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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

広島で初めて「公開模擬テスト」を実施しました

第483号 2015/5/22(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 5月17日(日)、こぐま会にとって初めてである地方都市における公開模擬テストを、広島市の大木スクールで開催しました。今年2月から大木スクールで行っているこぐま会の授業の進展を踏まえ、会員の多くの皆さまが受験する「広島大学附属小学校」向けの公開模擬テストを行いました。また、そのテストと並行して「教育講演会」も行いました。14時40分から始まった講演会には、教室に入りきれないほど大勢の皆さまにお集まりいただき、以下の内容でお話ししました。

「広島大学附属小学校合格に向けての正しい受験対策」
1. 広島大学附属小学校の入試問題分析(昨年分・過去5年分)
2. これから後半の学習でやるべき課題
セブンステップスカリキュラム表を使っての説明
ステップ4までの基礎学習の点検法
3. 予想される入試問題
東京都内主要校で昨年出された問題の中から、新傾向の問題とその対策を解説
4. 受験のためだけではなく、将来を見据えて、正しい幼児期の基礎教育を実現する
「人生は3歳までにつくられる」〈井深大〉
「5歳までの教育が、人の一生を左右する」〈ジェームズ・ヘックマン〉

40年以上都内の小学校受験に関わってきた私ですが、地方では初めての経験で、保護者の皆さまがどのような想いで受験を受け止め、幼児教室に何を求めているのか、手探りの想いでこの2月から授業を開始してきました。しかし、いろいろな相談を受けていく中で、ペーパー中心の受験対策で良いのかどうか迷いがあった皆さまから、事物教育・対話教育を中心とした基礎教育に、多くの期待を寄せられていることがわかりました。広島大学附属小の過去問を見ると、都内の国立大学附属小学校とそれほど大きな違いはないようです。最初の試験で合格者を出し、その合格者を対象とした抽選によって最終合格者を出すという、都内では東京学芸大学附属世田谷小学校・小金井小学校と同じ方法での試験のようです。数・図形・言語が中心の基礎的な内容の試験ですが、中には都内の私立小学校でも良く出す難しい問題も見られます。しかし、こぐま会の基礎教育である「セブンステップスカリキュラム」で十分対応できる問題であることも確信しました。

セミナーでは、過去問と今回行ったテスト内容を関連づけて分析し、ひとつひとつの問題の意図を担当者が詳しく解説しました。その上で私が、これから何を学習すればよいのか、またどんな考え方で試験に臨めば良いのか等をお伝えしました。ステップ3まで進んできた授業が今後どのように進んでいくのか、また、ステップ4までの基礎段階の学習を終えたら何をチェックすべきか、その内容を具体的に説明しました。また、昨年秋に行われた都内の私立小学校の問題を紹介し、今小学校の入試問題が大きな曲がり角に来ていることを具体的にお伝えしました。そして最後に、広島大学附属小に合格することを当面の目標にしながら、試験が終われば全て終わりになるような詰め込み教育ではなく、将来の教科学習の基礎としての大事な幼児教育として、家庭でもできることを実行していただき、ペーパーオンリーの間違った受験対策で、これから始まる教科学習に全く興味を示さないような子どもにしてしまわないよう強くお願いしました。小学校入試対策イコールペーパートレーニングという発想をやめ、将来にとって意味のある幼児期の基礎教育として受験を受け止めるべきだということを強調しました。

もう40年前になるでしょうか。ソニー創設者の井深大氏が書いた『幼稚園では遅すぎる』(サンマーク文庫,1971)という本をきっかけに、一大幼児教育ブームが起こりました。そして今また、ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマン氏による「5歳までの教育が人の一生を左右する」という主張によって、再び幼児教育ブームが起こりつつあります。受験対策といえども、きちんとした指導理念で教育することが、受験生の皆さまにとっては、幼児期の基礎教育の最大の動機づけになっていくであろうし、受験があるからこそ真剣に立ち向かえるはずです。その経験が、将来のための基礎づくりとなる「本物の教育」であるとすれば、こんなに意味のある受験はないと思います。そうした考え方でお子さまの指導に当たることを約束して、1時間にわたる話を締めくくりました。

後日、大木スクールの担当者の方から、セミナーに参加された皆さまの感想をアンケートの形でたくさん送っていただきました。アンケートを読ませていただくと、都内の国立受験とはまた違った熱気が伝わってきます。たくさんいただいた感想の中から、ここにいくつか紹介させていただきます。

  • 幼児期の教育が重要であるという点が興味深かった。早期教育は良いことか、良くないことか迷いのある中通わせていたので、今日の講演を聞けて良かったです。
  • 日本の教育は思考力・判断力・表現力に変化していると聞き、グローバル社会で求められている事が幼児教育にも求められていることが分かりました。
  • 受験のためだけでなく、将来を見据えた正しい基礎教育を幼児期に実現することが、子どもの生きる力をつけるために必要なことと実感しました。
  • 『5歳までの教育が人の一生を左右する』ということばが印象に残りました。私自身そのように考え、こぐま会の教材を使用し、少しでも楽しく学ばせられたらと思っていたので、安心しこれからも頑張ることができます。
  • がむしゃらにペーパーをこなすのではなく、指針に沿って教育することの大切さがわかりました。小学校に入る前の基礎を身に付けてほしいという思いが強くなりました。
  • 幼児教育の大切さ。5歳までの教育の重要さ。最近実際に子供を見ていると本当にそう思う。赤ちゃんの時から『なぜ?』という気持ちを持たせるように心がけていたが、自らの学びにつながるという事に納得。
  • 時期的にまだ直接指導ではなく、環境を整えてあげてくださいとおっしゃったのが焦ってばかりの自分に余裕を持たせることができたと思う。受験、受験ではなく、今後の将来のためにという事が私自身とても救いの言葉になったように思う。
  • 受験のための学習ではなく、将来を見据えた基礎教育を大切に。まさにその通りだと思います。合否に関わらず頑張りたいと思います。

広島の多くの皆さまに期待されて始まった「こぐま会」の教育は、教科前基礎教育・事物教育・対話教育の3つを指導理念としています。多くの皆さまの期待を裏切らないよう、また、当面の課題である広島大学附属小合格を目指し、「本物の幼児教育」を実践したいと思います。

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