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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

年中からの受験対策

第439号 2014/6/13(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 例年5月の連休が明けると、ゆりクラス(年中児)の入会者が増えてきます。1年半後の入試に向けて準備教育を始めようとするご家庭が多いため、体験授業も入会相談も一気に増えてきます。今年は、特に大勢の皆さまが体験授業に参加され、入会時期が早まっているようです。学校説明会にも大勢参加されているようで、来年秋の受験に向けた学校選びも本格化しているようです。

幼稚園受験で思うような結果が得られず、再度小学校受験を目指すご家庭が一番熱心であることは当然ですが、子どもの様子を見ていくと、誤った準備教育の影響が大きく、その結果問題を抱えている子が大勢見られます。面と向かって対話ができない、何事にも興味を示さない、課題に対する出来 - 不出来を相当気にする・・・明るいはずの子どもがなぜこんなに沈み込んでいるのか・・・その背景を保護者との面談で探っていくと、そこに幼稚園受験のための異常な学習環境があったという場合が少なくありません。2~3歳児から、発達に即さないペーパートレーニングを小学校受験並みに行うといった、間違った教育で子どもは潰されていくのです。その原因の多くが、準備教育を担当する教師や親がつくりだしているのです。子どもたちがものごとを理解していく道筋に合っていないペーパーのみの入園対策では、こうしたことは多いに起こりうることです。だいぶ以前に、過熱した小学校受験対策で精神的にバランスを崩す子どもたちの存在を、臨床心理の専門家が明らかにし、警告を発したことがありましたが、それと同じ現象が、いま幼稚園受験をめぐって起こっているのです。その影響を引きずりながら、また同じような学習環境に置くことだけは避けたいと考える方々が、「事物教育」を実践するこぐま会に期待して入会されるケースが増えています。

これから来年秋の受験に向けてどう対策を取ったらよいのか、初めての経験で情報も少なく、どうしたらよいのか迷っている方が大勢見られますが、間違った受験対策が生じる大きな原因は、保護者が正確な情報を持たず、噂話に右往左往するからです。業者側から意図的に流される間違った教育法をうのみにしているからです。この問題を何とか解決しなければ、受験教育の名において、子どもの成長を阻害していくことになりかねません。

受験準備の教育は、受験のためだけでなく将来の学習の基礎づくりをするという過程の中で考えるべきです。学校側から警告が発せられはじめた「型」を教え込む教育は、子どもの将来のために、受験準備の教育から排除されなければなりません。ビジネスとして割り切り、利益追求に走る「お受験産業」の間違った教育法から子どもを守るために、ぜひ小学校入試に関する正確な情報をもとに、冷静な判断をしていただきたいと思います。受験準備の教育は、子どもの発達を無視し、「型」を教え込むような特別な教育ではありません。まともな幼児教育をこそ、学校側は求めているのです。

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