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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

学力差を生む原因

第297号 2011/6/17(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 こぐま会のばらクラス(受験組)は、今週でステップ5の授業を終え、来週から新規課題最後の段階である「ステップ6」に入ります。今年は震災の影響で予定より1週間遅れてしまいましたが、夏休みを1週ずらし、7月16日までにステップ6が終了するように計画しています。5月連休明けから「応用段階」の学習に入り、入試でも難しいとされる単元の学習を進めてきました。日常授業に連動する「学校別対策講座」も、過去問を多く取り入れ、入試レベルの課題に挑戦しています。具体物やカード操作を中心に、試行錯誤する時間を最大限保証しながら進めてきたステップ1~4までの学習を基礎に、5月以降、ペーパー学習が大きな意味を持つ時期になってきました。模擬テストの内容も授業に連動して難しさを増していますが、平均点が7割になる問題を作ろうとすれば、おのずから問題は難問化せざるをえません。それだけ子どもたちの力が伸びてきているということです。一方で、テスト結果や授業中の様子を見ていくと、学力差が生まれてきているのも事実です。応用段階に入ったこの時期に、一体何が学力差を生むのか、その原因をひとりひとり明らかにしていく必要があります。そして、それをこそ夏の課題にしなくてはなりません。では一体どんなところで「差」が生まれるのでしょうか。最近の授業中の様子を振り返ってみると、いくつかの問題点が浮かび上がってきます。

  1. 問題の意図の聞き取りが不十分な結果、間違える
  2. 問題の処理・作業に時間がかかり、時間切れで得点できない
  3. やさしい問題を、かえって難しく考えてしまう
  4. 答えの根拠を説明できない
  5. ペーパーはできても、同じ趣旨の問題を具体物を使って行った場合、考え方や理由説明を言語化できない
  6. 暗算できないため、場面のない数の問題になると急にできなくなる

個人によって間違いの原因はさまざまですが、大体以上のような問題点を抱えています。子ども自身の学習に対する自覚・動機づけの問題と同時に、家庭学習の仕方にも大きな問題がありそうです。教え込みの間違った指導法を解決しない限り、こうした問題は克服できません。子ども自身が試行錯誤し、解決に至る時間をもっと大切にすることで、一番深刻な「答えはあっていても理由説明ができない」問題を克服しなくてはいけません。時間がとれる夏休みこそ、こうした問題点を克服する学習を心がけてください。「できても、わかっていない」「わかったつもりになっても、説明できない」教え込みの指導の結果現れるこうした弊害を克服しない限り、工夫された現在の入試問題に対応していくことはできません。
教育は時間のかかる営みです。焦る気持ちもわかりますが、その気持ちをぐっと押さえこんで、子どもの成長を見守るゆとりが必要です。そこから、学習に関する良好な親子関係も生まれるはずです。

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