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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

幼小一貫教育の内容確立に向けて

第322号 2012/1/10(Tue)
こぐま会代表  久野 泰可

 こぐま会は昨年11月に第30期生を迎え、今年秋の受験に向けて新しいクラスがスタートしました。これまでばらクラス(受験生対象)で行ってきた「セブンステップスカリキュラム」を、昨年は少し早めてゆりクラス(年中児対象)の9月から始めました。ひとつのステップが終了するごとにトレーニングの時間を確保し、しっかりと基礎を固めてから次のステップに進められるよう、従来と比べて2カ月ほど早く開始し、現在は「ステップ2」まで終了しました。

2013年4月に「創立30周年」を迎えるこぐま会は、これまで教室での実践を通して理論的な背景や子どもの発達の現状をしっかりと示しながら、新しい幼児教育の在り方を提唱してきました。特に3年前からは、「幼小一貫教育のあり方」について議論と実践を積み重ね、幼児期の基礎教育と小学校低学年の教育とをひとつの考え方でつないでいく授業内容の構築に取り組んでいます。今多くの自治体で試みが始まっている形だけの「幼小連携」ではなく、学習内容を明確にした「幼小一貫教育」を確立したいと考えています。上から下への発想ではなく、下から上への積み重ねを通して新しい教育内容の確立を目指し、その過程で、現在行われている小学校低学年の指導内容や方法も検証してきました。

中学・高校への受験指導のみならず、大学への受験指導まで経験した者が「幼小一貫教育」の重要性に気付き、自ら幼児期から小学校低学年の教育活動に携わるという、これまでおそらく誰もなしえなかった実践の試みは、必ず新しい教育内容を生み出すと確信しています。なぜなら、後の学年になって表れる「論理的思考力の弱さ」が、実は小学校低学年や幼児期における「経験と学習」に欠落した部分があったのではないかという問題意識を持って取り組んでいるからです。文科省や自治体が行おうとしている「幼小連携」ではなく、「幼小一貫」教育の内容として、年中から小学校3年生ぐらいまでを想定した新しいカリキュラムを同じ考え方で作り上げることができれば、小学校高学年以降起こる学力問題の解決の糸口が少し見えてくるのではないかと考えています。

私はこの40年間、主に年長の子どもたちを中心に、遠山啓氏が「歩きはじめの算数」(1972年・国土社刊)の中で提唱した「原教科」の考え方を信じ、ひたすら実践の現場で模索して独自のカリキュラムを編み出してきました。また、教育方法として「事物教育」や「対話教育」を実践し、多くの教具や教材も開発してきました。その経験をもう一歩進めて、「幼小一貫教育」の内容確立に生かしていくことが、私に課せられた最後の仕事だと考えています。そのためにも、体力の許す限り「現場」に立ち続けたいと思います。

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