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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

新年のご挨拶

第41号 2006/01/01(Sun)
こぐま会代表  久野 泰可

 新年 明けまして おめでとう ございます
 皆様にとりまして この1年が 実り多き1年でありますように お祈り申し上げます

 こぐま会はこの4月で、創立23周年を迎えます。幼児期における基礎教育のあり方を教室での実践活動を通して研究してきました。その成果を、カリキュラムやこぐまオリジナル教材に結実させ、今では、全国の大勢の幼児たちに使ってもらっています。

 また、幼稚園受験や小学校受験に対する準備教育も、そうした幼児期における基礎教育の実践となんら矛盾することなくできるという確信を持っています。つまり、受験のために特別違った方法を用いなくても、基礎教育の実践を徹底することによって、十分な準備ができるということです。受験のためと称して広く行われている、ペーパーだけを使った教育では、現在行われている受験にも対応できません。それは、実際に出されている問題を分析すれば、誰の眼にも明らかなことです。

 ところで、日本の子どもたちの学力が低下しているのではないかという懸念から、最近では「ゆとり教育」の見直しや、学習内容の再検討がなされ始めています。しかし、そうした議論の中で、幼児期の教育のあり方に触れた発言が少ないのには少々驚いています。私は、小学校以降の教育のあり方をどんなに改善しても、今の幼稚園や保育園の教育内容や方法を改善しなければ、学力低下問題を根本的に解決することはできないと考えています。最近では、幼児期の教育が「遊び保育」だけではいけないという認識は、一般化されてきたと思いますが、では何をどう指導したらいいかという問題になると、まったくお粗末な状況です。小学校に入ってからやればいいものを、やさしく薄めてやることが幼児期の教育であるかのようにとらえられている面が強いようですがそれは誤りです。たとえば、幼児の算数と称して、1年生の足し算・引き算や2年生の掛け算をやる必要はないのです。将来学ぶそうした四則演算の考え方の基礎を、幼児の生活に合わせて学ぶことこそが必要なのです。

 そうして意味で、こぐま会が実践している、「教科前基礎教育」の考え方を、一般の幼稚園や保育園でこそ取り入れ、実践してほしいと願っています。それは、幼稚園や保育園を経営する人たちが、幼児期の知的教育をどう捉えているのかという問題と無縁ではありません。経営者の方の意識改革がどうしても必要です。その意味では、日本の幼児教育は、働く母親の教育要求とあいまって、「保育園」から変革が始まり、新しい幼児教育の実践が行われるのではないかと、ひそかに期待しています。

 こぐま会は、これまでの実践経験を生かし、全国の幼稚園や保育園の子どもたちに、よりよい教材を提供する努力を続けていきたいと思います。

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