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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

年中児 間違った受験対策にならないように

第356号 2012/9/21(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 神奈川の学校では面接も始まり、今年の首都圏の入試もいよいよスタートしました。今年は例年になく試験日の変更や新設校の開校が見られ、これまでとは違った様相を呈しています。また、小学校受験者の減少傾向に歯止めがかからず、各学校とも生徒集めに知恵を絞っています。受験者にとっては、併願校の組み合わせについての昨年までのデータが使えない状況になっており、その点においても混乱が起きているようです。慶応義塾横浜初等部の開校については、どのような試験方法でどのような合否判定がなされるのか、関係者は関心を持っていますが、評価が定まるまでには2~3年の時間が必要かもしれません。

今年の各学校の説明会には、来年以降受験される皆さんも大勢足を運んでいるようです。1年先、2年先の受験を見据えた熱心さの表れで、学校選びの基本として、少し気持ちにゆとりのある時期から学校説明会に参加されるのは良い傾向だと思います。ただ、入試に関する情報を求めて出向いた方には、物足りなさも残ったかもしれません。正確な入試情報は、今年の入試が終わり、出題内容や合否判定の方法などが明らかになってから、子どもたちを送り出す我々の側から発信することになるでしょう。

現在年中児の皆さんは、来年秋の受験に向け、そろそろ受験準備をスタートさせなくてはなりません。第1志望校を決め、合格に向けた学習対策を考える時期になりました。専門の教育機関で学び、家庭学習でフォローしていく体制をできるだけ早くつくる必要があります。こぐま会では、先週から受験対策クラス(セブンステップスカリキュラム)がスタートし、これから1年と少しをかけて、基礎学力を積み上げていきます。初めて小学校受験を経験される方にとって、上級校の入試と違う小学校入試独特の問題点をしっかり押さえておかなくてはなりません。これまでの教育相談を通して感じていることは、意外と入試の現状を正しく理解していないご家庭が多いということです。その結果、間違った情報に扇動され、間違った方法で受験対策をとるご家庭が多いことも事実です。40年間の指導経験から、受験対策をスタートする今の時期の課題をいくつかお伝えしましょう。

  1. 正確な受験情報を持つこと。入試問題の傾向や合否判定など、きわめて具体的に知っておく必要がある

  2. 小学校入試で求められる学力は、決して特殊なものではなく、正しい基礎教育の結果として身につけておくべき内容である。子どもを受け入れる小学校側からの、「ここまではわかるようにしてきてください」というメッセージであると受け止めることが必要である

  3. 幼児期の1年間の成長はめざましい。1年後の入試で問われる内容を1年前のスタート時からやってもなにも意味はない。つまり、過去問対策を1年前からやろうとするような受験対策はしてはならないということ

  4. 子どもの考える力は、物事に働きかける試行錯誤によって身につく。幼児期の基礎教育においては、教え込みの教育が一番いけない。受験対策の学習もこの基礎学習の上に積み上げていくものであり、例外ではない。しっかりとした学習計画を立てて、1年間を有効に使わなくてはならない

  5. 小学校入試においては、学力の高い順に合格できるわけではない。実力主義であるが、学力主義ではないことを、しっかり認識しておいてほしい

  6. 試験も集団で行われ、子どもの認識能力も集団活動によって深まる。小学校入試に向けた学習の基本は、集団活動・集団授業であるということを常に念頭に置くこと

  7. 入試対策の基本は家庭学習である。この基本を忘れて、塾やおけいこに連れ回すような生活では、何の効果も得られない。他人任せにならないよう、まず、家庭が一丸となって取り組む姿勢をつくり上げてほしい

教育には時間がかかります。幼児は形を覚えるのは得意ですから、教え込みの教育が一番やり易い時期でもあります。しかし、今の入試はそうしたパターン化した能力ではなく、「考える力」を求めています。その考える力を身につけるためには、どうしても事物を使い試行錯誤する経験が必要です。ペーパー学習に偏らない、まともな幼児教育を実践することこそが、遠回りのようでも一番合格につながる方法です。9月30日と10月7日に来年受験される方を対象としたセミナー「合格に向けた1年間の受験対策」を行いますので、ぜひご参加ください。

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