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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

しっかりとした学習計画を持つこと

第450号 2014/9/5(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 神奈川県の小学校の願書受け付けも始まり、いよいよ入試本番までのカウントダウンが始まりました。今年受験する年長児の皆さまは、最後の追い込みに、毎日過去問に取り組んでいることと思います。難しい過去問もこの9月で終了させ、10月に入りましたらもう一度基本問題をチェックし、自信を持たせて入試本番を迎えるようにしてください。

さて、こぐま会では、来秋受験する年中児の皆さまを対象とした「ゆりクラス」において、受験向けの「セブンステップスカリキュラム」のスタートとなる「ステップ1」の授業が、今週から始まりました。従来11月からスタートしていたセブンステップスカリキュラムの開始を2カ月前倒し、来秋の受験に向けた組織的な学習がスタートしたことになります。来年4月まで続く「基礎段階の学習」で、入試問題の8割に当たるテーマを取り上げ、5月からの応用段階の学習に備えます。「基礎から応用へ」、「具体から抽象へ」といった学びの原則を踏まえ、着実な積み上げをめざします。基礎段階の学習ですから、当然ペーパー学習の前の事物教育を重視した授業が中心になります。ものに触れ、ものに働きかけ、試行錯誤して答えを導き出す、その経験に相当の時間をかけることが、将来取り組む難しい過去問の理解につながっていくのです。最初からペーパーを使うような順序を間違えた指導では、自ら考える力は到底身につきません。受験勉強で陥りがちなそうした「メッキ教育」とは無縁のまともな教育を、これから8カ月かけて行っていきます。

ところで、「ステップ1」では以下の内容を予定しています。
未測量: 大きさ・多さくらべ
位置表象 : 上下・前後関係の理解
: 分類計数
図形: 基本図形の理解
言語: 一音一文字・同頭音・同尾音・しりとり
その他: 分類
いずれも各領域にとっては基本中の基本ですが、すでにこの単元からも入試問題がつくられています。その意味で、「ステップ1」といえども、入試問題に関連したトレーニングを行わなければなりません。しかし、だからと言って、すべてを「ペーパー」で済ませるわけにはいきません。考え方の基本を身につけるためには、事物に働きかける経験を十分持たせる必要があるし、子どもたちに学ぶ姿勢、すなわち自分で考える習慣づけをするためには、事物教育以外にありません。教え込まれた方法で解いていくやり方では、どこかで破たんします。少なくとも基礎段階の学習においては、具体物やカードを中心とした学習をすべきです。

6回の単元学習の後、2回ほどトレーニングの時間を設けています。ここで、それまで学習してきた各単元の内容をもう一度おさらいし、次のステップへの準備をします。こうして、4月末まで4つのステップを学習しながら、入試に必要な基本的なものの考え方を身につけ、残り半年間の応用・実践的なトレーニングに備えます。

1年間の学習計画をしっかりと持たないと、2~3月ごろに出版物が出始める「今年度の入試問題」(いわゆる過去問)に影響を受け、早くその問題が解けるように・・・という想いから、保護者の皆さまに焦りが生じ、家庭学習において、基礎段階の学習を飛ばして過去問トレーニングに向かうことは目に見えています。そうしたことにならないよう、しっかりとした1年間の学習方針と明確なカリキュラムを持たなければなりません。また、毎日をお稽古漬けにしないよう、家庭学習の時間をしっかり確保することも大事です。教室で学んだことを着実なものにするためには、どうしても家庭学習の積み上げが必要です。何を家庭学習の課題にするかは、教室での授業進行に沿った、組織的な家庭学習用の問題集が必要です。教室での学習と家庭での反復練習によって、「考える力」は定着していきます。車の両輪のようなこの2つの学習をどれだけ徹底して行うのかが、結局合否を決めていくのです。塾のかけもちが好ましくないのは、学び方・教え方に違いがあるものを、子ども自身が同時に受け止めることはできないからです。信じたものを、より徹底して行う・・・これしか合格の秘訣はありません。うわさ話に足元をすくわれたり、焦りが生じたりするところに、徹底さを妨げる大きな原因があります。そうならないことを願い、ともかく信念を持って、これから1年あまりの時間を有効な準備教育にあててください。

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