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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

間違ったお受験対策にならぬように

第34号 2005/11/03(Thu)
こぐま会代表  久野 泰可

 11月は都内の入試が始まるとともに、来年度の受験生の学習がスタートする月でもあります。私たち現場教師は、入試の結果を待ちながら、ほっと一息する暇もなく、来年度の入試に向けてスタートしなくてはなりません。先月27日、「こどもの城」で、24期生の開講式を行いました。これから始まる1年間の授業方針をお伝えしました。その席で私は、間違った受験対策にならないように、正確な入試情報を身につけることと、系統性のある学習を心がけることをお願いしました。また、現在の入試は、全体の傾向として実力主義であるけれども、実力主義イコール学力主義ではないというも強調しました。ペーパートレーニングさえすればそれが受験勉強だと考えている方があまりにも多いからです。

 33年間、小学校入試のための指導の現場に立ってきた私の一番の心配は、間違った受験対策によって、多くの子どもたちが正常な発達を阻害され、心に傷を負って入学を迎えることになりかねないということです。さまざまな能力が開花し、これからの学習の基礎が出来上がる幼児期に、間違った受験対策によって「勉強嫌い」な子をたくさん作ってしまっているということです。合格させるためには手段を選ばないという発想を、指導者(塾や保護者)が改めない限り、この不幸な現実はこれからも続いて行くでしょう。それを断ち切るためには、保護者がもっと賢くならなければだめです。賢くなるための方法は3つしかありません。

(1)学校側が何を求めているのかを知るために、正確な入試情報を身につける
(2)子どもが、物事をどのように理解していくのか、その発達の順序をしっかり理解する
(3)何が基礎で、何が応用なのか。学習内容の系統性をしっかりつかむ

 最初からペーパーだけの学習に終始し、なおかつすぐに過去問に取り組ませるような指導は、指導者自身が、上記3項目について何も理解していない「素人」であると考えたほうがいいと思います。小学校入試を中学校や高校の入試と同じ発想でできるはずはありません。子供の発達も違うし、入試内容や方法も違います。関西で、私立小学校の開校が予定され、たくさんの塾がビジネスチャンスとばかり、小学校受験の準備教育に参入してくることが予想されます。しかし、子供の発達に即したカリキュラムを作ることができない指導者では困ります。市販の問題集をこなすだけの教育は、家庭でやれば十分です。

 来年秋に入試を向かえる皆さん、どうか「間違った受験対策」にならないよう、今年の入試の現状を正確に把握し、無理のない学習計画を立ててください。私たちも、そうした皆さんのお役に立てるよう、セミナーや学習相談会を準備しています。

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