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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

最後のメッセージ

第596号 2017年10月13日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 願書提出も終わり、都内でも三者面接が始まりました。来週は、神奈川の学校で本試験が実施されます。各学校でどれくらいの応募者があったのかは、これから判明してくるはずですが、今年から試験日を2日間にした洗足学園小学校では、相当の倍率になっているようです。教室運営の現場から見える保護者の皆さまの動きからは、今年は1人あたりの併願校の数が増えるために、各学校とも昨年に比べて倍率が上がるのではないかと予想されます。リーマンショックや東日本大震災の影響で冷え込んだ私立小学校の受験者数が、回復傾向にあるようです。働く母親に寄り添った学校側のさまざまな改革の結果、母親が仕事に就いていても私立小学校側は受け入れてくれるという認識が広まった影響も大きいように思います。私たちの教室も、年々母親が仕事を持つ子どもたち、保育園に通う子どもたちの入会が増え、土曜日開講のクラスはすぐに満席になる状況です。小学校受験だけでなく、世の中全体として「幼児教育」に注目が集まっている現状ですから、今後は、幼児期の教育の成果として小学校受験を目指すご家庭が増えていくのではないかと思います。ただ、小学校選びには昔と違った傾向が見られます。私も45年間受験の現場にいて進路相談も行ってきましたが、保護者の方々の学校選択の基準が変わりつつあるように感じます。もちろん、私立小学校の設立理念や指導方針に賛同して受験することには変わりありませんが、大学までエスカレーター式に進学できる魅力よりも、将来の受験(中学~大学)に対するきちんとした学習指導を求めるご家庭が増えているのではないかと感じます。学校側が望んでいることではありませんが、たとえ一貫校でも、大学だけは本人の職業選択も含め自分で決めさせてあげたい、そのときに受験に耐えうる学力が身についているのかどうか・・・そうした観点で学校を選ぶ方が増えているように思います。これは、女性の社会進出と大きく関係しているように思います。昔はあまり気にされませんでしたが、その学校の高等科からどの大学に何人入ったのかを学校選びのひとつの基準にされる方々も増えてきているのは事実です。そうした動きを学校側が歓迎するかどうかは一概に言えません。「うちは受験校ではありません」とはっきり言う学校が増えていることも事実です。6年間あるいは9年間の教育を信頼して志願してほしいというメッセージは、多くの学校から聞こえてきます。ただ、新設校の生き残りには、上級校への「受験」の要素がどうしても強くなるのは仕方ないのかもしれません。

さて、もうすぐ始まる入試に対し、最後のまとめの時間が足りないと嘆いている方が多く見られますが、あせってもよいことはありませんので、落ち着いて最後までがんばりぬいてください。入試直前の学習を効果的に行うにはどうすればよいのか、OBの皆さまのご意見も踏まえ、ここに最後のメッセージとしてお伝えします。

  1. 登園前の学習に力を入れる(朝型学習を徹底する)
  2. 30分間集中して取り組めるように、8枚程度のペーパーを前日に準備してセットしておき、翌朝それをテスト形式で行う
  3. 試験前に幼稚園・保育園を休んで家庭で学習する時間を確保するようなことはしない
    入試まで淡々と、これまでどおりの生活リズムを崩さない
  4. 自信をなくすことに一番気をつけなければならないので、8枚のペーパーは基本問題を中心とし、「自分はできるんだ」という自信を叩き込む。難しい問題は、8問中2問くらいにする
  5. 答えの根拠を必ず説明させる。問題によっては、子ども本人に問題をつくらせる
  6. 感覚を鈍らせないために暗算練習は毎日5分。話の内容理解は、読み聞かせも含め、毎日10分間は続ける
  7. 常識問題の出題数が増えているので、広範囲にわたって毎日続ける。知識を問う問題はここでこそ得点してくださいという学校側のメッセージであるため、ここで間違えるとその影響は大きい
  8. やり残したことや間違えたことを気にすると、次の問題が平常心で聞き取れないので、時間が足りなくてできないという経験、難しくてできないという経験を意識的に持たせ、それでも次の問題はがんばりぬくという強い精神力を鍛える
  9. スピードトレーニングは、単純作業を時間を決めて行い、意識すればたくさんできるという経験を持たせる
  10. 作業して答えを導き出す問題を必ず毎日行う
  11. 口頭試問に対する答えを丸暗記していくようなことは絶対しない。今の面接は、答えた内容に対してまた質問するという形式で行われるため、丸暗記ではなくそのことについて考え、話し合う経験をたくさん持たせること。これは、子どもだけでなく保護者の方も同じことです

最後に、現在の傾向を踏まえ、もう一度確認しておきたい領域別の重要課題を列挙します。これだけですべてではありませんが、難しい問題に変化することが多い問題を掲げます。

未測量シーソー / つりあい / 言葉による関係推理
位置表象つみ木を使った四方からの観察 / 地図上の移動 / 飛び石移動 
一場面の総合問題 / 交換 / 数のやり取り
図形図形構成 / 対称図形 / 重ね図形
言語一音一文字 / 言葉つなぎ / 同音異義語 / 話の内容理解
その他魔法の箱 / 回転推理 / 常識


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