ページ内を移動するためのリンクです
MENU
ここから本文です
週刊こぐま通信
「室長のコラム」

「コラム500号達成」
  幼児期の基礎教育と正しい受験指導を目指して

第500号 2015/9/25(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 10年ほど前から書き続けてきた「週刊こぐま通信 室長のコラム」が、今回で500号を迎えました。
毎回お読みいただきありがとうございます。また、そのことがきっかけでお会いしたり、メール交換をすることができたりと、現場で教育活動をする者にとって、これほど幸せなことはありません。

「幼児期の基礎教育を確立したい」・・・そんな想いで飛び込んだこの世界ですが、民間の教育機関である以上、どうしても「受験」を避けて通ることはできません。しかし、間違った受験教育だけは絶対にしないという信念のもと、幼児期の基礎教育と受験教育を両立させながら現場に立ち続け、そこで感じたこと、考えたことを書きつづってきました。別な見方をすれば、発言せざるを得ない大きな壁が常に立ちはだかっていたからにほかなりません。その壁とは、日本における幼児教育の内容があまりにも貧弱であるということ、一方先進的とさえ思える受験教育が、実は、間違った教え込みの教育に走り、子どもたちの成長を阻害している場合が多いということでした。こうした乗り越えなくてはならない現実があるからこそ、現場にこだわり続け、発言せざるを得なかったのです。

43年前、大学卒業と同時に渋谷で幼児教室の立ち上げに関わり、それ以来今日まで、子どものいる現場で幼児期の基礎教育の在り方を考え続けてきました。大学卒業当時は、井深大氏の『幼稚園では遅すぎる』(サンマーク文庫,1971)と題した本がきっかけで、ある種の幼児教育ブームが起こっていました。そして今また、ジェームズ・ヘックマン氏の「5歳までの教育が人の一生を左右する」という主張に触発されて、幼児教育ブームが起こりつつあります。今後、教育改革の中心に、「幼児教育改革」が位置付けられていくのは間違いありません。

しかし、ここに大きな問題があります。それは、井深氏の時もそうでしたが、幼児教育の重要性が叫ばれても、「何をどうすべきか」の具体的な方法論がないために、掛け声倒れに終わってしまうということです。今また、湧き起っている幼児教育ブームも何ら変わりません。内容抜きの議論は長続きしませんし、間違った方向に向かう危険性さえはらんでいます。今私が一番懸念しているのは、幼児期の基礎教育の中心に「読み・書き・計算」を置こうという動きです。つまり、小学校低学年の内容を薄めて下すという発想です。文科省に近い人たちの中にも、そうした考え方が根強くあり、「幼児期の基礎教育の中心は、読み・書き・計算でよい」と言い切る人たちもいます。しかし私たちは、「教科前基礎教育」という理念を掲げ、小学校以降始まる教科学習の基礎をこそつくり上げるべきだと考え、実践してきました。すなわち、「考える力」の基礎を育てることを教育活動の中心にすべきだということです。

こうした考え方で日々の実践を積み重ね、それを「KUNOメソッド」として体系化した10年前ごろから、多くの方々との交流が始まりました。そのきっかけとなったのは、全国の書店でオリジナル教材を販売してきたこと、それに、このコラムを書き続けてきたことです。日常の教育指導で起こる些細なことから国の教育方針に至るまで、幼児期の基礎教育と小学校受験に関して考えたこと、感じたことをつづってきましたが、その現場の意見が貴重だったのかもしれません。現在体系化した「KUNOメソッド」は、こぐま会の日常基本クラスの授業はもちろん、提携する多くの教育機関や新しい発想の教材作りを通して、多くの子どもたちに提供されています。その仕事は大きく分けて3つあります。

1. 海外での教育事業
ベトナム・中国・インド・韓国における教室運営及び教材販売
2. 国内での教室事業
(株)チャイルド社、SAPIX YOZEMI GROUP、大木スクールと提携しての教室運営
3. 国内での通信教育および教材販売事業
(株)幻冬舎 エデュケーション局との「100てんキッズ」、(株)KCCとの「ハローキティ・ゼミ」、(株)ピーエーワークス「こぐまなび」を通しての教材販売および通信事業

500号達成を記念して、現在「KUNOメソッド」を提供し、一緒に仕事をさせていただいている皆さまよりメッセージをいただきましたので、ここに紹介させていただきます。

「こぐま会ベトナム」
 代表 国本和基 様
 こぐま会ベトナムオフィスでも「室長のコラム」を翻訳し、ベトナム人先生に共有・教育しております。お陰様で開始から1年半で120名もの生徒達がこぐま会ベトナムへ来てくれております。ベトナムのお母さん、お父さんから「日本の教育が、こぐま会がベトナムに来てくれて本当に嬉しい。」「ホーチミンだけではなく、他の都市にも早く進出してほしい」という声を聞く度に、嬉しさと共に責任を感じながら、日々クラスを行っております。
今後も成長を遂げたスタッフとベトナムの教育発展、子供の将来に多くの可能性を創るという想いを胸に、こぐま会を広げていきたいと考えております。

「百花学習塾」
 代表 鄧勇 様
 私どもが久野先生および日本の皆様のご協力のもと、ここ中国上海市において、KUNOメソッドに基づく幼児教室「百花学習塾」を開始してから、今年で9年目になりました。中国の教育熱心な保護者の方々にKUNOメソッドは大変好評で、当塾は今や上海市内4箇所に計500名のお子様を会員に迎え、また現地のスタッフ達も鋭意、日々のクラスを通じて中国の子供達の才能を開花発展させ、その将来を拡げることに取り組んでいます。
今後とも当塾へご支援、ご指導を賜りたくどうぞよろしくお願い致します。

「韓国こぐま会 Kuno Method」
 代表 呉盛一 様
 韓国こぐま会Kuno Methodは、韓国全国の幼稚園などでKuno Methodを学んでいる多くの園児のために今日も頑張っております。「室長のコラム」は、韓国こぐま会Kuno Methodにとって大きな情報元であり、大きな力になっております。コラムを翻訳し、韓国幼稚園の先生の教育資料にしております。
教育熱が高い韓国では、幼児教育から保護者が熱心で、各幼稚園の先生からのさまざまな要求にいつでも答えを出せないといけない毎日であります。これからも、私たちは日々勉強をしながら、Kuno Methodを韓国の幼稚園にもっと広げていきたいと思います。

「インドこぐま会」
 代表 大澤仁志 様
 インドで教室を開設し、1年半が経過しました。KUNOメソッドは現地において大きな反響をもって迎えられ、今後、ますます拡がりをみせることと思います。ニューデリーでスタートしたインドこぐま会は、インドにおける幼児教育界の、まさに新しい風となって各都市に伝わることと確信しています。
先生のご活躍を業界全体の目標・お手本として、スタッフ一同、事業にあたりたいと思います。

「幼児教室サピックスキッズ supported by こぐま会」
 SAPIX YOZEMI GROUP 共同代表 髙宮敏郎 様
 サピックスキッズ事業部 サピックスキッズ代々木校 金澤信介 様
 こぐま会様の協力のもと、サピックスキッズを開校して今年で2年目になります。サピックスキッズでは久野先生のご指導のもと幼児期の基礎教育を実践し、小学受験をされない方も数多くご参加されています。この教室で学習することで、小学校の教科学習の土台となる「考える力」と「表現する力」を育むきっかけにして頂きたいと思い、日々教室を運営しています。
今後益々すばらしいご活躍をされることを祈念いたします。

「こぐまチャイルド会」
 株式会社チャイルド社 幼児教育部 企画室 小栗啓志 様
 私たち(株)チャイルド社 幼児教育部では、保護者の経済格差による子ども達の教育格差の是正を目指し、「すべての子ども達に最適な幼児教育」を提供することを目標に、これまで8年間、保育園、幼稚園でのKUNOメソッドの普及に努めて参りました。その間、多くの保育園、幼稚園に通うお子さま達と一緒に学ぶ機会がございました。そして私たちは、日本の未来を担う子ども達の幼児教育格差は、大人たちの想像をはるかに超えていることを実感致しました。そんな中で事物教育を中心としたKUNOメソッドでは、保護者のサポートを受けられない子ども達から、小学校お受験を考える子ども達まで、幅広い層に対応した数少ない系統立ったカリキュラムだと多くの保護者、並び園長先生から支持を受けております。
そして、KUNOメソッドにある回答の言語化は「21世紀型スキル」の1つでもある「コミュニケーション力」のひとつと大きく関連していることを実感しております。21世紀型社会で必要とされる「話す力」、「伝える力」を養う上でも、KUNOメソッドは非常に有効な学習方法であり、21世紀型スキルを身に着ける土台としても最適な幼児教育であると、日々のレッスンの中で実感しております。

「大木スクール こぐま会 広島校」
 大木スクール 副塾長 豊田紘彰 様
 久野先生、こぐま会の皆様のご支援により、2015年1月から大木スクールでこぐま会のKUNOメソッドを広島の皆様にご提供できるようになりました。まだ1年も経ちませんが、こぐま会の教科前基礎教育・事物教育・対話教育の意義が浸透しつつあると感じております。今後もスタッフ一同協働し、さらにこぐま会の掲げる正しい幼児教育を広めていきたいと考えております。

「100てんキッズ」
 株式会社幻冬舎 執行役員 エデュケーション局局長 中村晃一 様
 私ども幻冬舎の久野先生との出会い、そして協業の取り組みは2012年初頭から始まりました。こぐま会に直接来れないお子様や保護者の皆様のためのみならず、小学校受験はしないご家庭にもKUNOメソッドの素晴らしさを体感いただくために、2012年8月よりこぐま会×幻冬舎のコラボによる新教材「100てんキッズ」を発刊いたしました。いまや発行点数21点、総部数196,000冊の幼児教材に成長いたしました。
今後におかれましても、未来の子どもたちの夢のために末永くお元気でご活躍されますことをご祈念申し上げます。

「ハローキティ・ゼミ」
 株式会社KCC 事業本部長 深澤直 様
 「こぐま会の教育をより多くの子供たちに伝えたい」、そんな我々の思いにご賛同頂き、本年4月からスタートさせて頂きました「ハローキティ・ゼミ」も、早いものでもうじき半年を迎えようとしております。当ゼミのために先生方が作って下さった教材は、ハローキティの世界観と見事に融合し、多くのご家庭、幼稚園、保育園にて、子供たちに学ぶことの楽しさを伝えると共に、その思考力を育んでいます。
「ハローキティ・ゼミ」を世界中の子供たちに愛される教育に育て上げること、以ってこぐま会の教育を世界の幼児教育のスタンダードとすること、それこそが我々の使命と自覚し進んで参る所存です。

「こぐまなびプロジェクト」
 プロデューサー 星川正幸 様
 先日発表させていただきました「こぐまなび」プロジェクトでは、この永く紡がれてきた「KUNOメソッド」を活用させていただき、タブレットとアニメーションによるオンラインの幼児教育カリキュラムの開発を進めております。このプロジェクトは地理的な条件などで教室には通えない全国のこどもたちにも、タブレットとネットワークで「KUNOメソッド」による学びを届け、自分の未来を切り開く「考える力」を育む幼児教育の一助になれればと考えております。
今後ますます先の見えない時代に、「KUNOメソッド」は今まで以上に必要とされ、この揺るぎない教育の根本があればこそ、新しいツールは新しい力になると信じて、これからの10年に向けて、私どもも努力を続けて参ります。
株式会社ピーエーワークス
 代表取締役 堀川憲司 様
 専務取締役 菊池宣広 様
 500回に渡ってお続けになるエネルギーは、まさに久野先生の未就学児教育への情熱が、その源泉に他なりません。
私どもも同様の心構えで「こぐまなび」プロジェクトに取り組んで行こうと気持ちを新たにしております。

教室指導で培った「KUNOメソッド」を、このように多くの皆さまに使っていただけることを本当に幸せに思います。こうした皆さまとの協働で、「KUNOメソッド」が広がっていくことを願っています。

PAGE TOP