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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

春休みの学習課題

第430号 2014/3/28(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 3月22日の夜、第2回「土曜ゼミ」(父親勉強会)を行いました。今回もOBの2名の方にも出席いただき、応用段階の家庭学習について、経験を踏まえたアドバイスをいただきました。また、私の方からは、基礎段階の学習を終えた今の時点で、何をどう復習したら良いのか、特に春休みの家庭学習のポイントを具体的にお伝えしました。基礎学習の最終段階である「ステップ4」の授業は、3月23日でほとんど終了しました。春休み明けにあと1週残すだけです。そのような学習進度を踏まえて、春休みに行う家庭学習を基礎段階の総復習と位置付け、重点的に学習すべき内容を具体的に伝えました。

基礎段階の学習に関する重要な復習観点
「家庭で行う 領域別基礎学力点検項目(ステップ1~4)」
【未測量】
  1. 「~番目に長い」棒は、同時に「~番目」に短い棒と言える
  2. 「~より長く、~より短い棒」がどれかわかる
  3. シーソーの四者関係において、「3番目に重い」ものがわかる
  4. 個別単位の考え方ができる(正方形の数で広さ、マッチ棒の数で長さを判断)
  5. 量の多いものから順に対応付ける「順対応」の作業ができる
  6. お話を聞いて、三者~四者の関係を推理できる
【位置表象】
  1. 3×3方眼上の位置を記憶できる(4~5つのもの)
  2. 自分以外の右手左手がわかる
  3. 1つの交差点での曲がり方を理解できる
  4. 生活空間における位置関係を言葉で表現できる
  5. 方眼上のあるひとつの場所を言語化できる
  6. 1つのものの見え方を、その場に行かないで推理できる
【数】
  1. 5~10までの数の構成(いくつといくつ)を暗算でできる
  2. 具体物を使って、観点を変えた分類ができる
  3. 仲間はずれの理由をしっかり説明できる
  4. 2つの数を比較し、「どちらがいくつ多い(少ない)」か言える
  5. 「違いはいくつ?」の問いに対し、正しく答えることができる
  6. 量の三等分がわかる
  7. あまりのある数の等分がわかる
  8. 一対多対応で、答えを導く手続きがわかる(お客さん・タイヤの問題等)
  9. ある数の中に、指示された数のまとまりがいくつあるかがわかる(包含除の理解)
【図形】
  1. ひし形が正しく描ける
  2. 立方体が正しく模写できる
  3. 基本図形を何片かに分割した図形構成ができる
  4. 触るだけで形を判別したり、描き表すことができる(平面・立体)
  5. 何個つみ木を動かせば、指示された形ができるかがわかる
  6. 点図形が正しく描ける(特に斜めの線の多い見本)
  7. 同図形発見がすばやくできる
  8. 折り紙を指定された形に分割できる
  9. 三角パズルが短時間でできる
  10. ある形を指示された数の三角に分割できる
【言語】
  1. 言葉の音の数と、最初の音・最後の音がわかる
  2. 前に戻るしりとり(あたまとり)ができる
  3. 動きを表す言葉(動詞)を適切に使うことができる
  4. 絵カードを時間的経緯に沿って並べることができる
  5. 4場面の絵カードを使って、まとまった話ができる
  6. 長い話を聞き、登場人物とその行為を結び付けることができる
  7. 昔話に関して、あらすじや登場人物について理解している
【その他】
  1. 鏡に関する基本問題が理解できる
  2. 花の名称と季節を正しく答えることができる
  3. 巧緻性の課題に自信を持って取り組む(箸・ひも結び・はさみ等)
  4. 立方体を何回か回転した時の向きをイメージできる
  5. 並び方の法則性を説明できる

この中でも、入試に絡む重要な課題を領域ごとにあげるとすると、以下の通りになります。
未測量 :シーソーによる四者関係/言葉による関係推理
位置表象 :交差点の曲がり方/四方からの観察
数 :数の構成/一対多対応/観点を変えた分類
図形 :秘密袋/三角パズル/立体構成
言語 :一音一文字 ・ しりとり/時系列とお話づくり
その他 :図形系列/回転推理
特に、この春休みに徹底しておくことを3つあげるとすれば、「シーソーによる四者関係」「四方からの観察」「一対多対応」の3つです。この3つの課題は、これから学習する応用段階でも関連して相当出てきますし、この内容を今しっかり理解しておかないと、あとで大変苦労します。その中の、「一対多対応」の学習の進め方について以下に述べますので、参考にしてください。

一対多対応は、将来のかけ算の考え方の基礎であり、同時にわり算の考え方にも関連しています。また、いろいろな数の操作と組み合わされて「複合問題化」されるケースが多く、この単元の学習を終えることによって、数領域の問題はすそ野が一挙に拡がり、いろいろなタイプの過去問に取り組むことができるようになります。

入試では、お客さんに配るものの全体の数を聞いたり、タイヤの数を問う問題がよく出されます。お客さんの人数と1人に配るものの数を変えて、全体でいくつ必要か考える問題や、自転車は一対二対応、三輪車は一対三対応、自動車は一対四対応というように、タイヤという観点で一対二から一対四までの問題が組み立てられます。
また、シーソーを使った「つりあい」や、物と物とをある条件で「交換」する問題などにも、この一対多対応の考え方を応用すれば簡単に解決できます。その意味で、入試問題の中心と言っても過言ではありません。では、どのように考え方を身につけたら良いか、大事な最初の学習方法をお伝えします。まず基本となる入試問題を見てみましょう。

(1) 三輪車4台、自転車5台、自動車3台のタイヤの数はいくつか、それぞれ丸を描く
(2) 4人のお客さんに、2個ずつ豆を配るには、全部でいくつあればよいか、丸を描く
(3) 3本の串に3個ずつお団子をさすには、お団子はいくつあればよいか、丸を描く

小学校2年生で学習するかけ算の問題そのものですが、九九を暗唱しているわけではありませんので、全体の数を暗算で出す必要はありません。たとえば(2)の問題の場合、最初から8個という数がわかってからを8個描く必要はありません。「1人分」と声を出し、まずを2個描きます。次に「2人分」とまた丸を2個書き・・・それを4人分まで続け、その結果「8個であった」ことが解ればよいのです。そこを勘違いしてしまい、全体の数が解ってからを描かなくてはならないと考えてしまうと、これはもう小学校2年生の問題になってしまいます。かけ算は(一当たり量)×(いくつ分)で表せます。ですから、一当たりがいくつで、それを何回繰り返せば良いかを判断するところが大切です。(3)の場合は、1本当たり3個を3回繰り返せば良いと判断できることが大事で、答えの9はその結果わかればよいのです。保護者の方の中には、全体の数をまず暗算してから・・・と考える方がいらっしゃいますが、それは間違いです。答えを導き出す手続きをしっかり身につけることが、こうした問題を解くポイントです。そして繰り返し練習していくうちに、答えが12ぐらいの数までなら、暗算でできるようになるはずです。

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