いカップ2個の水も同じ量です。
  • 左のお部屋に入っているものと同じ量の水が入るお部屋を右から探して、青いをつけてください。

大きいカップは中くらいのコップ2杯分。中くらいのカップは小さいカップ2杯分という約束を理解して、大・中・小1杯ずつと同じ量の水が入るコップを探す問題です。A=2B B=2C の関係からA=4Cという関係を導き出せないと解けない問題も入っています。Bを仲立ちとしてAとCの関係をつかむことができるかどうか大変難しい課題ですが、このカップの問題はまだ易しい方で、これ以上に難しい問題がいろいろな学校で工夫されて出てきます。今回の問題は仲立ちが必要な問題ですが、その前にAとBの関係、BとCの関係だけで問われる問題もあります。たとえば次のような問題はそれにあたります。

交換
  • 左のお部屋を見てください。大きいジャガイモ1個は、小さいジャガイモ3個と同じ重さです。この中で1番重い袋に青いをつけてください。
  • 右のお部屋を見てください。右の袋を左のジャガイモの入った袋と同じ重さにするには、小さいジャガイモがあといくつ必要でしょうか。袋の中にその数だけ青いをかいてください。

大きいジャガイモ「A」と小さいジャガイモ「B」の重さの関係をA=3Bとし、AをBに置き換えるか、あるいはBをAに置き換えて解いていく問題です。こちらのほうが易しい基本問題ですが、それが発展すると、最初に紹介したカップの問題のようになっていくのです。易しい問題から少しずつ積み上げていくことが大事です。

以上、「ステップ4」の重要課題のうち、「未測量」「位置表象」「数」の3領域についてお伝えしました。来週のコラムでは、引き続き「図形」「言語」「生活 他」についてお伝えいたします。

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