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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

インドでこぐま会の教育が始まりました

第441号 2014/6/27(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 6月22日から、ニューデリーを訪問してきました。今回の目的は、インドに「KUNOメソッド」を普及させるために教育関係者にお会いし、これからの教育活動の方針を打ち合わせるためでした。デリー市内のインターナショナルスクールで、まず最初にそこに通う日本人を対象にこぐま会の教育を実践し、そこから現地の人たちに普及させていこうと考えています。すでに、ひとつのインターナショナルスクールでは、5月から授業が始まり、8月からは2校目で授業が始まる予定になっています。

今回は、日本人2名・インド人3名で構成される「こぐま会インド(KKI)」のスタッフの方々とお会いし、これからの普及活動の方針を話し合いました。24日には、モンテッソーリ法を取り入れているインターナショナルの園長先生と理事長にお会いし、映像を使って「こぐま会」の教育を紹介し、大変賛同してくださいました。今始まっている日本人向けの授業内容に大変興味を持たれているようで、日本で始まる教師の研修が終わり次第、他国の生徒を対象に、英語でこぐま会のメソッドを使った指導をしたいと考えているようでした。また、夜にはニューデリーの日本人学校附属幼稚園の先生方とお会いし、インドの幼児教育の現状についていろいろ教えていただきました。また25日には、インターナショナルスクールに通う日本人の年中児・年長児を対象に「発達診断テスト」を実施し、同時に保護者の皆さまに「KUNOメソッド」の中核である、事物教育・対話教育の重要性についてお話しさせていただきました。セミナー終了後、個別のご相談にも応じました。その中には、日本に帰ってから小学校受験をさせたいというお母さまから、どんな準備をしたらよいのかというご相談も受けました。また、日本語教育と英語教育の取り組み方について、どのようにしたらよいのかというご相談もありました。どの国に行っても、セミナー後に受ける相談の一つです。特に言語を通して概念形成を図る幼児期に、母国語をしっかり身につけなくてはいけないという想いと、せっかく英語を学ぶチャンスがあるので、それをどう生かすかという想いとの狭間で、いろいろ悩まれているようでした。幼児期を海外で過ごすご家庭に共通した大変大きな問題だと思います。それは同時に、国内で幼児期を過ごす子どもたちにとっても、いつから英語教育を始めるのがよいのかといった問題ともつながっています。ただ、日本語に接する機会が少ない分だけ、海外で生活する方にとっては、より深刻な問題のように思います。

26日には、8月から授業が始まる2校目のインターナショナルスクールを訪問し、園長初め、15名の現場の先生方に「KUNOメソッド」を紹介しました。言語の壁があるため、主に「映像」を使って教育内容や方法を説明しました。モンテッソーリ法を取り入れているインターナショナルスクールですが、事物教育や対話教育に大変興味をもたれたようでした。日本人だけでなく、インド人も含め海外からインドに駐在しているご家庭の子どもたちに、このメソッドをカスタマイズし、できるだけ早く導入してほしいとお願いされました。日本人以外の子どもたちを対象とした事物教育・対話教育が始まれば、「こぐま会インド」にとっても大きな飛躍のきっかけになるはずです。

今、世界的に幼児教育の在り方が議論されています。おそらく、2011年に出されたOECD保育白書が一つのきっかけになっているのでしょう。日本でも各自治体単位で、幼児教育変革のための取り組みが始まっています。国家としてどこに教育投資をしたら「良い納税者」を育てることができるかを考え始め、保育白書での提言にあるように、幼児期の教育に最大の投資をすべきだと気付き始めているのでしょう。私が40年前に考えた、「教育の基礎づくりの大切さ」が間違っていなかったことを、今の世界の動きが証明しています。40年間子どものいる現場で培ってきたメソッドが、発展途上国のみならず、世界の幼児教育にその考え方が取り入れられていくことを願い、体力の続く限り、現場にこだわり続けていこうと思います。

気温や食べ物・水等に不安を持ちながらインドを訪問しましたが、緑が多く整備されたニューデリーの街並みや、インド人の優しい心遣いに大変感激し、この国に、「KUNOメソッド」が根付くことを願いながら、40度を超すデリーを後にしました。

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