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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

お父さんのためのお受験講座

第386号 2013/5/3(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 女子校合格フェアの一環として、「お父さまのための小学校受験対策講座」を4月28日に開きました。連休にもかかわらず、朝早くから60名近い受験生のお父さま方に集まっていただきました。こぐま会では年5回ほど、父親対象の「土曜ゼミ」を開いていますが、今回は「土曜ゼミ」に参加できない会員の方や一般生の方々を対象としたセミナーでした。正確な入試情報を持ち、冷静な判断をしていただきたいことと、子どもの学力の現状をしっかり把握し、間違った受験準備で子どもの成長の芽を摘み取ってしまわないように・・・という私たちの想いをこめたセミナーです。今回は次のような内容で行いました。

「お父さまのための小学校受験対策講座」
1. 最近の小学校入試に関し、最低限知っておくべきこと
a. 受験者数の減少
b. 入試問題の傾向
c. 合否判定に関して

2. 学校選択はどうあるべきか
a. 入試日程の基本
b. 今年度の変化
c. 併願校をどうするか

3. どんな能力が問われているか
a. ペーパー試験
b. 行動観察
c. 面接

4. 考える力を問うペーパー問題実例 - 雙葉小学校の入試問題より -

5. 小学校入試における父親の役割
a. 家庭一丸となって受験を迎える
b. 子育てにどれだけ参加しているかが問われる
c. 母親の暴走を食い止める
d. 子育ての総決算としての入試を

最近の受験動向を踏まえ、学校選択に関わる必要な情報を伝える責任が我々にはあります。定員割れを起こしてスタートしなければならない学校も出現するなど、小学校入試を取り巻く環境も厳しさを増しています。その中で、生き残りをかけた学校側の戦略の背景をしっかりつかんでおく必要があります。なぜ、面接試験日の変更ができなくなったのか。なぜ、補欠合格者を発表しなくなったのか。なぜ、面接が重視されていると言われているのか・・・さまざまな現象の背後にある、学校側がおかれた立場を理解しなければ、有効な対策は立てられません。情報過多の母親と情報不足の父親が、一つの方針を巡って意見が折り合わないのは当然です。業者側から流される間違った情報で右往左往しないように、正確な入試分析情報を持つ必要があります。

合否判定の在り方については、「私学」という特殊性があるとはいえ、「公平さ」を求めてきた私たちの立場からすれば、やはり灰色といわざるをえません。現在でも関係者有利の学校も実際に存在しますし、「それが小学校受験だ」と言ってしまえばそれまでですが、良いか悪いかの議論をする前に、現実をしっかりと伝える責任が我々にはあります。全てにおいて、小学校入試に関わる情報未公開の現状は、時代遅れと言わざるをえません。この点が改善されない限り、いつまでたっても間違った注入主義の教育がはびこり、一番大事な幼児期の基礎教育の段階で、好ましくない教育が行われていく結果になってしまいます。入試問題を作る学校側の意図が正確に伝われば、「まともな幼児教育」で入試にも対応できるはずなのに、ことさら「特殊な教育」を前面に打ち出さなければならない業者側の思惑を、入試の現状に即してしっかり見抜く視点が必要です。小学校入試に関わる準備教育の光の部分だけでなく、影の部分もしっかり見抜かないと、合格はしたものの勉強に興味を示さない子どもを大勢送り込むことになります。そうしたことにならないためにも、入試の現実をしっかり把握しておくことが大事です。

その一つの方法が、実際の入試問題を解いてみることです。学校側は何を意図してこの問題を出しているのか。また、子どもにとって何が難しいのか。それを乗り越えるために、どんな学習を積み上げていけばよいのか。ここに両親の関心が向けば、おのずから家庭学習の方針は決まります。学校側が、こどもの学力を正当に評価しようとどんなに苦労して問題を作っているかが理解できれば、1日30枚も機械的にペーパーをこなすだけの準備教育は、まったく意味がないということが分かるはずです。1枚1枚のペーパーに込めれた、学校側のメッセージが読み取れれば、その1枚1枚を大事にする学習を徹底すべきです。今回の講座では、雙葉小学校で出された問題を、子どもになったつもりでお父さま方に解いてもらいました。そこで痛感された想いを持って子どもに接してもらえれば、何を大事にした教育が必要かは解ってもらえるはずです。

セミナーの最後には、小学校入試における父親の役割を伝えました。ともかく、家族一丸となって立ち向かわないと、「合格」には至らないという現実は、少しは理解していただけたのではないかと思います。

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