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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

幼小一貫教育を考える会 一周年

第237号 2010/3/19(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 昨年2月7日に設立総会を行い立ち上げた「幼小一貫教育を考える会」の第10回研究会が3月13日に行われました。この1年間で10回の研究会を行ってきたことになります。毎回テーマを決め、実践現場からの報告をもとに、幼児教育の課題を議論してきました。第10回は、「年中児における関係性の理解」を中心に現場からの報告を受けながら、関係性をとらえる言葉の問題にまで発展し、「体験と言葉」に関する白熱した議論が続きました。

これまでこの研究会には、幼稚園の教師、保育園保育士、受験塾の教師、中学・高校教師、大学研究者、塾経営者、幼稚園保育園経営者、こぐま会の現場教師と、実践現場の異なる人たちが大勢参加してきました。問題意識を共有するために、この1年間はできる限り現場での実践経験を踏まえた報告を中心に議論を積み重ねてきました。その中で「幼児期の教育課題は何か」を掘り下げていくと、年齢の高い子どもたちの教育にも必ず共通する課題があることがわかってきました。特に今回は、「子どもの発する言葉の背景は何か」「つなぎ言葉を使える子とそうでない子の違いはいったい何なのか」といった「体験と言葉」に関する意見交換を行いました。2歳児から大学生までの現場から、共通したテーマでの報告を受け議論していく過程で、「幼児期の課題」がより一段と明確になってきたように思います。

幼児期の経験や学習のありようが、その後どのような問題としてクローズアップされてくるのかを知ることによって、子どもへの働きかけ方や望ましい経験の蓄積が明らかになり、幼児教育の課題がよりはっきりしてくるはずです。その意味で、この研究会を立ち上げた目的の一つが達成できたことになります。幼児教育の課題を明確にするためにはこうした連携がどうしても必要です。特に、幼児期と小学生のつながりがいまひとつ教育課題としてはっきりしない今の教育の現状を変えなければ、子どもたちの学力は保証されません。その意味で「幼小一貫教育」の実現は緊急を要するのです。

これから1年間にわたり、この研究会に参加している現場教師の皆さんに「幼児教育がなぜ大切なのか」を、自らの経験に基づき語っていただこうと思います。小学生以降の子どもたちの教育を通して、その原点であるべき幼児期の経験や教育の重要性を明らかにしたいと思います。連続した成長の中で何が大事かが明確になれば、手探り状態の幼児教育の中身がより鮮明になっていくのではないかと思います。そして、「読み・書き・計算」のトレーニング教育では「考える力」の育成につながらないことが、よりはっきりしてくるはずです。

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