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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

ハノイでこぐま会の授業が始まります

第475号 2015/3/13(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 昨年の11月以来、久しぶりにベトナムを訪問しました。今回の目的は、4月から始まる「こぐま会・ハノイ教室」に先立ち、KUNOメソッドを正しく理解していただくための教育セミナーを行うことでした。ハノイに行く前に訪問したホーチミンでは、ホーチミン在住の日本人向けと、現地べトナム人向けに別々のセミナーを開きました。働く母親の多いベトナムですから、現地ベトナム人対象のセミナーは、夕方18時過ぎから始まり、20時過ぎまで続きました。10日にハノイに移動し、11日はベトナム人対象の教育セミナーを開きました。現地スタッフがFacebook等で呼びかけ、大勢の保護者が集まりました。こちらも夕方18時過ぎから始め、20時半過ぎまで続きました。

私が用意した年中・年長クラスの授業の映像を用いて、できる限り具体的にこぐま会の教育を伝えました。特に強調したのは、こぐま会の基本理念である「三つの柱」です。ここをしっかり理解していただくことに時間を割きました。

1. 教科前基礎教育
小学校で学ぶ内容を薄めて下に降ろすのではなく、教科学習の基礎を系統的に積み上げ、学力の基礎をしっかり身につける。ともかく早いほうが良いという早期の英才教育ではない

2. 事物教育
幼児期の教育は知識の詰め込みになりがちだが、それは間違いである。自らものごとに働きかけ、試行錯誤した結果得られた思考法は忘れることはない。自立した行動に必要な判断力は、事物教育によって鍛えられた「考える力」によって支えられている

3. 対話教育
言語によって論理的思考が可能になるように、言葉の発達が急速に進む幼児期にこそ、母国語による対話教育が重要である。「聞く」・「話す」を中心に、考え方のプロセスを言語化する経験をたくさん積むことが必要である

その後、6領域指導の実際を映像を使って説明し、質疑応答の時間を設けました。大勢の参加者の皆さまから、たくさんの質問や意見・要望をお聞きしました。

  1. ベトナムの場合、言語領域の学習はどうするのか
  2. 「考える力」を育てる教育はどこにもないので、ぜひ早く開いてほしい
  3. このメソッドによる教育を受けた場合、受けなかった子とどのように違ってくるのか
  4. 発達が心配な場合、1学年下のクラスも同時に受講してよいか
  5. ベトナムでは受験は禁止されているが、実際に入学試験を行っている小学校もある。その備えも同時に考えたいが、こぐま会の教育は入試のためだけではないので、素晴らしいと思う。ぜひ参加したい
  6. 授業の理解が他の子より遅い場合、どのように対応してもらえるのか
  7. 週1回の授業では、トレーニングが不足すると思うので、それをどう解決したらよいか。家庭学習の指導はあるのか
  8. 入会のためのテストはあるのか
  9. 開講する場所は決まっているのか。またそれはどこか
  10. ハノイでは、インターナショナルスクールでいろいろなプログラムの教育がおこなわれているので、そこと協力して開講すると良いと思う(助言)

こんな議論が1時間も続きました。日本をはじめ、いろいろな国で講演会を開いてきましたが、これほどまでに熱心に質問したり、ご自身の意見を述べたり、またハノイのことを良く知らない我々日本人に助言してくれたり・・・と驚くことばかりでした。それは、教育熱心な国民であり、とりわけ幼児教育に対する期待と不安があるからこそだと感じました。こうしたみなさんの期待に応えられるよう、ベトナム人スタッフの研修を強化し、東京の教室と同じ水準の教育ができるよう準備しなければなりません。日本人スタッフ3名、ベトナム人スタッフ8名で、ホーチミンとハノイの2か所で教室を運営する体制が整いました。これからも、時々訪越して現地指導者の教育と、ベトナムに「KUNOメソッド」の考え方が広まるよう、教育講演会を開いていかなければならないことを強く感じました。

2日の夕方には、さくらHoaAnhDao幼稚園の教室をお借りし、新年中と新年長のモデル授業を行いました。私も新年長クラスの授業を担当し、ハノイ在住の4~5歳児と一緒に図形の学習をしました。男の子が多く、その元気さに最初戸惑いましたが、秘密袋や立方体つみ木を使った授業になった途端、興味を持って集中し、1時間半の授業をみんなが楽しんでいました。具体物を使った授業が、いかに子どもたちの興味を引き、また新鮮に映るのか、あらためて痛感しました。ホーチミンは30度を超す暑さでありながら、ハノイでは毎日雨が降り、夜は15度を下回る寒さ。同じ国でありながら、こんなに違う天候に戸惑いながら、今回の訪問でもたくさんのことを学ばせてもらいました。

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