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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

基礎から応用へ 難問対策の方法

第293号 2011/5/20(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 11月から始まった受験クラスの授業もすでに半年間を経過し、入試本番まで残すところ6カ月足らずとなりました。4月に幼稚園や保育園で年長さんになり、子どもたちの意識や学習意欲にも変化が見られます。受験対策も基礎段階の学習を終え、これまでの事物学習を踏まえて、いよいよ「ペーパー学習」が意味を持つ時期になって来ました。過去問や予想される難問に挑戦するだけの基礎学力が十分身についているはずですから、自信を持ってペーパー学習に取り組んでください。夏休みに入る7月中旬までに、すべての領域の応用学習を終え、夏休みとそれに続く直前2カ月の学習で、実践的な力を身につけなくてはなりません。一番良い状態で入試本番を迎えるために、その子に合った学習計画をしっかり立てなくてはなりません。ただ、これまでペーパーだけの学習をしてきた子どもたちには、これから取り組む難問を自分の力で解いていくだけの基礎学力が欠けている場合が少なくありません。今からでも遅くありませんから、一度具体物学習に戻るゆとりをもって学習の組み直しを行ってください。その際、必ず答えの根拠を説明させ、どこまで理解し、どこから解らなくなっているかをひとつひとつ明らかにする努力をしてください。これからの学習は、何枚ペーパーを行ったかではなく、どれだけ深く理解したかが重要ですから、学習の仕方が問われます。

4月末から5月連休にかけて行った「合格カレンダー連続講座」でも、残り半年間の学習法について触れました。「基礎学力をどうチェックするか」「5月からの難問対策をどうするか」などをテーマに具体的にお伝えしましたが、その中でぜひともしっかり把握しておいていただきたいことがありました。それは、「問題を難しくするために、学校側はどんな工夫をするか」ということです。それを踏まえたトレーニングをすれば有効な難問対策になるはずです。セミナーでお話しした事をここでまとめてみましょう。

1. 記憶の要素を多くした指示
2. 時間制限
3. 余分な要素を入れる
4. 複合問題化する
5. 暗算能力を問う
6. 逆思考を取り入れる
7. 話によって場面の数を変える
8. 回転の要素を入れる
9. 小学校高学年で求められる思考法を幼児用に変形させる

ここでは詳しい説明はできませんが、難問と言われる問題を分析していくと、以上のような観点にまとめることができます。セミナーでは、この一つ一つを具体的な問題を使って説明しましたが、これを知っているかどうかで家庭での難問対策の方法が違ってきます。ぜひ具体的な問題にあたってみてください。

ところで、難問を自分の力で解くだけの思考を身につける大切な学習法があります。それは、領域別や単元別に学習内容を分けてトレーニングするだけでなく、考える力を構成する基本的な思考法を、領域を越えて違った視点で学ぶことです。「考える力」の基本は何かを考えれば領域をまたぐ共通点がみえてきます。

1. 比較する
2. 違いを探す
3. 系列化する
4. 相対化する
5. 関係を考える
6. 視点を変える
7. 逆に考える
8. 対応づける
9. 等分する
10. まとめる
11. 構成する
12. 分割する
13. 法則性を発見する
14. 変化に対して敏感になる

以上のような単元学習を貫く思考法をトレーニングすることによって、「自分の力で解く」柔軟な思考力が定着していくはずです。逆に、領域や単元にこだわりすぎると、形式的な解き方だけが身につき、今学校側が求めている新しい形式の問題に対応していくことはできません。「どれだけ深く理解したか」は、単元を貫くこうした「思考法」を身につけるということです。受験のための学習が幼児期の基礎教育のためにも有効であるということは、将来の学習に必要なこうした思考法の訓練ができるからに他なりません。

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