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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

小学校入試を正しく理解する

第258号 2010/9/3(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 今年の入試まであと2か月足らずとなりました。年長児の皆さんは総仕上げの学習に真剣に取り組んでいます。毎年感じることですが、日常授業が再開する9月になると、一段と成長した子どもの姿に驚きます。夏のがんばりが自信となって表れているのでしょうか。落ち着きのなかった子、いつもしゃべり続けていた子が人の話をしっかり聞けるようになったり、自信がなく小さな声でしか受け答えの出来なかった子が、しっかりと意見を言えるようになったり・・・学力だけでなく、態度・ものの取り組みなどにも子どもの成長を垣間見ることができます。一方、子どもが不安定になるのもこの時期です。夏の疲れと、バランスを欠いた勉強のしすぎ、また願書対策で忙しくなるお母さんお父さんと一緒に勉強できる時間が少なくなるためか、学習を拒絶したり、集中力を欠いて、今までしっかりできていたことができなくなったりすることも見られます。一番良い状態で本試験を迎えられるよう、これまでと同じリズムで学習を継続してください。

9月は来年の受験を控えた「年中児」の皆さんも、本格的に受験準備を始める時期でもあります。例年、9月入会が多いのもそのためだと思いますが、入試の実態を正確に把握せず、明確な方針を持たないまま、なんとなく受験体制に入るケースもたくさん見てきました。その結果、途中で方針を変更したりするため、学習の継続性が保証されず、子ども自身もその影響を強く受け、落ち着いて学習できません。1年間の受験対策の方針をしっかり持ち、落ち着いた環境で学習を進めるためにまずすべきことは、正確な入試情報を持つことです。情報がほとんど開示されていない小学校入試は、その意味で「情報戦」でもあります。こぐま会は11月から新年度がスタートしますが、その前に可能な限りデータを示して小学校受験の実態を明らかにし、正確な情報を持って、1年間の対策を考えていただきたいと思います。そのため、今年から「小学校入試を正しく理解する」と題した連続講座(5回)を企画しました。

第1回目の8月31日は「入試の現状と正しい受験法」と題して、今小学校入試で起こっている大きな変化について、次のような観点でお話ししました。

1. 入試の現状
A) 入試日程
B) 入試の方法
C) 入試問題の変遷
D) 変わりつつある入試の現実

2. 実力主義だが学力主義でない入試
A) 合否判定はどのようになされるのか
B) 入試に絡むコネの問題
C) 学力成績順に合否が決まらない入試
D) なぜ行動観察が重視されるのか
E) 学校側は何を見ようとしているのか
 (ア) 小学校生活へのレディネス
 (イ) 今の子どもたちに欠けているものをあえて見る

3. 入試で問われていること
A) 年齢にふさわしい問題解決能力・自立心
B) 物事を筋道立てて考える「思考力」
C) 本当に身に付いた 家庭での「育ち」
D) 聞く力・話す力の重要性

4. こぐま会の受験対策
A) 受験のためだけでない幼児期の基礎教育
B) 子どもの発達に見合った、らせん型系統学習
C) 1年間の学習計画をしっかり定めた「合格カレンダー」
D) 教室と家庭が同じ方針で合格を目指すための、家庭学習教材の充実

今回は総論として、何が問題かをさまざまな観点から明らかにしましたが、ひとつひとつの問題をもう少し具体的データを示して掘り下げなくてはなりません。根拠のない噂話で右往左往しないよう、正確な情報を掴んでください。特に最近頻繁に行われている「教え込み」は、現在の入試で求められているものに合致しないということをしっかり理解し、特別な訓練を要する入試対策ではなく、幼児期の基礎教育の徹底こそが学校側が求めているものだということをしっかり受け止めてください。今回の総論に引き続き、残り4回の講座でその理由をより明確にいたします。

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