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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

残り4カ月・これからの学習で必要なこと

第488号 2015/6/26(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 こぐま会の「セブンステップスカリキュラム」による受験指導は、4月末までに基礎段階の学習である「ステップ4」までを終了し、現在は応用段階の「ステップ6」の学習に入っています。7月中旬でこの「ステップ6」も終了し、夏休みから入試直前までは、入試に向けた総合トレーニングを行います。「ステップ4」までの内容で入試問題の8割ほどをカバーしていますので、現在はほとんどの過去問が学習可能になっています。ただ、単元学習が終えても、入試問題は、いろいろな要素が複合されて出されていますので、単元学習が終了したからと言って、過去問が簡単にできるわけではありません。さまざまな領域での基礎的学習が連携しあって、「考える力」が形成されていきますので、そうした連携学習が必要です。これから、入試にとって一番大事な「夏休み」を迎えるわけですので、効果的な学習を心がけなくてはなりません。

現場で子どもの指導にあたっていると、今の子どもたちの弱点がよく見えてきます。その弱点を克服するために、何をどのように学習したらよいかをまとめてお伝えしましょう。

現在の子どもたちにとって壁になっていることは、

(1) 1回の指示で問題の意図および答え方が理解できない
(2) 時間内に終わらない
(3) 数の問題になるとすぐに指が出てくる。その結果暗算能力が身に付かない
(4) 単純に一つのことを聞く問題はできても、複合された問題になるとお手上げ
(5) 難しい問題が正解できても、「なぜ?」という質問に答えられない。ペーパーはできても、問題を解く考え方を自らの言葉で説明できない
(6) 内容は簡単でも、作業して答えを導き出す課題は総じて苦手である
(7) 今までやったことのない問題、見たこともない新出問題になると、問題の意図の説明すらも聞き取れない

こうした現状を踏まえ、応用学習の段階である今こそやらなくてはならないのは、次のようなことです。

(1) 問題の意図がしっかり聞けたかどうか、問題文を子どもに復唱させる
(2) 答えの根拠を必ず言葉で説明させる。正解していても、間違っていても必ず行う
(3) 暗算能力は、相当高めておく。わからなければ指ではなく、おはじきなどの具体物を使わせて操作させ、できるようになったらその操作をイメージさせて行う。数の内面化は、受験にとって不可欠である
(4) 飛び石や、じゃんけん移動等、作業して解かなければならない問題を数多くこなし、作業することに対する抵抗感をなくしておく
(5) 新出の問題は可能な限り練習しておくべきだが、予想される新出問題の多くは、小学校高学年で行う特殊算にその根拠があるので、そうした問題が幼児に問われた時、どのような形になるかを予想しておく

学力を高めるために、以上のような課題をこれからの学習に取り込んでいかなければなりませんが、小学校入試の合否は、この学力試験だけで決まるわけではありません。行動観察などを通して見られる力は、自己表現力・他者への配慮・協調性・忍耐力等いろいろな観点があるはずですが、これからの入試で一番求められるのは、ものごとに取り組む「意欲」だと思います。その意味で、教え込みや押し付けの指導では子どもの意欲は向上しません。「自分で考え、自分で行動できる子ども」に成長するために、親子関係の在り方をもう一度見直してください。怖い先生役をお母さまがしてしまったら、子どもは逃げ場を探して、ものごとに前向きになれるはずはありません。夏休みは、そうした「意欲の向上」なども含めて受験対策だと考えてください。いま、世の中全体として、人間の評価は学力だけではないという方向に進みつつあります。学力だけでは世の中に出ても成功しないという考え方が支配的になり、入試改革が行われようとしています。その意味で、小学校入試の在り方、合否判定の方法が、一つのモデルケースになるかもしれません。

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