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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

父親サークル「土曜ゼミ」を終えて

第288号 2011/4/15(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 お父さま方にも受験の実態を正確に知っていただき、間違った受験対策に走らないように・・・という想いで始めた父親サークル「土曜ゼミ」も4年目を迎えました。今年の第1回目は2月26日に、第2回目は先週の土曜日に行いました。今回は、志望校選択と基礎学習のチェックをどのように行ったらよいのかを具体的にお伝えしました。

第2回「土曜ゼミ」 講義内容
第1志望校と併願校の選択について
  1. 小学校選びの考え方
  2. 併願校選択について考えるべきこと
  3. 2011年度入試 併願実例
応用段階に入るまでに身につけておくべきこと
  1. 基礎段階(step1~4)の学習内容
  2. 点検項目

第1志望校についてはほとんどのご家庭で決定済みですが、併願校についてはまだ相当迷っているご家庭が多く見受けられます。そこで今回は、昨秋の入試の試験日程と、去年の受験生が実際にどの学校を何校受験したのかを、資料に基づいて具体的にお伝えしました。神奈川県内は10月の第3火曜日から、東京都内は11月1日から試験が始まり、多くの場合4~5校併願しています。表面上は試験日が重なっていても、同じ日に2~3校受験できるために併願校が増えていくのです。受験番号の付け方が受付順であったり、月齢順であったり、50音順であったりするために、時間差で併願が可能になるのです。願書を出してみないとわからないということはありますが、過去のデータに基づくと、だれがどう併願できるかが判明します。しかし、併願の問題はそうした日程上の問題以上に、併願する場合の学習対策をどうするかが大きな問題になってきます。A校が第1志望でありながら、ペーパー試験がないために、難しいペーパーを試験に課すB校の対策を真剣に考えなくてはならないという事態が生じます。そうした点を具体的にどうするか、学校の組み合わせも紹介しながら今回のゼミで詳しく説明しました。

ところで、11月からスタートしたばらクラス(受験クラス)も5カ月が過ぎ、基礎段階の学習はこの4月で終了します。ここまでの学習が終わると、過去問の8割ぐらいは学習可能になります。事物教育を通して考える力の基礎を養い、その上にペーパートレーニングと過去問トレーニングを重ねていくことで、入試に必要とされる能力は身についていきます。これまで、できる限り具体物やカードを使った学習を進めてきましたが、基礎学習が終了しますので、これからはいろいろなタイプの問題に挑戦する「ペーパートレーニング」が意味を持つ時期になります。ただ、間違ってはならないのは、たくさんのペーパーを行うことに意味があるのではなく、1枚のペーパーをどこまで深く学習するかが大事だということです。型にはまった解き方をするのではなく、ひとつの問題にも、いろいろな考え方、解き方、作業法があることを伝え、そこで求められている基本的な考え方をしっかり身につけていくことが大切です。そのために必ずやらなくてはならないのは、「なぜ」「どうして」という疑問を常に子どもに投げかけることです。考え方の根拠を言語化することで、子どもが何をどう考えているのかがチェックでき、あわせて言語化によって考え方が定着していくからです。5月の連休はそうした「基礎学力チェック」が必要です。その上で、難しい応用問題、過去問に挑戦させるのが正しい導き方です。こぐま会では4月いっぱいで「ステップ4」が終了しますが、基礎段階といえども、ここまでの学習内容が入試問題の8割を占めています。特にステップ3・4は、入試でよく出される問題が多く含まれています。

ステップ1
未測量第1週
大きさ・多さくらべ
多さの系列化・相対化
大きさの系列化・相対化
位置表象第2週
前後・上下関係
上下関係の系列化・相対化
前後関係の系列化・相対化
方眼上の位置の対応
位置の記憶(つみ木・方眼)
第3週
計数、同数発見、5の構成
買い物ごっこ(命令行動)
5の構成・おはじきを数える
カードを使った同数発見
第6週
分類
観点を変えた分類
私は誰でしょう
図形第4週
基本図形とその構成
基本図形の理解
基本図形の模写
基本図形の図形構成
言語第5週
同頭音・同尾音、しりとり
一音一文字
同頭音・同尾音
しりとり
聞き取り練習
ステップ2
未測量第7週
重さくらべ
手を使った重さくらべ
器具を使った重さくらべ
シーソーによる三者関係
位置表象第8週
左右関係、上下-左右関係
右手・左手の理解
地図上の移動
生活空間での位置関係
方眼上の位置
第9週
一対一対応
対応に必然性のある一対一対応
対応に必然性のない一対一対応
ペーパーを使った線結び
~より~個多い(少ない)
図形第10週
立体構成
秘密袋を使った触索
立体の理解と製作
つみ木の構成
言語第11週
短文づくり
聞き取り練習
動詞の理解
短文づくり
時間的経過の系列
その他第12週
理科的常識の理解
野菜果物の切断面
生活の中の音の理解
鏡映像
花の名称と季節
ステップ3
未測量第13週
長さくらべ
長さの比較の方法
長さの相対化・系列化
大きさと長さの順対応
長さの個別単位
位置表象第14週
方眼上の位置(上下-左右関係)
右手・左手の理解(復習)
方眼上の位置の理解
方眼上の位置の言語化
方眼上の位置の記憶
第15週
分類、等分
観点を変えた分類
水、ひも、折り紙の2・3・4等分
余りのないおはじきの等分
余りのあるおはじきの等分
図形第16週
同図形発見、点図形
同図形発見
記憶による同図形発見
円柱並べ
点図形の練習
言語第17週
話の内容理解、お話づくり
聞き取り練習
話の内容理解(登場人物・順序)
お話づくり(4場面)
その他第18週
手先の巧緻性
箸を使った課題
ひもを使った課題
ハサミを使った課題
ステップ4
未測量第19週
シーソー
じゃんけん、競争による三者関係
シーソーによる三者・四者・五者関係
言葉による関係推理
位置表象第20週
四方からの観察(1)
四方からの具体物の写生
カードを使った場所さがし
いろいろなものの四方からの観察
第21週
一対多対応
具体物を使った一対多対応
おはじきを使った一対多対応
包含除の考え方(余りなし)
包含除の考え方(余りあり)
図形第22週
図形分割
折り紙を使った図形分割
三角形の構成と分割
言語第23週
話の内容理解、昔話
短文復唱
聞き取り練習
話の内容理解(善悪判断他)
昔話
その他第24週
法則性の理解(1)
方眼上の位置移動
立方体の回転
並び方の法則性の理解

基礎がしっかり身についていないまま難しい問題に進んでも、時間がかかる割に効果があがりません。そして、そのまま過去問トレーニングに突入しても、考えが伴わない分、形だけのトレーニングになってしまいます。ほとんどが新出の問題である入試で力を発揮するには、教えられた通りの解き方で解決するのではなく、自分の力で解いていけるような応用の利く基礎力をしっかりと身につけておかなければいけません。

1時間半の講義が終わった後、別の教室で「懇親会」を行いました。父親同士が情報交換し、学習上の悩みや子育てへのかかわり方などについて、グループごとに議論をされていました。最後にお一人ずつ、近況報告とこぐま会への質問などを伺いました。いろいろなご質問をいただき、それに対して私たちの考え方をお伝えしましたが、その質問内容には、真剣に子育てに参加しようとするお父さま方の姿が投影されていました。

  1. 共働きで学習時間が確保できないが、どのように工夫したら良いか
  2. 長時間の学習は無理なので、短時間で効率のよい学習をしたい
  3. おとなしくて、集団で発表するようなことが苦手だがどうしたら良いか
  4. 問題は理解しているが、聞き取りミスで点に結びつかない。どのようなトレーニングが必要か
  5. お行儀が悪く、行動観察での評価が心配
  6. 日曜日に講座があったり、テストがあったりして、家族で過ごす時間がとりにくい。願書や面接等で家族での過ごし方が聞かれるようなので、時間を確保したいが、どのように工夫したら良いか
  7. 「ママ」「パパ」の呼び方を、「お母さん」「お父さん」、「お母さま」「お父さま」に変えなくてはだめなのか
  8. 受験勉強における精神的ストレスが子どもにかかるのを少し心配しているが、そのサインというものはあるのか
  9. 子どもに今回の震災をどう伝えたら良いのか。また、「家族の絆」をどう伝えたら良いのか

一度受験を経験されたお父さまから、「合格するためには絶対に父親が子育てに参加しなければだめだ」という発言がありました。参加された皆さんには大変良いアドバイスだったと思います。

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