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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

入試を再現する子どもたち

第267号 2010/11/5(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 11月1日より始まった都内の入試も多くの学校で試験を終え、すでに発表も始まりました。1年間毎日頑張ってきた成果が、ほんの1~2日の短時間の入試で評価されてしまう現実にやや戸惑いを感じながらたくさんの喜びの声を聞くたびに、疲れが癒される想いです。しかし一方で、力がありながら体調を崩して本調子が出せず、また、相当のプレッシャーに圧倒され、いつもの力が発揮できなかった子もいて、悲喜交々の日々が当分続きそうです。

情報が開示されていない今の小学校入試において、受験生の皆さんに正確な入試情報を伝えるために25年以上行ってきた「入試問題の聞き取り調査」も、入試と同時に始まりました。試験が終わった子どもたちに教室に戻ってもらい、試験の内容や質問されたこと、先生たちの動向や注意事項などを聞き取り調査するものです。私たちが入試資料を学校ごとにまとめて1冊の本にしたり、学校別に問題集(過去問)を出せるのも、こうした子どもたちの協力があってのことです。もちろん同行した保護者の皆さまにもご協力いただき、入試の全体像を明らかにしていきます。幼児ですから1人の子がすべてを再現できませんので、1つの学校について大勢の子どもたちから聞き取っていますが、驚くほどしっかり覚えてくる子がいて、それまで解らなかった細かな点が一挙に判明するということもあります。特に「話の内容理解」の話の中味をそこまで細かく覚えてこれるのかと・・・感心することもしばしばです。1日校のほとんどの学校の入試問題はすでに判明し、問題をペーパー化する作業に入りました。これから時間をじっくりかけ、合否との兼ね合いも考えながら、ひとつひとつの学校の「入試の狙い」を明らかにしていくつもりです。学校側がしっかりと情報公開してくれれば、こんな作業をしなくて済むはずです。入試に絡む間違った認識の原因が、この「入試情報の未開示」にあるということを学校側が受け止めてくれれば、ゆがんだ入試対策は起こるはずはないのに・・・といつも感じています。情報の開示がなされるまでは、私たち現場の人間がこうした地道な努力をしていく必要があります。当分は幼児教室の現場で指導する私たちの責任において、正確な入試情報を発信していかなければなりません。噂話や業者側の意図的な情報操作で保護者のみなさんが右往左往しないためにも、子どもたちの協力を得てこの聞き取り調査を続けるしかありません。

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