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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

合格を目指す環境づくり

第537号 2016/7/9(Sat)
こぐま会代表  久野 泰可

 年中児以下の保護者の皆さまを対象に、これから12月まで、7回にわたり「合格のための室長教育講演会」を行う予定です。その第1回目が6月26日(日)に行われ、大勢の皆さまに参加していただきました。このセミナーの目的は、小学校入試がどのように行われているのかを正しく理解していただくことと、最近の入試傾向を正確に知っていただくことです。その上で、正しい方法で受験準備の教育に当たっていただきたいと願っています。2011年の東日本大震災以降、下降気味だった私立小学校の受験者数も、やや上向き始めた感があります。また、入試のみならず幼児期の基礎教育の重要性が叫ばれ、皆さまの関心事になっていることは確かです。ジェームズ・ヘックマン氏が「5歳までの教育が人間の将来を左右する」と言ったことに触発されて、世界的な幼児教育ブームになっているように思います。そうした中で、小学校入試に向けた準備教育が、ペーパーを何枚もこなすだけの詰め込み教育ではなく、将来の学習の基礎となる「考える力」を育てる基礎教育として実践されることを願っています。今回のセミナーでは「合格を目指す環境づくり」と題し、以下のような内容で行いました。

合格のための室長教育講演会
第1回 「合格を目指す環境づくり」
1. 40年間の入試の変遷
2. いま、何が変わろうとしているのか
3. 小学校入試の合否は、学力だけでは決まらない
4. どんな子どもが複数校合格しているか
5. 合格を目指す環境づくり

では、話の要旨をメモ風に、箇条書きにしてみます。
1. 40年間の入試の変遷
(1) 知能テスト的な問題を出していた時代
(2) 高度経済成長時代 受験者の増加に伴い大量のペーパーを課していだ時代
(3) 臨床心理の専門家からの警告によりペーパーを一時廃止した時代
(4) 少ないペーパー試験 + 行動観察 + 面接試験が基本の今の時代
(A) 保護者の入試に対する考え方の変化は、次の2つの出来事と関係がある。つまり、この2つの出来事を経験し、小学校受験の意味を問い直す動きが出てきた
  • 2008年 リーマンショック
  • 2011年 東日本大震災

その結果、2008年以降、小学校受験者が減り続き、やっと昨年あたりに下げ止まった感じがする。

(B) 入試を行う学校側の考え方の変化は、つぎのような社会の動きが影響している
  • 受験者数の減少
  • 女性の社会進出
  • これからの時代求められる学校運営
  • 情報公開の時代 ・・・ 閉鎖的な学校が、開かれ始めた
    公開授業・お楽しみ会・説明会の持ち方・アフタースクール
  • 学力観の変化 ・・・ 大学入試改革
  • 20年後の社会を想定した子ども観の変化

2. いま、何が変わろうとしているか
  • 学校側の教育方針の変化
  • 大学入試・卒業後の進路
  • 説明会での学校側の変化 ・・・ 情報公開
  • 入試の内容と方法・合否判定の方法
  • 入試問題 ・・・ 考える力・作業する力・表現する力が求められている
  • 行動観察重視の中で ・・・ 絆・和の精神・他者への思いやり
  • 面接試験 ・・・ 父親の子育て参加が求められている

3. 小学校入試の合否は、学力だけでは決まらない
  • 合否判定はどのように行われるか ・・・ 実力主義だが学力主義ではない
  • ペーパーだけやればよいという間違った考え方は排除される
  • 認知能力だけでなく非認知能力も重視される
    非認知能力の重視 ・・・ 大学入試の変革
    暗記型教育からアクティブラーニングへ
  • ではどんな子どもが有利か
    自分で考え、自分で判断し、自分で行動できる自主性のある子

4. どんな子どもが複数校合格しているか
  • 学力はある程度必要
  • しかし、数値化された点数順には決まらない
  • 子どもの性格
    明るく元気な子
    メリハリのあるけじめのつけられる子
    自分で考え、自分で判断し、自分で行動できる子
    他者に対する興味・思いやり・楽しみの発見
    学力は、行動面に表れる
  • 複数校合格例が増えている
    学校が好む子ども像が共通化している

5. 合格をめざす環境づくり
(A) 小学入試の受け止め方
なぜ小学校を受験させるのか
子育ての総決算としての入試
幼児期の基礎教育が、これからの成長に及ぼす影響
(B) 父親の参加
家族一丸となっての取り組み
こぐま会で実践する父親教室(お父さまのための「土曜ゼミ」 )
(C) ペーパー主義の教育は今の時代の入試に合わないだけでなく、幼児期の基礎教育として間違っている
(D) 競争原理を持ち込まない
(E) 自立した子どもの成長へ、家族みんなが協力する

以上、簡単に箇条書きにしましたが、小学校入試を初めて考え始めた保護者の皆さまは、これまで持っていた小学校受験のイメージが相当変わったように思います。幼児期の基礎教育の一環として、小学校入試をどう捉えたらよいのか・・・セミナー終了後もいろいろなご相談がありました。業者側から流される間違った情報や噂話で足元をすくわれないよう、正確な情報に基づいた冷静な判断をお願いしたいと思います。

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