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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

ソウル近郊にソフィア幼稚園を開園

第335号 2012/4/13(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 今年3月、ソウル近郊のベッドタウンに「ソフィア幼稚園」を開園しました。「KUNOメソッドによるモデル教室」として、韓国で「こぐま会の教材」を販売している方と共同で立ち上げた幼稚園です。今回は、開園のためのセレモニーに参加するために現地に赴き、幼稚園関係者や保護者の皆さんを対象とした講演会を行ってきました。昨年8月の訪問に続き(コラム第306号「韓国幼児教育事情」参照)、4月8日から3日間の韓国訪問となりました。

韓国では今年3月から、幼稚園の年長クラスを義務化する方向で無償措置が取られました。幼稚園を運営すれば、園に対する国家からの補助があり、先生たちの給与も支給されるそうです。これまで民間での教育活動が盛んであった韓国の幼児教育が、国家の方針として行われるようになると、民間での教育事業が少なからず影響を受けます。小学校受験などがない韓国では、幼児期の教育課題に答えていくためには義務化された幼稚園を中心に進めていかないと、保護者が振り向いてくれないという現実が重くあるようです。

そこで、韓国における普及活動の拠点を民間の幼児教室から幼稚園に移し、「KUNOメソッド」による思考力育成のための基礎教育を行おうと考えています。現地は、ソウルから40キロほど離れたベッドタウンのようで、ソウルから車で園に向かう途中には、広大な土地に建設中のマンションがたくさん見えました。30年ほど前の「多摩ニュータウン」を思い起こさせるような光景でした。今年3月からの開園でしたので、私は「ソフィア幼稚園」には初めての訪問ということになりますが、600坪の土地に、園舎と運動場、プールと畑、背後には小高い山がひかえ、大変自然に恵まれた環境の幼稚園でした。韓国でも子どもたちが自然に触れる機会が少なくなっているようで、こうした環境での子育てが歓迎されているようです。ソウルから引っ越してきたというある保護者は、「自然教育」と「思考力育成教育」がこの園で行われることに、大変期待しているようでした。生徒募集の時期を過ぎての開園でしたので、まだ生徒数は少ないようですが、他園をやめて集まり始めているようです。「来年3月の新年度までには、定員いっぱいになるように生徒を集めたい」と園長は話していましたが、口コミで広がり始めていますので多分目標は達成できるでしょう。

東京のビルの一角から始まった私たちの教育活動が、海を越えお隣の韓国で、生活や遊びをともにした本格的な幼児教育として花開けば、最終的には逆輸入して、日本の子どもたちの実践活動に生かしていけるはずだと考えています。新しい幼児教育を模索する韓国と新しいことを拒否する傾向にある日本の幼稚園や保育園とでは、理事長や園長の姿勢に大きな隔たりがあるようですが、日本の幼児教育も今後必ず変わっていくはずです。これから韓国の幼稚園で経験することが、必ず将来の日本の幼稚園・保育園の教育活動に生かされていくはずです。日本の幼児教育発展のためにも、私たちが新しい経験を積む意味は大きいと考えています。

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