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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

就学準備クラスが終了しました

第381号 2013/3/22(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 秋に入試を終え、この4月に入学する年長児を対象とした「就学準備クラス」も先週で10回の授業が終了しました。入試での合格を目標にしながらも、間違った教え込みの教育にならないように指導してきた「教科前基礎教育」の成果を踏まえ、小学校で学ぶ教科学習へのつなぎの授業を行ってきました。算数を中心に、国語と英語も並行して指導してきましたが、その全てのクラスも先週で終了しました。

私が担当した「算数」は、ばらクラス(年長クラス)で行ってきた数の基礎教育を、小学校1年~3年に行う数式化した四則演算に繋げていく、橋渡しの授業でした。受験対策として行ってきた下記の内容は、次のように小学校で学ぶ内容につながっています。
  • 数の構成・一対一対応・数の増減・・・ たし算・ひき算の基礎
  • 一対多対応・・・ かけ算の基礎
  • 等分・包含関係・・・ わり算の基礎
せっかくやりかけてきた生活に即した「数の操作」を、小学校で学ぶ数式にまで高めておくことは重要です。生活に身近な数の変化について、暗算で答えを求めてきた従来の取り組みを、数式に置き換えて考えていくことにはやや飛躍がありますが、基礎がしっかりできていれば、簡単に小学校の算数に繋げていくことはできます。計算さえできれば、それで算数が解ったとしてしまう従来の「計算主義」に対し、生活の中から数の変化を発想する視点を持つことは、応用問題(文章題)の基礎として大事です。

どこまで行ってきたのか。最後のまとめのテキストを見れば一目瞭然です。実際に行った計算問題と文章問題を紹介します。
1. たし算・ひき算の計算

2. かけ算・わり算の計算

3. 話を聞いて式を立てる(四則演算混合)
これからするお話に合う式を考えて、左上から順にそのお部屋にかいてください。式がかけたら続けて答えもかいてください。
  • ドーナツが4個ありました。太郎君が2つ食べました。残りは何個ですか。(ひき算)
  • 4人のお客さんに、2個ずつイチゴを配りました。配ったイチゴは全部で何個ですか。(かけ算)
  • 太郎君はミニカーを3台持っています。次郎君は4台持っています。2人の持っているミニカーを合わせると全部で何台ですか。(たし算)
  • 4艘のボートに3人ずつ子どもが乗っています。ボートに乗っている子どもは何人ですか。(かけ算)
  • 8本のカーネーションを4人の子ども達でケンカしないように分けました。1人何本のカーネーションがもらえますか。(わり算)
  • ボールが2個入った箱が5つあります。箱の中のボールは全部で何個ですか。(かけ算)

4. 話を聞いて式を立てる(四則演算混合)
これからするお話に合う式を考えて、左上から順にそのお部屋にかいてください。式がかけたら続けて答えもかいてください。
  • 12個のアメを6個ずつ袋に入れました。袋はいくつできましたか。(わり算)
  • 男の子が8人、女の子が6人います。ダンスをするので男の子と女の子で組を作ります。でも人数が違うのでどちらかの人が余ります。男の子と女の子、どちらが何人余りますか。答えは「どちらが~にん、あまる」とかいてください。(ひき算)
  • ピザ1枚を4つに切って、4人の人が一切れずつ食べます。ピザが3枚あると何人の人が食べられますか。(かけ算)
  • 公園で子どもが遊んでいました。2人帰ったら、公園の子どもは3人になりました。最初子どもは何人いたのでしょうか。(たし算)

5. 文を読んで式を立てる(四則演算混合)

6. 文を読んで式を立てる(四則演算混合)

計算は、たし算・ひき算・かけ算・わり算の全てを指導しました。たし算・ひき算は10以内の数、かけ算は九九の暗唱、わり算は、九九との関係で答えを出すのはまだ難しいため、わり算の考え方を用いて解決するように指導しました。また、計算指導以前に、それぞれの計算の意味をとらえさせるために、「数式を見てのお話づくり」にも力を入れました。また、話を聞いて式を立て、答えを求めるものを始めとし、文章を読んで式を立て、答えを求める、いわゆる文章題まで指導しました。10回の講座で指導した結果の子どもたちの理解度の現状は、

  1. たし算・ひき算は大丈夫
  2. かけ算九九は、まだすべての段は完成していない
  3. わり算は、九九の逆算として解くことはまだ難しいが、数が12ぐらいまでなら、考え方で解決できる
  4. 立式においては、かけ算が一番難しい
  5. 文章題においても、かけ算の「一あたり×いくつ分」の理解が難しいため、3×4とすべきか、4×3とすべきかの判断が難しい。文章を読んで最初に出てくる数に左右されやすい
  6. 式を見てお話をつくる問題も、かけ算が一番難しい

10回行って得た成果をもとに、まだトレーニング不足で不十分な点については、引き続き4月以降「新1年生クラス」として指導していく予定です。
受験対策として行う学習が「まともな幼児期の基礎教育」として行われれば、そこで身につけた力は、教科学習にスムーズにつながっていくはずです。1年も2年もかけて取り組む受験のための学習が、将来の学習の基礎として教科学習につながっていけば、受験のための学習は「幼児期における基礎教育」の最大の動機づけと言っても過言ではありません。

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