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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

新年長ばらクラスの授業が始まりました

第553号 2016年11月4日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 先週から新期ばらクラスの授業が始まりました。来年秋の受験に向けて、48回の授業が行われます。昨年全面的にカリキュラムを改訂し、現在の入試で問われる課題も組み込みながら、基礎から応用へ系統立てた授業を行うように計画しています。来年4月までに基礎段階の学習を終え、5月~7月は応用段階の学習に取り組みます。夏休みに受験に向けた実践的なトレーニングを積み、最後の9月~10月は、総まとめの授業を行います。

ところで、最近の入試には、いくつかの傾向が見られます。
  1. 工夫された問題が他校に波及する速度が速くなっている
  2. 知識を問う問題から、自分で作業し答えを導き出す問題が増えている
  3. 図形問題を中心に、工夫されたオリジナルな問題を学校側が用意している
  4. 論理的思考力が身についているかを見るために、思考の言語化を求めている
  5. 行動観察の比重が高まっているが、「型」を教え込むような準備教育を学校側は、好ましいと思っていない

入試問題が、我々が主張してきた「幼児期の基礎教育」の中身に近づいてきたということです。その証拠に、私が20年間をかけて現場で作り上げた「ひとりでとっくん」シリーズ100冊の中から、多くの問題が出されています。教科書のない入試の教科書的役割を「ひとりでとっくん」が果たしているのが現状です。多くの幼児教室で、無許可でコピーして授業で使っている現状は著作権の侵害で、好ましいと思っていませんが、いずれ法的な措置が取られるはずです。こうした現状を見ると、こぐま会で実践してきた幼児期の基礎教育が、入試問題の中心になってきていることだけは間違いのない事実であるし、やっと長年の我々の想いが報われた気持ちになります。

こぐま会の基礎教育は、3つの理念で支えられています。
  1. 教科前基礎教育
  2. 事物教育
  3. 対話教育

また、学習の方法として、3段階教育法を実践してきました。
  1. 体を使った集団活動
  2. 手を使った個別学習
  3. 頭を使ったペーパートレーニング

幼児期の基礎教育は、物事への働きかけを重視した事物教育が基本です。今はやりのアクティブ・ラーニングの典型です。この経験を経ないで、最初からペーパーを使った過去問トレーニングを行っても、子どもたちの考える力は育ちません。受験といえども、幼児期の教育に携わる者は、この点を心に銘じておかなければなりません。そうでないと、受験対策の名のもとに、子どもたちの成長する芽を摘み取ってしまうことになりかねません。

今週から、都内でも2017年度入試が始まっています。結果も続々報告されていますが、今年の入試の総括は、12月18日に予定している、「入試結果報告会」において詳しくお伝えする予定です。「母親が仕事を持つ家庭は入試には不利だ」と言い続けてきた多くの幼児教室。そんな中で、「保育園だからといって差別されることはない」と言い続けきたこぐま会の進路指導が間違いでなかったことは、アフタースクールに象徴される学校側の対応を見れば明らかです。2007年以来、減り続けてきた私立小学校の受験者数も下げ止まり、今年は、前年に比べ増加傾向にあるのではないかと思います。安泰とは言えませんが、私立小学校側が心配していた受験者減に歯止めがかかった今こそ、改めて小学校受験が子どもに及ぼす影響を考え、正しい幼児教育がおこなわれるよう、学校側からも正確な情報を発信していただきたいと思います。そうでないと、商業主義の教育機関から間違った情報、生徒集めに有利な自分勝手な情報が流される危険性があります。小学校受験のための準備教育が、幼児期の基礎教育の動機づけになっていけば、送り出す塾側も受け入れる学校側も、子どもの将来にとって意味のある教育が実践できるはずです。

多くの時間と多くのお金をかけて行う準備教育だからこそ、将来の教育の礎になっていってほしいと願っています。「5歳までの教育が人の一生を左右する」といったジェームズ・ヘックマン氏や「幼稚園では遅すぎる」と、幼児期の基礎教育の重要性を訴えた井深大氏。幼児期の教育が大事だと言いつつ何をどうやったら良いのかが明確になっていない現在、こぐま会の「セブンステップスカリキュラム」は、その答えに十分耐えうる内容を持っています。その基礎教育を受験準備の教育としても意味のある内容として実行できるようになったのですから、入試は大きく変化したといっても過言ではありません。

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