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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

入試終了後の学習は、教科学習への橋渡し

第414号 2013/11/29(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 今年の首都圏の私立小学校の入試も一段落し、後は、国立附属小学校の入試を待つばかりとなりました。毎日親子で机に向かい、週2回ほど塾に通う生活が長く続いたので、入試が終わって目標が何もなくなってしまうと、拍子抜けで何をして良いのかかえって落ち着かない・・・というようなお話をよく聞きます。1~2年かけて小学校入試の準備をされてきたわけですから、当然かもしれません。しかし、「子どものほうが勉強に興味を持っているので、今から何をどう与えたら良いのか」と、相談される方が毎年大勢います。「残っているプリント類を毎日続けていただくのも結構ですし、就学準備用の教材もたくさん用意してありますので、それらを使って家庭学習を続けてください。」とお答えしています。何よりも、毎日学ぶ習慣がついたのも受験のひとつの効用かと思いますので、入試が終わっても、毎日学習する習慣はぜひ継続してください。

こぐま会では、12月の国立小学校の受験終了を待って、1月から「就学準備講座」を開講します。その説明会を11月24日に行いましたが、50名ほどの新1年生の保護者の皆さまにお集まりいただき、大学受験までを見据えた、これからの学習の進め方について、具体的なお話をさせていただきました。

「就学準備セミナー」概要
日時
2013年11月24日(日) 10:00~11:30 (会場 恵比寿本校)
内容
  1. これまでの学習を教科学習にどうつなげるか:こぐま会代表 久野泰可
  2. 教科別就学準備講座詳細
    • 算数:幼小一貫事業部 理系担当 渋谷充
    • 英語:英語事業部長 廣瀬亜利子
    • 国語:幼小一貫事業部 文系担当 高橋正晃
  3. 幼小一貫事業部の取り組み:幼小一貫事業部長 渋谷充

こぐま会のこれまでの日常授業は、決して受験向けの技能を詰め込むトレーニングではありません。「教科前基礎教育」の考え方に基づき、「事物教育」と「対話教育」を実践してきました。幼児期の基礎教育をしっかり行っておけば、現在の小学校入試には十分対応できると考えています。セブンステップスカリキュラムで行ってきた授業は、将来小学校で学ぶ教科学習の基礎を身につけるものでした。ですから、その授業が終了した今、入学後に始まる教科学習にどうつなげていくか、そのつなぎの授業が、これから始まる全10回の就学準備講座の内容です。その意味で、橋渡しの役割を果たす大変重要な授業です。

セブンステップスカリキュラムを作成し、就学準備の内容も含めて算数科の幼小一貫カリキュラムを作成してきた私の立場から言えば、
  1. 四則演算を3年生まで待つ必要なない。これまでばらクラスで行ってきた授業は、まさしく四則演算の基礎であり、数式を入れてあげれば、1年生のうちに3年生で習うわり算まで理解は可能である。それは決して先取り教育ではなく、必然的な流れである。
  2. この時期にこそやっておくべきことがある。それは、数学的思考であり、視点を変えて物事を考える「可逆的思考」でもある。それを教材化することによって、これまで事物を使って育ててきた「考える力」を強化し、それを確固とした学力に定着させる。
  3. 数の内面化を促すために、特に力を入れてきた「暗算」能力を最大限に生かす、計算トレーニングを徹底して行う。
  4. 数学的思考力が必要な文章題にとって、一番大事な「立式」練習を徹底して行う。
こうした橋渡しの授業が、小学校以降始まる教科学習につながる能力の開発に役立つと確信しています。そのための就学準備講座の「算数」の内容は、以下の通りです。


<就学準備講座 「算数」カリキュラム>
第1回「たし算・ひき算って何?」 数の構成とたし算・ひき算
一対多対応・数の構成・数の増減復習/3つの部屋の数の構成/足だし式の練習/話を聞いて式を立てる
第2回「たし算・ひき算の計算法」 音読と聞き取り
数の増減・足だし式・3つの部屋の数の構成復習/暗算練習/プラス・マイナスの記号の理解とその計算法
第3回「隠れた数を探せ」 ブラックボックス・逆思考
逆思考の問題復習/10の構成/3×3方眼による数の構成(数字で行う)/魔法の箱を数字で行う/□を使った式(空欄を埋める)
第4回「かけ算って何?」 一対多対応とかけ算
一対多対応の復習/絵を使ってまとまりを作る練習/かけ算の式の立て方(一あたり量×いくつ分)/立式練習
第5回「わり算って何?」 等分や包含除によるわり算
等分除・包含除の復習/わり算の式の立て方/立式練習
第6回「かけ算って答えをどう出すの?」 かけ算の計算法
×式の意味/かけ算九九表/一対多対応暗算とかけ算/簡単なかけ算 5の段・2の段
第7回「わり算って答えをどう出すの?」 わり算の計算法
÷式の意味/等分除・包含除の意味/暗算練習とわり算の答え方
第8回「話を聞いて式を立て、解いてみよう」 文章題の基礎
短文を聞いて式を立てる/長文を聞いて式を立てる/立てた式を解いて答える
第9回「文を読んで式を立て、解いてみよう」 文章題の基礎
短文を読んで、式を立てる/長文を読んで、いくつかの質問に答える/文章題解決のコツ
第10回「10週授業の総まとめ」

小学校では、1年生でたし算・ひき算、2年生でかけ算、3年生でわり算というように、3年間かけて四則演算を学ぶことになっていますが、なぜ3年間も待たなければいけないのか、誰もその疑問に答えていません。日常生活の中では、かけ算もわり算も経験しているのに、それが3年たたないと数式のレベルで学べないということは、考え方よりも計算を重んじる、今の算数教育の矛盾の一つかもしれません。四則演算が自由に使いこなせれば、子どもたちの算数的な世界が広がり、思考の質はもっと深化していくはずです。その意味で、これから始める就学準備の教育は、私たちにとっても現行の算数教育の矛盾に対する挑戦かもしれません。幼児期にしっかりとした基礎教育を行ってきたからこそ可能な、新しい幼小一貫教育だと確信しています。

算数以外にも「国語」「英語」の授業も始まります。特に今後正課への導入について話題となる英語教育については、こぐま会でも10年以上の実践経験があり、「使える英語」を目指し、独自のカリキュラムで全10回の「初めての英語」を開講します。小学校受験に向けて頑張ってきたその意気込みを、次のステップに向けて活かしていただきたいと思います。


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