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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

噂話で足元をすくわれないように、正確な入試分析を

第609号 2018年1月26日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 昨年12月3日に行った「2018年度 私立小学校入試結果報告会」に引き続き、1月21日からは「学校別入試分析セミナー」が始まりました。すでに大森教室では、慶應義塾幼稚舎と暁星小学校の分析が昨年末に終了していますが、女子校中心の恵比寿本校では、21日に聖心女子学院初等科を始はじめとする4校分を実施しました。今後も日曜日にセミナーを予定しています。私が担当した聖心女子学院初等科のセミナーには80名を超す皆さまが参加され、満席でお断りせざるをえなかった方も大勢いらっしゃったようです。もう20年以上も続いているセミナーですが、単に出題された問題を公表し、お伝えするだけでなく、その問題の意図するところ、どこで差がついてしまうのか、どのような学習が有効かを、普段の授業と絡めて分析しています。そして、どんなタイプの子どもが合格しているのか、学力がありながら合格できなかった原因は何なのか、また、合格者の1年間のテスト結果を調べ、どの程度の学力が必要なのかもあわせて分析し、お伝えしています。そうした情報をまとめて、学校別に「教室指導者からのメッセージ」の冊子と、10年間の過去問を集めた「過去問とっくん」の問題集を発行してきました。

入試情報が公開されていない現状での情報誌の発行には、相当の苦労があります。まず、問題をどのように集めるかについては、試験当日入試の終わった子どもたちに教室に来てもらい、問題の聞き取りをします。しかし、1人の子どもが覚えてきたものには限界がありますから、5人、10人と聞いていくなかで、大体の問題が判明します。聞き取るわれわれも非常に感心するのは、「話の内容理解」が問われる長い話をほとんど間違いなく再現する子どもたちの能力です。保護者の皆さまにもいろいろお聞きし、試験場の様子や欠席者の数、面接試験の内容など・・・知っておきたいあらゆるものについてお聞きし、聞き取りに協力していただいています。そうしてできた資料が、冊子や問題集になってSHOPこぐまや書店に並ぶのは4月前後になるかと思います。

正確な情報をぜひ受験生の皆さまに知っていただきたい。間違った噂話や、塾側が行う勧誘のための意図的な情報操作によって足元をすくわれないように、事実に基づき冷静な判断をしていただきたい。そのためには、正確な情報を伝えなければならない・・・受験を扱う以上、これも大事なわれわれの仕事だと考え、取り組んできました。いまだに学校側からの積極的な情報公開がない小学校受験ですから、子どもたちを送り出すわれわれがやるしかありません。機会あるごとに「情報公開」を学校関係者にお願いしてきましたが、横並びの情報未公開はまったくの時代遅れであるし、その結果として間違った受験対策を助長しているのです。今、どの学校も時代に合わせて入試改革を行っていますが、一番行うべき情報公開がなされていないのは理解できません。
さて、今回の分析セミナーは以下のような内容で行いました。

2018年度 学校別入試分析セミナー
1. 2018年度入試はどのように行われたか
a. 入試に関する情報
b. 入試問題の解説・・・学力試験、行動観察、面接c. 何が求められていたか・・・典型的な問題の分析
2. 合否判定はどのように行われたか
a. 合格者数・受験者総数
b. 合格者の1年間のテスト成績
c. 最後のテスト結果との相関関係
3. 2019年度の入試を予想する
a. 10年間の問題の変遷
b. 注目すべき傾向を読み取る

セミナーでは、11枚のペーパー試験についてどの問題が得点差につながったのかを明らかにしました。また、それぞれの問題が過去に出されたものの発展なのか、まったく新しいものなのかを分析し、どんな対策が必要かをお伝えしました。非常に重視されてきている行動観察と面接の内容もあらゆる角度から分析し、そこで問われているものが何なのかもお伝えしました。そしてこうした動向が、この学校独自の動きなのか、入試全体としての傾向なのかも調べ、合格に導くために家庭ですべきことを具体的に明らかにしました。また、1年間の成績と合否の関係から、いかに聖心が「実力主義」の学校かを証明しました。特に9月に行った最後の模擬テストと合格者の関係を見ると、短い時間のテストで合否の判断を下す学校側の客観性に、ただ驚くばかりです。

2016年秋の入試で合格者の出し方の異変に最初に気づき、そのことをお伝えしたのは、昨年の同セミナーでのことでした。今になっては周知の事実ですが、補欠合格者の動きがないところから見たわたしの判断が正しかったことは、その後の裏付けで証明されました。今年は昨年と違い、補欠の繰り上げ合格者は見られます。現在何名まで動いているか把握していますが、極めて神経質な問題ですのでここでは公表できません。しかしこうした事実とともに、兄弟関係者や卒業生であっても合格をいただけなかったことを総合すると、公平な「実力主義」の学校であることだけは間違いありません。子どもたちを送り出す側から見ると、だれもが公平に受験できる実力校として保護者の皆さまにお勧めしたいと思っています。

2月4日まで、日曜日を使った分析セミナーは続きます。これが終了してはじめて、私たちにとっての2018年度入試が終わります。学校によってはまだお申し込みが可能なセミナーもありますので、ぜひ第1志望校についてはご参加ください。

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