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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

夏休みの学習を、合格にどうつなげるか

第395号 2013/7/5(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 7月に入り、都内の入試まで残り4カ月となりました。今が一番充実した学習が進められていると思います。基礎が固まり、自信を持ち、過去問に挑戦できるだけの「考える力」が身に付き、学習を前向きにとらえられるようになっている時期ではないかと思います。一方で、伸び悩む成績で、学校選択をどうしようかと迷い始めている保護者の方も見られます。学校の説明会に足を運んでも、何か期待外れの雰囲気に第1志望校をどうするか、迷っている方々が大勢いるということも事実です。

7月4日に行った、第10回合格カレンダー連続講座では、「夏の学習を合格にどうつなげるか」というテーマで夏の学習法をお伝えしました。

第10回 合格カレンダー連続講座
「夏休みの学習を合格にどうつなげるか」
1. 受験生にとって「夏」の意味

2. 学力点検法
  (ア) 基礎学力点検ボードの活用法
  (イ) 過去問を使った応用力の点検

3. 領域別学力チェック点検項目

4. 夏の学習計画を立てるにあたって

5. 夏の学習モデルプラン

6. 夏以降みられるマイナス変化を未然に防ぐ

7. 一番良い状態で入試本番を迎えるために

受験生にとって、この夏は二つの意味で大事です。一つは、基礎学力がしっかり身についているかを徹底してチェックすること、もう一つは、過去問や難問に挑戦し、入試レベルの問題の感覚をつかませること、この2点に集約されます。ペーパー問題ができたからといって安心するのではなく、どのように理解しているのかをしっかり把握してください。わかったつもりになっても、本当に理解していないために、応用問題が解けなくなるという事態に直面します。特に、ペーパートレーニングだけで、これまでの学習を済ませてきた子どもたちは、この時期大きな壁にぶつかります。それは、新出の問題に対応できないという事態です。大人からの一方的な教え込みの指導が実らないのは、考えてみれば当然のことです。自ら試行錯誤して解き方を発見し、身につけたものでないために、すぐに忘れてしまうのです。それどころか、教えられた通りにその問題は解けても、違う問題になるとお手上げです。自分で試行錯誤して解いていく自立した学習をしなければ、現在の工夫された問題は解けません。そうならないように、ペーパー学習の前に事物やカードを使い、一つの問題にこだわり、いろいろ試行錯誤させ、工夫させてください。その時間にこそ、自立した思考が形成される最大のチャンスがあるのです。「学習量」で勝負するのではなく、どこまで深く理解したかのという「思考の質」で勝負しなければ、多分難問は解けないでしょう。解けなければ、より徹底して解き方を教え込む・・・機械的な教え込みが悪循環を始める瞬間です。そうした意味でもこの夏は、質を高める学習を心がけてください。教え込みの教育は、学習するぺーパーの枚数で勝負する指導ですが、自立した思考・質の高い思考をめざすためには、1枚を大事にする学習を心がけるべきです。本当に理解したかどうかは、

1. 答えの根拠を言葉で説明できるかどうか
2. お母さまが生徒、お子さまが先生になって、問題を作って出すことができるかどうか

この2点が完璧にできれば、まず間違いなく理解できているでしょう。

基本問題を徹底してチェックしたら、今度は過去問に挑戦してください。過去問の多くは、複数の単元が組み合わさって問題が作られています。複合問題の形式が、実際に出される入試問題の特徴です。ですから、一つ一つの単元の理解はできても、それらが複合されたときに見られる難しさをしっかり克服しておかなければなりません。複合の仕方に少し慣れれば問題なく解けると思います。その意味でも、この夏休みは過去問トレーニングにも力を入れてください。その学校の過去問だけでなく、他校の過去問にもあたる必要があります。中でも雙葉小学校の過去問、聖心女子学院初等科の最近の問題、それに筑波大学附属小学校の過去問は、「どこまで難しい問題をやればよいのか」の答えになる程、洗練された問題が多いため、受験する - しないに関係なく、取り組ませることをお勧めします。

基本問題と過去問による学力チェックが、この夏の最大の課題ですが、もうひとつ大事なことがあります。それは、学力以外の課題で、行動観察等で評価の対象となる物事への取り組み、つまり、自立した行動力が身についているかどうかという点での対策です。年長の夏は、お泊り保育や合宿等、親元を離れて生活するチャンスがあります。教育的に見て非常に意味のある体験ですが、こうした経験を積むことによって、自立した行動が取れるようになってきます。それにつながる経験をたくさん持たせることも、この夏の課題です。

受験が間近だからと言って、勉強漬けにしてはなりません。受験するのは幼児です。お母さまお父さまが、自分の試験と錯覚してがんばり過ぎても、子どもには限界があります。子どもの気持ちになって、メリハリのある生活をしてください。夏の反動で、一番大事な9月、10月になって、学習から逃げようとする子が毎年たくさん見られます。バランスよく、メリハリのある生活をすれば、40日間以上の夏休みを、うまく乗り切ることはできるはずです。

1日何枚のペーパーをやったかではなく、1日どれだけ深く学習できたかを考えてください。ひとつでも解決していけば、その蓄積は大きなものになるはずです、セミナーでは、夏の学習モデルプランを紹介しましたが、この点については、それぞれの子に合った学習プランを立てるべきです。ラジオ体操や絵日記は、この夏のとても良い経験になります。生活の中で自立心を鍛えることや、学習の仕方を工夫して、本当に身に付いた学力を身につけるために、夏の学習・夏の経験は大きな意味があります。秋の入試を一番良い状態で迎えるために、この夏からの学習計画をしっかり持ち、その方針のもとで、最後まで頑張り抜いてください。噂話で足元をすくわれたり、成績が落ちたことにつけ込み、さまざまな講習に勧誘してくる業者の思惑にのらないよう留意すべきです。受験は、徹底性が一番求められます。これまで学んできた同じやり方で最後までやり通すことが大事です。そのために、家庭学習をどれだけ充実させ、どれだけ徹底した対策をとれたか・・・そのことが合否の分かれ目になっていくことはだけは、間違いありません。夏の学習を合格につなげるために、ぜひしっかりとした方針を持って、取り組んでください。

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