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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

ステップ2の学習が終了しました

第369号 2012/12/21(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 年中9月から開始している「セブンステップスカリキュラム」は、先週で「ステップ2」の学習が終わり、17日・18日には、第1回目の復習トレーニングを行いました。年明けに第2回目の復習トレーニングを行い、その上で「第2回ステップ別発達診断テスト」を受けることになります。4月までに基礎段階の学習を終えるために、これまでより2カ月早く「ステップ1」の学習に踏み切るようになって今年で3年目になりますが、ゆりクラスからの積み上げがあるため、特に授業内容の難易度には問題はなく進んできています。授業内容に連動して作った「ひとりでとっくん365日」は、11月からスタートするように作成されていますが、小学校受験を目指す方々にとっては、9月からスタートしていただくと効果的かと思います。

さて、先週終了した「ステップ2」の学習内容を振り返り、入試にとって大事な課題、子どもにとって難しい課題は何かなどをお伝えします。「ステップ2」の学習では、次のような単元を学習しました。(ひとりでとっくん365日は03号・04号が対応しています)

<ステップ2 学習内容>
領域単元学習内容
未測量重さくらべ
  • 手をつかった重さの比較
  • 器具をつかった重さの比較
  • シーソーによる三者関係
位置表象左右関係、上下-左右関係
  • 右手、左手の理解
  • 地図上の移動
  • 生活空間での位置関係
  • 方眼上の位置
一対一対応
  • 対応に必然性のある一対一対応
  • 対応に必然性のない一対一対応
  • ペーパーを使った線結び
  • ~より~個多い(少ない)
図形立体構成
  • 秘密袋による触索
  • 立体図形の理解と製作
  • つみ木の構成
言語短文づくり
  • 聞き取り練習
  • 動詞の理解
  • 短文づくり
  • 時間的経過の理解
その他理科的常識の理解
  • 野菜
  • 果物の切断面
  • 生活の中の音の理解
  • 鏡映像
  • 花の名称と季節

ステップ2で学習した中で、入試で良く出される課題との関連で見ると、次の課題をしっかりと押さえておく必要があります。

  1. シーソー 未測量は、シーソーの課題が良く出されます。実際の問題は四者関係の理解がほとんどですが、その前に三者関係をしっかり理解しておく必要があります。2つの場面を見て3つの重さの関係を理解する・・・その意味で関係推理の問題でもあるわけですが、一番重いものだけでなく、一番軽いもの、2番目に重いもの・・・というようにどんな問いかけがなされても、答えていけるようにしなくてはなりません。

  2. 地図上の移動 位置表象の課題は、「左右関係の理解」です。自分の右手 - 左手だけでなく、向かい合った友だちの右手 - 左手も理解しなくてはなりません。「自分の右手の方が相手の左手になる」という、視点を変えた見方ができるかどうかが大事です。この理解こそ、今後位置表象で学ぶ内容の重要なポイントになります。また、床に描いた交差点を歩く「右の方・左の方」の学習は、いずれ地図上の移動の原体験になります。自分が歩くのではなく、ミニカーを走らせたり、人形を歩かせる「地図上の移動」はとても難しい課題ですが、その一番の基礎としての交差点の曲がり方は、この段階でしっかり練習しておく必要があります。平面的に描かれた地図の、上の方から下りてきて交差点を曲がる場合、自分の左右と逆になるという意味が解るかどうか・・・ここがポイントです。

  3. 一対一対応 数の学習は、将来のひき算につながっていく「一対一対応」の学習でした。2つのものを比較し「どちらがいくつ多いか」「どちらがいくつ少ないか」に答える課題です。実際の入試ではペーパーで行うことがほとんどですが、線結びの方法を理解させるためにも、最初は具体物を使って対応づける練習をするのが良いと思います。同じ場面でもいろいろな質問が可能ですが、「どちらがいくつ少ない」にしっかり答えられるかどうか見てください。また、「違いはいくつ」にも答えられるように練習してください。この一対一対応は、将来のひき算の「求差」の考え方につながる大事な課題です。

  4. 秘密袋と立方体つみ木 図形の学習は、今回は「立体図形」の学習でした。立体の特徴をつかませるために、秘密袋に入った形を取り出したり、粘土で円柱や円錘を作る練習もしました。特に秘密袋は、目で見ないで触索だけで形の特徴をつかむ課題ですが、最近の入試でも、触った形を紙に描くという課題が出ていますので、こうした経験が大事になります。もう一つ大事な課題は、立方体つみ木を使って見本と同じ形を作る学習ですが、ペーパーでよく出される「つみ木の数当て」の基礎になりますので、十分練習を積んでください。また、ある形から別の形に変換させるために「どのつみ木をどこに動かせば良いか」を考えさせる問題も入試で出されています。形の変化をつみ木を移動させることによって行う課題ですが、1個動かせば良いのか、2個動かす必要があるのか、かなり難しい課題です。変化しているところと変化していないところを素早く見抜かなければなりません。その意味でも、実際の立方体つみ木に触れ、いろいろな形を作る練習がどうしても必要です。

  5. 時系列を問う絵カード 言語の学習は、「短文づくり」として、動きを表す「動詞の理解」を中心に行いました。将来の作文教育のことを考えて、こうした問題が入試で良く出されるようになっているのではないかと思いますが、目の前で起こった事、また、絵に描かれていることを適切に表現するためには、どうしても動きを表す言葉の理解が大事です。この動詞の理解は、短い文を作ることを通して学ぶことが大事です。また、4枚の絵カードを時間的順序に並べて話を作る課題も大事です。場面を読み取って、時系列を理解できるかどうかも大切です。

  6. 鏡映像 その他の領域として取り上げた「理科的常識問題」は、野菜や果物の断面図、生活音や自然音の理解、鏡映像、季節についての4項目でした。この中で、やはり難しいのは鏡映像です。これは、今後学習する「四方からの観察」と混乱を起こさないように、今の段階で生活に密着した鏡の理解を促すために行ったものですが、鏡への映り方と、反対から見た場合の見え方の違いを理解するのは、まだ相当難しいと思います。ですから、同時に学習することは無理ですので、とりあえず今の段階では、鏡にどう映るかをしっかり理解させ、これから始まる「四方からの観察」の学習に備えてください。また、季節に関する行事や花の理解については、これから季節が移り変わっていきますので、チャンスを見つけて実体験してください。図鑑的な知識より、自分で体験したことの方が確実な理解として定着していくはずです。常識問題の仕上げは夏休み頃で構いませんので、それまではいろいろ経験させてください。

以上、「ステップ2」の学習に関するポイントをお伝えしました。まだまだ入試レベルの問題ではありませんが、こうした基礎がしっかりできてこそ、難問に取り組めるはずですから、基礎固めの学習としてしっかり復習をしてください。こうした基本となる学習を飛ばして過去問に取り組んでも、自分で考える力は育ちません。基礎を固める時期に、過去問に取り組むような「早教育」では、現在の考える力が求められる新出問題に対処していくことはできません。

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