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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

今年の入試から何を学ぶか

第221号 2009/11/13(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 都内の私立小学校の合格発表もほとんど終わり、あとは国立附属小学校の入試を残すだけとなりました。入試が一段落した今、現場で指導する私たちは、子どもたちから聞き取った問題の整理・分析を行っています。また、子どもたちの1年間のテスト結果と授業中の様子などを踏まえ「何が合否を分けたのか」、その分析に取りかかっています。毎年12月に行っている「私立小学校入試分析セミナー」を今年から新しい形に変え「学校別入試報告会」として、より正確な情報をお伝えすべく準備を進めています。各学校の入試問題と合否の背景をこれまでとは違った視点も加えながら、来年以降受験する皆さまに最新の情報をお伝えします。

毎年私立小学校の受験が一段落するこの時期になると、憂鬱な日々が続きます。それは、受験した学校全てに合格をいただいた子がいる一方で、学力がありながら「合格」をいただけなかった子が必ずいるからです。なぜAちゃんが合格し、なぜBちゃんが不合格なのか。テスト結果や日常の授業の様子からは、とても納得できない現実を突き付けられると、「いったい小学校受験とは何なのか」・・・そんな問いを毎年繰り返えさざるを得ません。学力試験でほとんど決まる中学校受験や高校受験が羨ましく思うこともしばしばあります。

学力がなければ合格できない、しかし学力があっても合格できない ・・・この現実に受験指導の難しさがあるのかもしれません。実力主義でありながら学力主義でない小学校入試の現状で、受験指導のあり方をどう確立していくのか。毎年の結果を分析しながら工夫してきているのにもかかわらず、どう分析しても納得のいかない合否判定の結果にある種の戸惑いすら感じます。情報が一切公開されない小学校入試。そのことと合否判定の不透明さが重なり合って、さまざまな噂話が飛び交うのでしょう。こんな入試で良いのかどうかと疑問を持ち続けるのが正当なのか。あるいは、小学校入試はそもそもそういうものだと納得してしまうのが良いのかどうか。

1年間のテストの結果表や指導記録と、入試の結果をつきあわせてみると、合否を分けた何かが見えてくるような気もします。それは、一定以上の学力でありそれ以上の高い学力ではありません。また、子どもの個性でもありません。学力試験や行動観察を通して、受け入れる小学校側が求めているものは何なのか。客観的に数値化できないもの、それをレディネスといってしまえばその通りなのですが、毎年教室での学習や活動を通して、合格に向けた指導を目指す以上、そのレディネスの中味をしっかり把握しなければ、これから受験する子どもたちに適切な指導ができなくなってしまいます。今年の入試結果報告会では、そうした視点も加味し、受験生に役立つ正確な情報をお伝えしたいと思っています。

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